2005ワークスチューニンググループ合同試乗会(ニスモ篇)【試乗記】
2005ワークスチューニンググループ合同試乗会(ニスモ篇) 2005.05.14 試乗記 ニスモ R34GT-R Z-tune(6MT)/ムラーノS-tune(CVT) 自動車メーカー直系のチューニングメーカー5社による「ワークスチューニングカー合同試乗会」に、『webCG』コンドーと本諏訪が参加した。 今回は、日産車のチューニングを手がける「ニスモ」のクルマ2台を試乗。“コンプリート”コンプリートカー……ニスモ R34GT-R Z-tune(6MT)
本諏訪(以下「も」):ベースは旧型のスカイラインですが、良質な中古車を選び、ハンドメイドで仕立てられたのがこのGT-Rです。
コンドー(以下「コ」):「Z-tune」っちゅうことは、ニスモで一番ハードなヤツやな。
も:“超”が付くほど見た目はハデじゃないですね。
コ:そやな。山道走ってても、たぶんモノスゴイGT-Rやと気づかれへんかったんと違う?
も:近づくと、ボンネットのダクトとか、フロント部のブリスターフェンダーがすごいですけど。
コ:インテリアは黒と赤で統一。ロッソ・エ・ネロっちゅうヤツや。アルカンターラとレザーの2トーンシートも気に入った。
も:レザーに滑りづらいものを使うなんてのは、気が利いてます。
コ:お、このマルチファンクションディスプレイはノーマルより多機能やんか。Gのかかり方を表示したり、PCへのデータ取り込みもできるらしい。
も:ごめんなさい。運転中には、そんなところ見る余裕がなかったです……。
も:エンジンはRB26DETTをボア&ストロークアップして2.8リッターへ。ターボチャージャーも大型化されています。最高出力は500ps以上。
コ:バラバラ、バラバラ、思い切りチューニングカーらしいエンジン音やな。アッチコッチがガチャガチャいってる。足元からも。ほんま賑やかや。
も:直線はちょっと踏むと、一気にパワーが盛り上がります。さらに4000rpmを越えたぐらいから、モーレツにパワーが立ち上がります。
コ:ゼロヨン加速が10.06秒(公表値)というのは、フェラーリF50より速いらしい。やってみた?
も:一般道では不用意に踏むと危険です。
コ:そんなパワーやし、ブレーキはさすがにでかいなぁ。フロントには対向6ポッドキャリパーか。
も:ブレンボといえばゴールドやレッドのキャリパーがメジャーですが、シルバーっていうところがカッコイイですね。
コ:かっちりしていて、ものすごい効くなぁ。
も:さらに、ものすごい鳴きます。交差点で停まるときは注目の的でした。
コ:外から見てても、サスペンションはかなりハードそうやね。走るとどう?
も:普通の山道ではコーナーをちょっとがんばるぐらいでも、無ロール。さらに4WDということもあって、安心感があります。
コ:これだけパワーがあると、上りも関係なさそうやな。
も:まあ使い切れないですよね。サーキットとか行かないとパワーをもてあましちゃいます。なによりスピード出過ぎちゃうので、怖くて踏めません。
コ:普段も使えそう?
も:町なかではさすがに厳しいです。舗装路でもちょっとした継ぎ目を越えるだけで、「ガシッ」と強烈な揺れです。乗り心地はズバリ悪いです(笑)。
コ:そりゃそうか。レースカーに近いわけやし。
も:さらに、クラッチペダルはすごい重い。久しぶりにこんなに重いクルマに乗りました。
コ:とはいえ、重くても繋ぎづらいとかは全くなかったな。駐車場でちょこちょこ動かすのも苦にならへん。
も:価格はコンプリートで1774.5万円。車両持ち込みのキットで1312.5万円となってます。
コ:高いは高いけど、ライバルをポルシェ911やフェラーリF50とするならば……。
も:価格を裏切らない性能ですよ。このチューニングのバランスは、まさに“コンプリート”!
追加されたスポーティグレードか……ニスモ・ムラーノS-tune(CVT)
も:お次はムラーノです。こちらはストリート走行をターゲットにした「S-tune」です。
コ:ノーマルとどこが違うの?
も:エアロキットに専用ホイール、ステンレスマフラーとサスペンション交換がメインです。
コ:車高が30mm下がってんのか。これだけでかなりスポーティに見える。
も:リアビューも、ステンレスマフラーが決まってます。
コ:乗ってどうやった?
も:正直言って、あまりノーマルと変わらない感じでした。乗り心地はちょっと硬くなったかなという感じがしましたけど、舵の利き方はほとんどかわらないような……。
コ:ステアリングもスローやしね。
も:個人的にはブレーキが強化されているとよかったのですが。大型SUVの弱点ですし。
コ:マフラーが交換されてるけど、排気音は別にうるさないな。
も:ムラーノはもともとワイルドなイメージじゃないですからね。
コ:チューニングの方向性もハードな感じやないんやな。
も:インテリアも全く手が加えられていないので、助手席に乗った人もチューニングしたことはわからないかもしれません。
コ:まあそういう意味でもチューニングというより、スポーティグレードという扱いがわかりやすいのかもしれへんね。
も:そうですね。ラインナップには、エンジンと駆動方式の違いしかないですから。「ちょっとスポーティに」という人にいいでしょう。
(文=webCG近藤俊&本諏訪裕幸/写真=荒川正幸/2005年5月)
・2005ワークスチューニンググループ合同試乗会(無限篇)【短評】
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000016668.html
・2005ワークスチューニンググループ合同試乗会(TRD篇)【短評】
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000016730.html

近藤 俊

本諏訪 裕幸
-
ランボルギーニ・ウルスSE(4WD/8AT)【試乗記】 2025.9.3 ランボルギーニのスーパーSUV「ウルス」が「ウルスSE」へと進化。お化粧直しされたボディーの内部には、新設計のプラグインハイブリッドパワートレインが積まれているのだ。システム最高出力800PSの一端を味わってみた。
-
ダイハツ・ムーヴX(FF/CVT)【試乗記】 2025.9.2 ダイハツ伝統の軽ハイトワゴン「ムーヴ」が、およそ10年ぶりにフルモデルチェンジ。スライドドアの採用が話題となっている新型だが、魅力はそれだけではなかった。約2年の空白期間を経て、全く新しいコンセプトのもとに登場した7代目の仕上がりを報告する。
-
BMW M5ツーリング(4WD/8AT)【試乗記】 2025.9.1 プラグインハイブリッド車に生まれ変わってスーパーカーもかくやのパワーを手にした新型「BMW M5」には、ステーションワゴン版の「M5ツーリング」もラインナップされている。やはりアウトバーンを擁する国はひと味違う。日本の公道で能力の一端を味わってみた。
-
ホンダ・シビック タイプRレーシングブラックパッケージ(FF/6MT)【試乗記】 2025.8.30 いまだ根強い人気を誇る「ホンダ・シビック タイプR」に追加された、「レーシングブラックパッケージ」。待望の黒内装の登場に、かつてタイプRを買いかけたという筆者は何を思うのか? ホンダが誇る、今や希少な“ピュアスポーツ”への複雑な思いを吐露する。
-
BMW 120d Mスポーツ(FF/7AT)【試乗記】 2025.8.29 「BMW 1シリーズ」のラインナップに追加設定された48Vマイルドハイブリッドシステム搭載の「120d Mスポーツ」に試乗。電動化技術をプラスしたディーゼルエンジンと最新のBMWデザインによって、1シリーズはいかなる進化を遂げたのか。
-
NEW
谷口信輝の新車試乗――BMW X3 M50 xDrive編
2025.9.5webCG Movies世界的な人気車種となっている、BMWのSUV「X3」。その最新型を、レーシングドライバー谷口信輝はどう評価するのか? ワインディングロードを走らせた印象を語ってもらった。 -
NEW
アマゾンが自動車の開発をサポート? 深まるクルマとAIの関係性
2025.9.5デイリーコラムあのアマゾンがAI技術で自動車の開発やサービス提供をサポート? 急速なAIの進化は自動車開発の現場にどのような変化をもたらし、私たちの移動体験をどう変えていくのか? 日本の自動車メーカーの活用例も交えながら、クルマとAIの未来を考察する。 -
NEW
新型「ホンダ・プレリュード」発表イベントの会場から
2025.9.4画像・写真本田技研工業は2025年9月4日、新型「プレリュード」を同年9月5日に発売すると発表した。今回のモデルは6代目にあたり、実に24年ぶりの復活となる。東京・渋谷で行われた発表イベントの様子と車両を写真で紹介する。 -
新型「ホンダ・プレリュード」の登場で思い出す歴代モデルが駆け抜けた姿と時代
2025.9.4デイリーコラム24年ぶりにホンダの2ドアクーペ「プレリュード」が復活。ベテランカーマニアには懐かしく、Z世代には新鮮なその名前は、元祖デートカーの代名詞でもあった。昭和と平成の自動車史に大いなる足跡を残したプレリュードの歴史を振り返る。 -
ホンダ・プレリュード プロトタイプ(FF)【試乗記】
2025.9.4試乗記24年の時を経てついに登場した新型「ホンダ・プレリュード」。「シビック タイプR」のシャシーをショートホイールベース化し、そこに自慢の2リッターハイブリッドシステム「e:HEV」を組み合わせた2ドアクーペの走りを、クローズドコースから報告する。 -
第926回:フィアット初の電動三輪多目的車 その客を大切にせよ
2025.9.4マッキナ あらモーダ!ステランティスが新しい電動三輪車「フィアット・トリス」を発表。イタリアでデザインされ、モロッコで生産される新しいモビリティーが狙う、マーケットと顧客とは? イタリア在住の大矢アキオが、地中海の向こう側にある成長市場の重要性を語る。