第209回:「シトロエンC4&C3 プルリエル」試乗 個人的には野茂選手の復活みたいなもんス
2005.04.27 小沢コージの勢いまかせ!第209回:「シトロエンC4&C3 プルリエル」試乗 個人的には野茂選手の復活みたいなもんス
■まだ生きてた!
スバらしい。ハッキリ言ってスバらし過ぎます!「シトロエンC4」。実はこの試乗会、「BMW 3シリーズ」、「ゴルフGTI」と俗に言う“定番いいクルマ”と同時に行われていたワケだけど、C4が一番印象に残りましたね。
というのも、そこまで期待してなかったわけですよ。もちろん「C3」にしろ「C2」にしろ、マイチェン後の「C5」にしろ、最近のシトロエンはどんどん良くなってきてるから、もしや……とも思ったんだけど、正直まだでしょうと思ってたワケ。そしたらさ。スタイリングにしろインテリアにしろ走りにしろ、シトロエンらしさ大爆発の三拍子揃ったデキ映え! もうビックリよ。
なんていうかなぁ。イチロー、松井のデキが良くってもそれはそれで素晴らしいけど結構当たり前で、それより野茂選手のようにもうダメなのか(一部復活してるけど)……みたいな状態で、ヒット数本のゼロ完封勝利とか見せられると感動するじゃない。オオ、まだ死んでなかったのか!? という。
■中も外もカッコイイ
実はC4、以前パリサロンで見ててそれなりには良いと思ってたのよ。ただ、展示車はWRカー仕様だったし、イマイチピンと来なかった。でも乗ってみたら、特に5ドアのサルーンがメチャクチャカッコいいです。
正確にはカッコいいというより、昔のアートっぽい丸さが復活してきてる感じ。楕円と真円がほどよく混ざった風で、特にリアのテールランプの造形とか適度に凝っててよい。
あとね。デザイン評論家の千葉匠センセイに偶然お聞きしたんだけど、シトロエンのデザイン的特徴ってフロントオーバーハング長めでリア短め、なおかつロングホイールベースなトコなんだって。
それからタイヤのトレッドがボディ幅より狭く、わざと不安定に見せる。それが空を飛んでるような感じを演出するんだと。見事、セオリー通りになってます。
インテリアなんかもサイコーよ。シトロエンらしく、いわゆる常識から外れたもので、センター配置のデジタルメーターはそれほど珍しくないけど、メーターのカタチがペッチャンコな扇形でシャレてるし、ステアリングはセンターパッドが固定式で、周りのリングだけが動くこれまたあまりないもの。
■乗ってすぐわかる
そして決定的なのは乗り味。確実にヘンです。カワってます。まず気付くのはステアリングフィールでFFらしからぬ、妙にセンターがハッキリしたユニークなもの。センターに戻る力が強めなのに加え、タイヤがどっちを向いてるのかがハッキリと判る。
それから乗り心地&コーナリング。圧倒的に振動が少なく、乗り心地がいいのはもちろん、独特の路面に吸い付く、船に乗ってるような感じがある。
たとえばブレーキングすると確実に荷重が前に行ったのを感じ、そのままステアリングを切ると、前荷重を保ったままグラっとロールし、それから曲がるという。妙にゆったりロジカルでキモチいいコーナリング。
なんていうかな。昔のメルセデスもそうだったけど、自分がどういう運転をしてるのかがわかるのだ。ああ、ちょっとアクセル早く踏み過ぎたとか、ステアリング早く切りすぎたとか、そういうことをクルマが教えてくれる。
総じて乗って走り出した瞬間から“あっ、シトロエンだ”って判るのだ。ここまで走りに個性を持ったクルマってなかなかない。これだけでもスバラシイんじゃないでしょうか。スポーティ仕様の2リッタークーペにしても、確かに足回りは硬めだけど、それでもシトロエンらしいロール感、吸い付く感じが残っている。これまたナイスです。
そうそれから言うの忘れてたけど、シートも良かった。特にサルーンの1.6リッターエンジンのベーシックなヤツが良かった。モケット表皮でクッション分厚く、オシリが包み込まれるような感じ。背もたれはちょっと硬めだったけど。
■プルリエルもイイ
一方、話は変わるけど、ちょびっと乗った「C3プルリエル」も良かった。実は屋根をフルオープンにしてないから、爽快感は完全には判らないんだけど、走行中でもキャンバストップの部分は完全に空いて、開放感はかなりのもんだし、閉めた時の妙なバタ付きもない。作動も安定してました。
ボディ剛性も時速80km/h程度までは特に問題は感じなかった。
走り味の方は、やっぱり「C4セダン」と比べちゃうと凡庸で、シトロエン独特の路面に吸い付く感じもなかったけど、乗り心地はよく、特にストレスは感じない。同じPSAグループの「プジョー206」がちょっと走りに振った定番フレンチコンパクトだとしたら、こちらは乗り心地に振った感じ。女性にはコチラのほうがいいのかもしれない。
なにより、見た目が華やかでいいよね。特に俺が乗ったブラックメタリックボディに、シルバーの“枠”の組み合わせはシャレてると思った。俺が買うなら、この組み合わせかもなぁ……ってもうお金ありましぇーん!
(文と写真=小沢コージ/2005年4月)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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