第207回:「ホンダ・エアウェイブ」お台場試乗 ホンダらしいようなホンダらしくないような……。
2005.04.19 小沢コージの勢いまかせ!第207回:「ホンダ・エアウェイブ」お台場試乗 ホンダらしいようなホンダらしくないような……。
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■地味だけど、手堅い新開発
「エアウェイブ」にお台場で乗ってきました。正直、よくわかんなかったのね、このクルマ。なんで今頃出したのか? 全長4350mmのコンパクトなステーションワゴン。特にこのジャンルが売れてるって聞かないし、そもそもステーションワゴン自体が流行ってないし。
まあ実際にモノを見てみるとデザインはそれなりに個性的だし、自慢のスケルトン屋根、つまりスカイルーフも悪くない。ラゲッジルームも広くて低く、段差もなくて使いやすそうだし、値段も約150万円からとお手頃。でもそれだけ。特に走りが凄いわけでもない。なのに坂口憲二クンをCMキャラに使ったり、結構力入ってるような……。
小沢:なんで今頃コンパクトワゴンなんですか。
広報某氏:このクラスが地味だけど手堅く売れるからです。
小沢:ン?
広報某氏:ライバルはトヨタの「カローラフィールダー」に、日産「ウィングロード」。ハッキリ言ってガチンコ。で、このクラスってハデには売れないですけど、カローラフィールダー、ウィングロードとも、そこそこのボリュームでコンスタントに出るんですよ。そこにウチの目標が月4000台。大きくはないけど、しっかり食い込もうと。
小沢:そんなんでいいんですか。一応新開発なんですよね。
広報某氏:フィットのプラットフォームがベースですが、ほとんどが新設計。しかも国内専用モデルです。
小沢:正直、ストリームともバッティングしますよね、お客さん。
広報某氏:その通り。
小沢:それでも作るんだ。なんかあんまり儲からないような気がするけど。
広報某氏:あははは(苦笑)。
■最初はフィットアリアワゴン!?
某エンジニア氏にもお話を聞いてきました。エアウェイブの生い立ちについて。
小沢:フィットベースだって聞いたんですけど、なぜこの時期に出たんですか。
エンジニア氏:フィットベースと言ってもホイールベースを10センチも延長してますし、ほとんど別設計です。
小沢:外観も同じ部分ってまったくないですよね、内装も。結構手間かかってるような……。
エンジニア氏:ハッキリ言っちゃいますとね。このクルマ、最初はフィットアリアのワゴンとして企画が進んでたんですよ。アリアのまんまでオシリだけ荷室にしちゃおうと。
小沢:なんかメチャクチャ、カッコ悪いような……。
エンジニア氏:(苦笑)。でもまあそういうこともあって、もうちょっと真剣に作ろうと。荷室はもちろん、リアシートの居住性は物凄く上がってます。それでこうなったんです。
小沢:国内専用ボディですよね。ちなみに、4ナンバーの商用車ってあるんですか? カローラやウィングロードみたいに。
エンジニア氏:今のところ考えてません(ある、というウワサも)。
うーんこの作りこみ、まさにホンダらしさ大爆発である。フィットアリアベースじゃつまらないからイチから作り直し。正直、商用車の派生型や大量生産車種で手堅く利益を出すトヨタ、日産じゃありえない作り方かも。
でもなぁ。「地味で手堅く売れるから参入した」なんてホンダっぽくないような。ジミなそんなんシングルヒット狙いじゃん! って思ったけど、実は昔からホンダってニッチ市場狙いはたまにやる。うーむ、いったいどっちがホントなんだろう、ホンダさん!
(文=小沢コージ/写真=本田技研工業/2005年4月)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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