スバル・フォレスター2.0X(4AT)/2.0XT(4AT)【試乗記】
そっけない?いや、頼もしい 2005.03.15 試乗記 スバル・フォレスター2.0X(4AT)/2.0XT(4AT) ……256万2000円/288万2250円 2005年1月27日、スバルのクロスオーバーSUV「フォレスター」がマイナーチェンジされた。内外装の変更に加え、機能面の向上も図られたニューモデルに、自動車ジャーナリストの笹目二朗が乗った。“ポロポロ”はないけれど
「フォレスター」は1997年に登場、北米市場を主たる市場として、累計87万台が販売されている。この度、外観上は写真でご覧のようにランプ類やラジエーターグリルなど前後の表情を一新し、エンジンやサスペンションも改良を受けた。
エンジンは等長のエグゾーストマニフォルドが採用され、従来の排気干渉による“ポロポロ”という、独特のスバルサウンドはなくなってしまったが、吸排気効率を高めて低中回転域のトルクを向上させ、市街地などで多用する実用加速を使いやすいものにした。
フォレスターに用意されるチューンは2種。2リッター水平対抗4気筒SOHCの140ps/5600rpm、19.0kgm/4400rpmと、ターボ版DOHC260ps/6000rpm、35.0kgm/2400rpmである。
NAが好印象
乗った印象を簡単に述べよう。車両重量をみると、NAは1400kg、ターボは1460kg。前後重量配分では、前輪40kg後輪で20kgの違いとなる。ノーズの重さは回頭性に直接影響を与えるが、この場合にも例外ではなく、NAエンジン車はターボ車より軽快な操縦特性を得ている。エンジンパワーに関しては、たしかにターボの圧倒的な威力は認められるものの、2リッターの動力性能もなかなか。排気音などはNAが澄んだ快音を発するのに対して、ターボはややザワザワした感じの粗い音となる。価格差は25万2000円。
……というようなことから、総合的にはNAエンジンの2.0Xの方に良い印象をもった。
フォレスターの美点はいろいろあろう。フラットで快適な乗り心地のよさであるとか、高い視界による運転の安楽さとか、路面を選ばない走破性の高さとか。SUVというジャンルにこだわらず、普段の実用的なアシとしても便利なクルマで、サイズも持て余すほど大き過ぎないから、レガシィワゴンのような感覚で普通に使える。日常生活でも、NAエンジンの素直でジェントルな特性は受入れやすい性質である。
使える小業
ATは4段ながら、そのディメンションごとにきっちりした仕事をするタイプで、マニュアルシフトして回してやっても、高回転を維持しても、エンジンはけしてへこたれない。また全車種に5MTも用意されているから、マニュアル派の要求にも応える。
スバルは使う人の身になって、自分も欲しいと思うような、こまごました装備にも親切に対応した。サンバイザーの裏にはハイウェイカードや通行券を入れておくために便利な入れ物が3つもあるし、自分の記憶を信じれば、電源ソケットをシガーライター部以外に設置した最初のメーカーだ。フォレスターのトランク部にも、もちろん設置されている。リアシート用のドリンクホルダーは2つ、中央コンソール後部に小綺麗に仕舞いこまれてセットしてある。シートの撥水加工なども気の利いた装備のひとつ。使える小業も、また堂に入っている。
新しい顔はシンプルでそっけないが、それもスバルらしいトコロか。素朴で力強く頼もしそうにも見える。
(文=笹目二朗/写真=峰昌宏/2005年3月)

笹目 二朗
-
スズキ・エブリイJリミテッド(MR/CVT)【試乗記】 2025.10.18 「スズキ・エブリイ」にアウトドアテイストをグッと高めた特別仕様車「Jリミテッド」が登場。ボディーカラーとデカールで“フツーの軽バン”ではないことは伝わると思うが、果たしてその内部はどうなっているのだろうか。400km余りをドライブした印象をお届けする。
-
ホンダN-ONE e:L(FWD)【試乗記】 2025.10.17 「N-VAN e:」に続き登場したホンダのフル電動軽自動車「N-ONE e:」。ガソリン車の「N-ONE」をベースにしつつも電気自動車ならではのクリーンなイメージを強調した内外装や、ライバルをしのぐ295kmの一充電走行距離が特徴だ。その走りやいかに。
-
スバル・ソルテラET-HS プロトタイプ(4WD)/ソルテラET-SS プロトタイプ(FWD)【試乗記】 2025.10.15 スバルとトヨタの協業によって生まれた電気自動車「ソルテラ」と「bZ4X」が、デビューから3年を機に大幅改良。スバル版であるソルテラに試乗し、パワーにドライバビリティー、快適性……と、全方位的に進化したという走りを確かめた。
-
トヨタ・スープラRZ(FR/6MT)【試乗記】 2025.10.14 2019年の熱狂がつい先日のことのようだが、5代目「トヨタ・スープラ」が間もなく生産終了を迎える。寂しさはあるものの、最後の最後まできっちり改良の手を入れ、“完成形”に仕上げて送り出すのが今のトヨタらしいところだ。「RZ」の6段MTモデルを試す。
-
BMW R1300GS(6MT)/F900GS(6MT)【試乗記】 2025.10.13 BMWが擁するビッグオフローダー「R1300GS」と「F900GS」に、本領であるオフロードコースで試乗。豪快なジャンプを繰り返し、テールスライドで土ぼこりを巻き上げ、大型アドベンチャーバイクのパイオニアである、BMWの本気に感じ入った。
-
NEW
2025-2026 Winter webCGタイヤセレクション
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>2025-2026 Winterシーズンに注目のタイヤをwebCGが独自にリポート。一年を通して履き替えいらずのオールシーズンタイヤか、それともスノー/アイス性能に磨きをかけ、より進化したスタッドレスタイヤか。最新ラインナップを詳しく紹介する。 -
NEW
進化したオールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2」の走りを体感
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>欧州・北米に続き、ネクセンの最新オールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2(エヌブルー4シーズン2)」が日本にも上陸。進化したその性能は、いかなるものなのか。「ルノー・カングー」に装着したオーナーのロングドライブに同行し、リアルな評価を聞いた。 -
NEW
ウインターライフが変わる・広がる ダンロップ「シンクロウェザー」の真価
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>あらゆる路面にシンクロし、四季を通して高い性能を発揮する、ダンロップのオールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」。そのウインター性能はどれほどのものか? 横浜、河口湖、八ヶ岳の3拠点生活を送る自動車ヘビーユーザーが、冬の八ヶ岳でその真価に触れた。 -
NEW
第321回:私の名前を覚えていますか
2025.10.20カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。24年ぶりに復活したホンダの新型「プレリュード」がリバイバルヒットを飛ばすなか、その陰でひっそりと消えていく2ドアクーペがある。今回はスペシャリティークーペについて、カーマニア的に考察した。 -
NEW
トヨタ車はすべて“この顔”に!? 新定番「ハンマーヘッドデザイン」を考える
2025.10.20デイリーコラム“ハンマーヘッド”と呼ばれる特徴的なフロントデザインのトヨタ車が増えている。どうしてこのカタチが選ばれたのか? いずれはトヨタの全車種がこの顔になってしまうのか? 衝撃を受けた識者が、新たな定番デザインについて語る! -
NEW
BMW 525LiエクスクルーシブMスポーツ(FR/8AT)【試乗記】
2025.10.20試乗記「BMW 525LiエクスクルーシブMスポーツ」と聞いて「ほほう」と思われた方はかなりのカーマニアに違いない。その正体は「5シリーズ セダン」のロングホイールベースモデル。ニッチなこと極まりない商品なのだ。期待と不安の両方を胸にドライブした。