ストロングハイブリッドか1.8ターボか 新型「フォレスター」の悩ましいパワートレイン選択に雪道で決着をつける
2026.02.18 デイリーコラム新型フォレスターは売れてない!?
自販連の新車販売状況データによれば、2026年1月の「フォレスター」の販売台数は1546台。対前年比88.6%となっています。そもそもこの手の統計における「対前年比」というのはモデルサイクルが長期化するクルマ屋の構造とは相性があまりよくない気もするのですが、完全刷新から1年たたずしてこの数字……というのは、確かに気にはなるわけです。
これには2つの理由があるのではと想像します。ひとつはそもそも先代フォレスターが人気車種だったこと。当時はそこにきて次期型(つまり現行型)がかなり値上がりするんじゃないかといううわさも流れて、ちょっと駆け込み需要的な流れが起こりました。実際のところ、原価の高騰や標準装備の充実もあって実感値としては50万円以上の値上がりとなったわけです。
もうひとつは需給バランスの偏り。これは新たに設定されたハイブリッドの「S:HEV」が想定以上の人気となったことが主因です。スバルの側もリソースを調整して供給能力を高めたり、関税対策を兼ねて米国でのS:HEV生産にも踏み切ったりと生産計画を見直しています。が、その米国でも思いがけずS:HEVが人気だということで、動力分割機構など日本で製造する独自部品の融通が課題になっているといいます。
1.8リッターターボへのテコ入れ
ともあれ「1.8リッターターボがもっと売れてくれんかのう……」というのがフォレスターにまつわるスバルの本音であることは想像に難くありません。それもあってか、2026年春に予定される年次改良はグレードの整理統合や装備の見直しが主となるなかで、ターボをより買いやすくする……ようです。ちなみに臆測的な表記としたのはメーカーからは公式発表がないからでして、一方でディーラーはすでに年改仕様前提でお客さんとの商談を進めているらしく、その情報がダダ漏れ、もはや公然の秘密となっているんですね。
ターボのみに新設定されるグレード「ツーリング」は、シートやトリムの表皮がファブリックとなるほか、パワーリアゲートやワイヤレス充電機能のメーカーオプション化、ボディーカラーの選択肢が若干減って全6色になるなど一部簡素化が図られるものの、価格はアイサイトX搭載仕様でも400万円以下と、従来より約20万円は安い設定になるもよう。ちなみに走行性能・機能面については今回の年次改良で手は入らないそうです。
となると、ターボの走ってなんぼ的なところが気になってくるわけですが、先日、群馬サイクルスポーツセンターのコースの一部を使った雪上試乗の機会に恵まれました。
フォレスターの悪路走破性にまつわる素養はこのクラスでも屈指であることに疑いはありませんが、低ミュー下では2つのパワートレインのフィーリングやキャラクターの違いが鮮明に見えてきます。
こと扱いやすさにおいては、やはりターボはS:HEVにはかないません。発進からの路面のつかみや速度をじんわり乗せていくような扱いはモーターの特性がぴたりとハマりますし、微妙な減速にも回生制動がうまく働いてくれます。発進や停止の楽ちんさに加えて、足をすくわれないように駆動力を一定に保持しながら進んでいくにもモーターが内燃機のトルク変動を埋め合わせてくれるS:HEVはやっぱり有利。あらゆるドライバーにスバルならではの扱いやすさや安心感を味わってもらうにも、物理的に前後接続されたハイブリッド4WDというソリューションがモアベターだということが分かりました。
振り回せる楽しみ
ではターボの利はなんなのか。ひとつは車重です。S:HEVに対して約100kg軽い、その差は転がりだしの軽やかさや回頭性の高さといった身のこなしに想像以上に効いています。
その軽快さを生かしてアクセルで積極的に向きを変えていくような乗り方をすれば、やはり回転に伸びがありパワーが湧き上がっていくターボのほうが面白い。S:HEVでもそんな走りはできますが、重量と出力特性が相乗してか、キビキビと向きを変えるような快活さではターボにかないません。前述のとおりでそもそものスタビリティーのアベレージはクラス屈指なわけですが、そのうえで、安定のS:HEVかアクティブなターボか……と、そういうキャラ分けがなされているといえるでしょう。
ちなみにひとつ、ターボのほうを加勢しておくと、前(参照)にチラリと記したとおり、高速巡航燃費に劇的といえるほどの差はなさそうではあります。インスタントではありますが同じコースを限りなく同条件で乗り比べて、S:HEVが17km/リッターのところをターボは14km/リッターで走ってくれました。暫定税率廃止でガソリン価格もあるべき方向へとシフトしたこともあって、その程度の差なら新車価格の安いターボでもいいんじゃないかという人は、多少は増えるのではないかと想像します。ただし街なか燃費は「THS」が出自であるS:HEVの圧勝。ほかにもアウトドアでも活躍しそうな1500WのACアウトレットが用意されているなど、ターボにはない独自の魅力も備えています。
クルマのキャラクターからみても、乗るのは週末のレジャーで遠出が主というお客さんは少なからずいらっしゃることでしょう。そういう使い方ならば、ターボも悪くないですよとお伝えしたく思います。
(文=渡辺敏史/写真=スバル/編集=藤沢 勝)

渡辺 敏史
自動車評論家。中古車に新車、国産車に輸入車、チューニングカーから未来の乗り物まで、どんなボールも打ち返す縦横無尽の自動車ライター。二輪・四輪誌の編集に携わった後でフリーランスとして独立。海外の取材にも積極的で、今日も空港カレーに舌鼓を打ちつつ、世界中を飛び回る。
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