スズキ・スイフト1.5XS(4AT)【ブリーフテスト】
スズキ・スイフト1.5XS(4AT) 2005.02.10 試乗記 ……136.5万円 総合評価……★★★★ プラットフォームを一新し、スズキが気合を入れて開発したコンパクトカー「スイフト」は世界戦略車でもある。自動車ジャーナリストの笹目二朗は、その「普通さ」に注目した。「中庸」を得た、良識派の「普通」
以前の「スイフト」は、軽乗用車の拡大版的な印象も強く存在そのものも希薄だった。しかし、新型はクォリティを確保するだけでなく、独自のサイズ枠による個性を際立たせている。
新型スイフトはスタイリングに新味がある。単なる小型ハッチバック車から、ちょっとだけSUV的な背の高いフォルムに変身した。ドアの丈が高く厚みを感じさせる下半身に対して、ガラスエリアを天地に短かめに採ったボディは力強く、ツルンと丸味のある処理は高級感の演出としても効果的だ。そして現実に室内は広いし、適度に小さな外寸により、町中でもとりまわしやすく、キビキビ走る動力性能もなかなか活発だ。
ATは普通の4ATながら、必要とあればマニュアルシフトも楽しめるし、通常はDレンジに入れっぱなしで用が足りる。乗り心地も概ね快適で、パワーステアリングの操舵感もまずまずといった、実に中庸を得た設定がなされている。
このように、妙にトンガッた部分もなくもちろん不足もなく、価格もリーズナブルであるし、普通のユーザーが普通に乗れる車は案外少ない。余計なものは要らないが、必要な性能はちゃんと確保してほしいという良識派ユーザーにとっては、恰好の選択肢だ。
|
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2000年にデビューした初代「スズキ・スイフト」は、軽自動車の「Kei」をベースにボディを拡大し、1.3リッターエンジンを載せたものだった。ヨーロッパでは「イグニス」の名で販売され、JWRCでの活躍で人気を博していた。
新型スイフトは、プラットフォームから新しく開発し、最初から世界戦略車として構想されていた。日本のほかにハンガリー、インド、中国でほぼ同時に生産が始まり、今度は「スイフト」が世界共通の名称となる。
日本では2004年11月に発売が開始された。エンジンバリエーションは1.3リッターと1.5リッターの二つで、4段ATが組み合わされる。1.3リッターモデルでは、マニュアルトランスミッションを選ぶこともできる。それぞれにFFと4WDの二つの駆動方式が設定されている。
(グレード概要)
1.5XSは、1.5リッターDOHCエンジンを搭載し、4段ATを組み合わせた上級モデル。1.3リッターモデルに比べ、最高出力は19psのアドバンテージを得ている。装備面では、ステアリングホイールが革巻となり、オーディオにMDが装備されるなど、豪華仕様となる。また、「キーレススタートシステム」も標準装備だ。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
メーターはシンプルで見やすいが、中央に配した速度計は縁がやや目障り。左右のメーターを入れ換えてタコメーターを右にもってくると、さらにグッド。丸が基調のダイヤルやボタンで構成されるセンターセクションは、ナビ装着を考慮していないがすっきりはしている。カップホルダーはシフトレバー前のセンターコンソールにあり、位置はよいがサイズはやや小さめ。
(前席)……★★★
シートは座面後傾角がやや浅いが、サイドの盛り上がりは横方向のサポートを助けまずまず。クッションや表皮はザックリした一種の粗さが価格相応と思わせるが、座り心地は悪くない。前方の眺めは良好。Aピラーは立ち気味で、ルーフも高く広々している。ボンネットも一部が見えて安心感あり。ピラー下部とドアミラー周辺の視界があまりよくない。ドアポケットを広げてペットボトルなども入るようにしたい所だ。
(後席)……★★★
天井は高くて奥まで長く、ヘッドクリアランスはたっぷりしており、空間的に窮屈な感じがしない。シートバックの角度も寝過ぎておらず、ちょうどよい。ドアの天地寸法をたっぷり採ったデザインは相対的にガラス部分が小さめで、囲まれ感は守られ感にも通じ落ちつく。サイドシルの高さやBピラー付け根の張り出しは、スペース的には乗降時にやや邪魔と感じるが、剛性を考えればやむなし。前席背のハンガーフックは便利。
(荷室)……★★★
トランクスペースは、外観から予想するよりはるかに奥行きもあり大きい。しかも、深く使える。バンパー部分は荷物の抑えとなり、リッドを開けた時に中から物が転がり出しにくい。リアシートはスプリット可倒式で、繋げればライトバン的にも使える。棚板の位置が高く、ゲートの微妙な角度設定により棚の長さも短めなので、中も見やすく荷物出し入れに際して邪魔にならない。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
エンジンは滑らかに回り、トルク、レスポンスともに上々。気持ちのよい吹け方をするエンジンである。3000rpm 以下の実用回転域では比較的静か。ATは4段で、ギアレシオはワイドな設定ながらコレといった不満はない。ジグザグパターンのマニュアルシフトも操作上の不都合はなく、エンジンパワーは充分で、街中でも頻繁なシフトが必要ないほど。エンジンブレーキを活用すれば、Dと3の繰り返しで首都高程度の流れはクリアできる。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
目地段差のショックなども軽く、フラットさ加減もほどほどで特別なストレスを感じない設定。パワーステアリングはややフリクションが大きめだが、微舵域の復元性も問題なし。実用的なサイズのハッチバック5ドアとして、このような中庸を得た設定は簡単なようで実は難しい。妙にゴツゴツしたり不安な挙動を伴ったりすることが多いこのクラスにあって、良識を感じさせられる。
(写真=峰昌宏、荒川正幸/2005年2月)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2005年1月20日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2005年型
テスト車の走行距離:4400km
タイヤ:(前)185/60R15 84H(後)同じ
オプション装備:--
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4):高速道路(6)
テスト距離:161.4km
使用燃料:17リッター
参考燃費:9.4km/リッター

笹目 二朗
-
トヨタ・アクアGRスポーツ(FF/CVT)【試乗記】 2026.11.2 「アクア」のビッグマイナーチェンジに遅れること10カ月。“最新のトヨタ顔”に変身したスポーツコンバージョンモデル「アクアGRスポーツ」が登場した。専用チューニングが施されたボディーや足まわりの仕上がりを、ワインディングロードに連れ出して確かめた。
-
ベントレー・コンチネンタルGT S(4WD/8AT)【試乗記】 2026.10.31 ベントレーのラグジュアリークーペ「コンチネンタルGT」にハイパフォーマンスバージョンの「S」が登場。すでにトップパフォーマンスモデルの「スピード」が存在するなかで、果たしてSはどんなポジションを担うのだろうか。試乗を通じて検証した。
-
日産フェアレディZ NISMO(FR/9AT)【試乗記】 2026.10.28 「日産フェアレディZ」のマイナーチェンジモデルが登場。改良の主眼はZが受け継いできたヘリテージのさらなる深化と性能の強化だという。もはやお値段1000万円(!)に迫らんとする「NISMO」の9段ATモデルを試す。
-
ダイハツ・ミラ イースtuned by D-SPORT Racing(FF/5MT)【試乗記】 2026.10.27 ダイハツのベーシックな軽乗用車をもとに、ラリーやレース向けの競技車両に仕立てた「ミラ イースtuned by D-SPORT Racing」。軽量ボディーをロールバーで固め、力強いターボエンジンを搭載した一台は、クルマの楽しさを学べる教科書のような一台となっていた。
-
フォルクスワーゲン・ゴルフGTI(FF/7AT)/ゴルフRアドバンス(4WD/7AT)【試乗記】 2026.10.26 1976年に誕生し50周年を迎えたフォルクスワーゲンのホットハッチ「ゴルフGTI」と、333PSの出力とハイテク満載の4WDシャシーを武器とする高性能モデル「ゴルフR」にサーキットで試乗。両者の違いとそれぞれの特徴を報告する。
-
NEW
ポルシェの「ミッションS」にはどんなエンジンが積まれるのか
2026.11.4デイリーコラム「ポルシェ・ミッションS」はリアミドシップレイアウトの次世代スポーツカーだ。興味深いのは“「911」より上”とされる商品のポジションで、911といえば水平対向6気筒、ミッションSにはどんなパワートレインが積まれるのか。状況証拠をもとに検証した。 -
NEW
第135回:アウディデザイン水掛け論(後編) ―モアイ像か、怪物か アウディの未来を決める極限の選択―
2026.11.4カーデザイン曼荼羅「Q9」に「A2 e-tron」に「ヌヴォラーリ」と、方向性の異なるデザインを同時多発的に提案してきたアウディ。かつて先駆的な造形美で世界を瞠目させた彼らは今、どこへ向かおうとしているのか? カーデザインの識者と、フォーシルバーリングスの未来を考えた。 -
第348回:これでスーパーカーは完全に終わった!
2026.11.3カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。イーロン・マスクが宇宙ロケット技術をクルマに応用し空飛ぶクルマ「テスラ・ロードスター」を発表した。スラスターで姿勢を制御しつつ“飛行”する様子には度肝を抜かれ、「これでスーパーカーは完全に終わった」と思った。 -
多田さんが「わかってるね!」と感じるクルマの特徴は?
2026.11.3あの多田哲哉のクルマQ&Aトヨタでさまざまなクルマを開発してきた多田哲哉さんが、新型車に試乗して「このクルマの開発者はよくわかっているなぁ」と感じるのはどんな時か? “出来の違い”が出るポイントについて聞いてみた。 -
BYD ATTO 3 EX AWD(4WD)【試乗記】
2026.11.3試乗記BYDの「ATTO 3」がビッグマイナーチェンジで「ATTO 3 EX」に進化。EXは「EXTEND」「EXPLORE」「EXPERIENCE」を示すとのことだが、それはともかく、前輪駆動から後輪駆動に変わり、パワーも大幅にアップするなど、電気自動車(BEV)としての基本構造がまるで別物になっている。新たに追加された4WDモデルを試す。 -
いま軽自動車を選ぶなら、エンジン車とEVのどちらが得か? リアルな数値でコスパを比較・検証する
2026.11.2デイリーコラム海外ブランドまで参入するなど、近年活況をみせる軽EV。従来型の軽自動車と比べた場合の、コスト面の良しあしは? ホンダの2車種を例にとり、そのコストパフォーマンスを考えよう。





























