「ブレーキが深くなってしまいます」

2004.12.11 クルマ生活Q&A 松本 英雄 ブレーキ
【webCG】クルマを高く手軽に売りたいですか? 車一括査定サービスのおすすめランキングを紹介!

「ブレーキが深くなってしまいます」

いつも楽しみにしています。「アルファロメオ156」に乗っていますが、最近ブレーキフィーリングに不安をおぼえます。制動力には問題がないようなのですが、ブレーキペダルの“踏みしろ”が深くなり、やたら奥の方で制動力が発生するのです。さらに、それがいつもではなく、1日に1回程度なのです。
ディーラーに点検してもらったのですが、「マスターバックが悪いかもしれないが、交換しても完全に直るかどうかわからない」と言われました。
いったい何が原因でどうなっているのでしょうか?(MTさん)

お答えします。ブレーキが深くなるにはいろいろと原因があります。
例えばブレーキパッド。異常に磨耗したブレーキパッドは、パッドを押し出すピストンの剛性が低下するため、制動力がペダルの奥で出るということもあります。ただし、1日に1度程度ということなので、これは当てはまらないでしょう。

経験から、ブレーキホースの劣化も考えられますが、最近のホースではあまりないでしょう。昔のホースは、劣化によって膨張してしまい、しっかりとしたブレーキタッチを得られず、ペダルの奥の方で効いているフィールになることもあったのです。

可能性が高いのは、油圧を発生させるマスターシリンダーです。中に入っているゴムパーツの劣化によって油圧がしっかりと発生せず、ペダルが奥になる場合が考えられます。
もう一つ、ブレーキにエアが入り込んでることも考えられます。特にABS装着のクルマは、このシステムにエアーが噛むとブレーキタッチを悩ます場合が多いです。ブレーキのエア抜きとは別に、ABSのエア抜きを行う必要があります。

ディーラーのいう、マスターバックの不良も考えられますが、通常その場合はペダルの踏みはじめが重くなり、ブレーキの効きが悪くなるようなフィールになることが多いので、違うかもしれません。

まずは簡単な部分から直すのが修理の基本です。ブレーキ全体を目視で点検し、最初はエアー抜きをして原因を突き止めていきます。少ない部品の交換で確実に直すのは、メカニックの腕の見せどころというわけですね。

クルマ生活Q&Aトップへ

松本 英雄

松本 英雄

自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。