ダイハツ・ムーヴラテX(4AT)【ブリーフテスト】
ダイハツ・ムーヴラテX(4AT) 2004.11.17 試乗記 ……117万4950円 総合評価……★★★ ダイハツの主力「ムーヴ」をベースに、女性向けの優しいデザインを与えた「ムーヴラテ」。「タント」に続くプロダクト攻勢モデル第2弾に、自動車ジャーナリストの生方聡が乗った。
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ママにはうってつけ
日本車の優れた点はたくさんあるが、なかでも効率のよいパッケージングは誰もが認めるところ。その究極のカタチが軽自動車ということになるが、ホント、呆れるくらい室内が広い。全長3.4mのボディで、よくもあれだけの後席スペースやラゲッジルームが確保できるものだ。
この「ムーヴラテ」も、なりは小さいのに室内は広大である。「かわいい〜」という声が聞こえてきそうなエクステリアデザインや、イタリア語で“ミルク”を意味する「ラテ」という名前の響きが、私のようなオジサンにはなんとも気恥ずかしいのだが、実際クルマに乗り込んで運転してみると、意外にイイのである。
運転は苦手。だから小さなクルマがいいけど、荷物はたくさんつみたい、なんてママさんには、まさにうってつけのクルマだろう。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
その名のとおり、ダイハツの主力「ムーヴ」の派生車種として2004年8月にデビュー。主に“リラックスしたライフスタイル”を志向する女性をターゲットに、ほのぼのとしたスタイル、広くてなごめる室内、便利な機能装備や収納などを盛り込んだニューモデルである。
ボディサイズ、ホイールベースはムーヴと同じで、全長×全幅×全高=3395×1475×1630mm/2390mmだが、室内は50mm長く、また「タント」より30mm短い1970mm。内外装とも“まる”をモチーフにしたデザインが特徴で、ボディフォルムは一般的なハイトワゴンのそれを踏襲しつつ、角を丸め、丸目のフロントマスクとともに柔らかさや“ほのぼの感”を演出した。
インテリアは、ドアトリム&ドアハンドルやメーター、インパネクラスターなどが円形。シンプルなデザインに丸いアクセントを加えることで、カジュアルでくつろげる空間を実現したという。縫い目とボタンで背面にスマイルマークを付けた「スマイルベンチシート」を採用するなど、シャレも利かせた。
エンジンは、659cc直列3気筒DOHC12バルブ(58ps)、またはインタークーラー付きターボ(64ps)の2種類。前者に4段AT、後者には電子制御ロックアップ機構付き4段ATが組み合わされる。
(グレード概要)
グレード体系は、NAモデルが「L」「X」「Xリミテッド」、ターボは「RS」と「RSリミテッド」(RSリミテッドは12月発売予定)の5グレード構成。いずれにもFFと4WDを設定した。
「ムーヴラテX」は、NAユニットを積む中核グレード。廉価版「L」には装備されない、チルトステアリングやバニティミラー、クリーンエアコン、CD/MD・AM/FMラジオ+4スピーカーなどを標準装備する。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
シルバーに塗装されたメタル調インパネと「アプリコット」カラーのドアトリムが印象的なムーヴラテの室内。実物を見て驚いたのは、その仕上がりのよさだ。「これで軽自動車?」と思うほどキレイなつくりだし、思い切ったデザインもいい。変に高級感を演出するのではなく、楽しい雰囲気をつくりあげたのがよかった。
試乗したXグレードには、オートエアコンやキーレスエントリー、CD/MDプレーヤーなどが標準で装備され、デュアルエアバッグやブレーキアシスト付きABSも標準。オプションなしでも装備は十分だ。
(前席)……★★★
ドアトリムと同じアプリコットカラーがあしらわれた「フロントスマイルベンチシート」は、見た目から受ける印象はソフトだが、座ってみるとそれほどフワフワした感じはなく、適度にカラダにフィットする。試乗車にはメーカーオプションのシートリフターが装着されていて、標準のチルトステアリングとあわせて快適なドライビングポジションが得られた。ただ、1時間ほど運転したら、ちょっと腰が痛くなったのがツラい。ランバーサポートが欲しいところ。
グラブボックスに加えて、ダッシュボードやシート下、アームレストなど、実用車らしく小物収納が多いのはうれしい点だ。
(後席)……★★★
前席同様、見た目ほどフワフワではないリアシート。だが、シートバックが平板で、サポートが不足気味だった。リクライニング機構が付くのがせめてもの救いである。
一方、左右一体ながら250mmもの前後スライドが可能で、シートをもっとも後ろに下げると足が組めるほどのスペースが確保されるのは凄い! 一番前でもギリギリ座れるし、それより後ろなら、大人でも必要十分なレベル。座面が高いため前方の視界も良好だから、後席に座らせられても不満の声はあがらないだろう。
(荷室)……★★★★
リアシートを一番後ろに下げた状態でも、30cm強の奥行きが確保されるラゲッジスペース。必要ならシートを前にスライドさせることで、容易にスペースを広げることができる。さらに、リアシートのシートバックに設けられるレバーを操作するだけでフラットな荷室が得られるから、かなり大きなモノでも、いとも簡単に呑み込むことが可能だ。ムーヴ譲りのパッケージングに改めて感心。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
4段オートマチックが組み合わされる58ps、6.5kgmの3気筒DOHCエンジンは、出足が軽快で、走り出せばアクセルペダルに対するレスポンスがよく、街なかの流れにわけなくついていくことができる。エンジン音が目立つものの、加速時のトルクの出具合も合格点。さすがに高速道路で追い越し加速するような場面では力不足を感じるが、街なか中心の利用であればこれで十分といえる。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
背の高いワゴンだけに、足まわりはフワフワというわけにはいかず、乗り心地はやや硬め。荒れた路面では表面の凸凹が伝わってくる。目地段差を通過したときも多少ドタバタする印象だが、突き上げられるようなショックはなく、後席に座っていても上下動がすくないから苦にならない。
今回は高速道路を走るチャンスがあったが、直進安定性は十分。いまやこのクラスでは珍しくなった油圧式パワーステアリングの自然な感触も手伝って、長距離の運転が苦にならなかった。
(写真=峰昌宏/2004年11月)
【テストデータ】
報告者:生方聡
テスト日:2004年10月14日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2004年型
テスト車の走行距離:1501km
タイヤ:(前)145/80R13 75S(後)同じ(いずれもファルケン・シンセラ)
オプション装備:運転席シートリフター(9450円)/14インチアルミホイール(4万2000円)
テスト形態:ロードインプレッション走行形態:市街地(2):高速道路(6):山岳路(2)
テスト距離:211km
使用燃料:18リッター
参考燃費:11.7km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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