日産ティーダ15G(CVT)【試乗記】
“C”と渡り合う“B” 2004.11.12 試乗記 日産ティーダ15G(CVT) ……225万4350円 “高級”で日産のコンパクトカーを変革するという「ティーダ」。かつての「サニー」「パルサー」の後継モデルはどうなのか? 『webCG』記者が乗った。“安かろう”じゃない
「ティーダ」のインプレッション掲載が遅れ、読者の方(Aさんとさせていただきます)からお叱りのメールをいただいてしまった。
『CAR GRAPHIC』ファンだというその方はティーダの購入を検討しており、他の候補車と合わせて試乗。メールに記されていたインプレッションや、問題点と疑問には、“外野”(自動車メディアに関わる人たち)とは違って、なんというか、買う人の真剣さがこもっていて、とても興味深く読ませていただいた。「トヨタ・カローラランクス」「マツダ・アテンザ」など、競合車に挙げたクルマのクラス、カテゴリー、価格帯にも、買う人ならではのリアリティが感じられ、改めて“クルマを買う”ことの大きさを実感。いろんな意味で、勉強&反省した次第です。
ティーダが気になる人すべてが、Aさんと同じ着眼点を持っている保証はないけれど、今回はAさんのメールに沿って、ティーダをご紹介しようと思う。
「ティーダ」をざっくり説明すると、「パルサー」「サニー」の後継にあたるコンパクトカー。5ナンバー枠イッパイ、やや背が高めのボディを、1.5リッター直4で走らせる前輪駆動の2BOXである。このカテゴリーは従来、価格も性能もそこそこ、“安かろう”のクルマだったが、日産は高級感を付与。「シーマ」並みの広さと、細部まで作り込んだインテリアが自慢だ。
ちょっとフランス車チック
実際、室内は広い。特にリアシートは240mmの前後スライドが利いて、一番後ろに下げれば余裕で足が組める。シンプルな形状のシートは当たりが柔らかく、背中とお尻にフニっと当たる感触が快適。といってコシはあるから腰砕けになることはない。国産車はドイツ車チックな硬いシートが多いけれど、ティーダはちょっと旧いフランス車チックなのがユニークで、Aさんがライバルに挙げたランクスやアクセラと大きく違うトコロ。Aさんは、ティーダの内装の質感や室内の広さ、使い勝手のいいサイズが気に入ったという。
エンジンは、「HR15DE」型1.5リッター直4DOHC。CVTとマッチングを図った新開発ユニットで、従来の同クラスに比べて低速トルクを5〜10%アップ、フリクション低減による低燃費を実現した。ただし、廉価グレード「15S」や4WDは、トランスミッションが4段ATとなる。
パワートレインは日産の説明どおり、むしろそれを上まわるほど充分な動力性能を発揮した。出足に乱暴なマナーはまったくなく、CVTの恩恵でスムーズに加速する。そのCVTも、新型エンジンに合わせてレスポンスや効率を高めた改良型だから、エンジン回転とクルマの動きにズレがなく気持ちいい。動力性能やエンジンに関して、Aさんは触れていないが、これは上を見たらキリがない。ティーダにモアパワーを望む方は、追加予定の1.8リッターモデルを待つテもある。
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ぶっちゃけると“B”
Aさんがもっとも注目したのは、乗り心地とハンドリングで、ここに疑問や不満が集中していた。目の付け所が、いかにも『CG』ファンっぽいなぁ……というのは置いて、レポーターもそこがティーダというクルマを象徴する部分だと思う。ぶっちゃけて言うと、“Bセグメントのクルマ”なのである。
ティーダのプラットフォームは、「マーチ」「キューブ」と同じBプラットフォーム、ルノーでは次期「クリオ」(ルーテシア)や「トゥインゴ」と共用する、小型車用の土台でつくられた。日産のエンジニア氏いわく、Bプラットフォームはメカ類を小さく採るパッケージング重視のつくりで、ティーダはそれを広さに最大限捧げることで、シーマ並みの室内空間を確保している。ホイールベースはともかく、5ナンバー枠に収めるにはトレッドを拡げることもできず、ダイナミクスには限界があるワケだ。
それにしては、ティーダはとてもよく走ると思った。柔らかなインテリア同様、自然なロールをともなうコーナリングは、ドイツ車チックなシッカリ感とは違うけれど、ロールしたところで踏ん張ってくれるし、クルマのキャラクターに沿っていて好ましい。乗り心地もタウンスピードではおおむね良好。高速道路の追い越し車線で段差を超えたときなど、フロアがバタンとするが、「キューブキュービックの親戚」であることを思えば、かなり頑張っていると感じた。
Aさんはたぶん、ティーダのすべてにCセグメントであることを期待したから、疑問や不満が出たのだろう。ランクスやアクセラとイイ線で渡り合い、部分的に「残念」とまで感じさせたティーダは、やはり秀逸なコンパクトカーなのだと思う。
(文=webCGオオサワ/写真=峰昌宏/2004年11月)

大澤 俊博
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