トヨタ・アイシスプラタナ2.0(CVT)/プラタナ1.8(4AT)【試乗記】
センターピラーレスに期待 2004.11.02 試乗記 トヨタ・アイシスプラタナ2.0(CVT)/プラタナ1.8(4AT) ……265万4400円/254万9400円 センターピラーレスボディと電動スライドドアによる大開口「パノラマオープンドア」を売りものにする、トヨタの新型ミニバン「アイシス」。「ガイア」の後を継ぐモデルに、自動車ジャーナリストのいしわたり康が試乗した。デフォルトは5人乗り
ミニバンを数多くラインナップするトヨタが、今度は助手席側センターピラーレスのスライドドアを採用した「アイシス」を発表した。ポジション的には「ガイア」の後継。5ナンバーサイズの7人乗りで、サードシートは基本的に収納した状態がデフォルトというのがこのクルマのコンセプトである。
トヨタによると、5ナンバーサイズの7人乗りミニバンの場合、サードシートを使うのは1年に1度か、2度というデータがあるという。ユーザーの多くは3〜4人家族で、おじいちゃん、おばあちゃんが来たときに、ちゃんと全員乗れることが大切らしい。あるいはおじいちゃん、おばあちゃんがオーナーで、孫たちが遊びに来たときに便利だから、という人もいるという。
だから、サードシートはあくまでもエマージェンシー用。ふだんはラゲッジスペースとしての使いやすさを考慮して、ワンタッチで床下収納できるようになっている。座り心地より、簡単収納がファーストプラオリティというわけだ。
注目の左側センターピラーレスドアは、助手席を前に折り畳んだときや、センターシートをチップアップした「センターラゲッジモード」で、威力を発揮する。左側スライドドアは、全グレードに標準で電動パワーアシストが装着される。
拡大
|
拡大
|
拡大
|
小気味よい走り
試乗したのは2リッター、2WDの「プラタナ」と呼ばれるグレード。アイシスは5ナンバーサイズが基本だが、専用エアロパーツを装備し、16インチホイールを履くプラタナは、全幅がわずかに1700?を超えるため3ナンバーとなる。
最近のミニバンの流れに乗って、このモデルもアイポイントを低く設定しているため、全高は1640?とじゃっかん低め。5ナンバーサイズなので全体の印象は幅が狭く、低く長いものとなっている。サイズ的にもデザイン的にも、「ウィッシュ」と「ノア/ヴォクシー」の中間的なもので、ウィシュほどスタリッシュではなく、ノアほどプラクティカルではないといったところだ。
ドライバーズシートからの眺めは、ミニバンというよりセダンに近く、一般的なセダンと較べてもダッシュボードは高く感じられる。
搭載されるのは155psを発生する直噴ガソリンエンジン。組み合わされるトランスミッションは7段スポーツシーケンシャルシフトを持つCVTである。
エアロパーツ、16インチホイールにシーケンシャルシフトと、ミニバンなのに頑張っているが、実際の走りも想像を裏切らないスポーティなものだった。CVTにありがちなエンジン回転がやたら高くなる感覚もなく、ごく自然にスピードを上げていく。6000rpm近くまで、ストレスなくスムーズに回転を上げる直噴エンジンの気持ちよさも、スポーティ感覚を高めるのに貢献している。
シーケンシャルモードに入れると、まるでスポーツカーを操っているような、小気味よい走りが味わえる。「この手のミニバンにシーケンシャルモードなんか必要なの?」と思っていたが、これなら納得できる。
試乗コースはたまたまワインディングロードだったが、このシャシーは剛性感は高いし、ハーシュネスも弱く乗り心地もいい。さらに接地感も高く、迫り来るコーナーをミニバンらしからぬ身のこなしで次々とクリアしていった。
次に1.8リッターエンジンに4段ATを組み合わせたプラタナに乗った。15インチホイールを履くこのモデルは、ハーシュネスが強く乗り心地も2リッターほどよくない印象。エンジンは騒々しく、4段ATの洗練度も低い。この違いが本来のものか、あるいは個体差なのか、短い試乗時間では判断を下せなかった。しかし、すくなくともエンジン、ミッションの組み合わせは2リッターにCVTが間違いないようだ。
5ナンバーの制約
さて、インテリアのできや使い勝手はどうだろうか。ドライバーズシートは平板でコシもなく、ヨーロッパのこの手のミニバンの心地よさとサポート性には、まだまだ追いついていない。セカンドシートは前後方向には余裕があるものの、5ナンバーサイズの制約により、左右方向はやや狭く感じた。また、セカンドシートの下に燃料タンクが配置されるため後部フロアが高くなっており、踵の収まりが悪くて寛げない。
サードシートはヘッドルーム、レッグルームともに十分。ただし、シートクッションは薄く、フロアとの距離も近いので、あくまでもエマージェンシー用として割り切って使うしかない。これで長距離ドライブは遠慮したいところだが、コンセプトどおりというところだろう。
売りのひとつである左側センターピラーレスドアは、ボディ剛性などとトレードオフで失っているものがないから、これはこれで開放感があっていいかもしれない。いろいろ使っていくうちに、センターピラーレスのメリットが実感できるのではないだろうか。
(文=いしわたり康/写真=荒川正幸/2004年11月)

いしわたり康
-
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】 2026.3.3 「GRヤリス」の新仕様として設定された「エアロパフォーマンスパッケージ」装着車に試乗。レースフィールドでの知見を交え開発したというエアロパーツの空力・冷却性能は、リアルワールドでも体感可能なのか。高速道路を経由し、郊外のワインディングロードを目指した。
-
ドゥカティ・モンスター(6MT)【海外試乗記】 2026.3.2 ドゥカティのネイキッドスポーツ「モンスター」が5代目にモデルチェンジ。無駄をそぎ、必要なものを突き詰めてきた歴代モデルの哲学は、この新型にも受け継がれているのか? 「パニガーレV2」ゆずりのエンジンで175kgの車体を走らせる、ピュアな一台の魅力に触れた。
-
フォルクスワーゲンID.4プロ(RWD)【試乗記】 2026.2.28 フォルクスワーゲンのミッドサイズ電気自動車(BEV)「ID.4」の一部仕様変更モデルが上陸。初期導入モデルのオーナーでもあるリポーターは、その改良メニューをマイナーチェンジに匹敵するほどの内容と評価する。果たしてアップデートされた走りやいかに。
-
スズキ・キャリイKX(4WD/5MT)【試乗記】 2026.2.27 今日も日本の津々浦々で活躍する軽トラック「スズキ・キャリイ」。私たちにとって、最も身近な“働くクルマ”は、実際にはどれほどの実力を秘めているのか? タフが身上の5段MT+4WD仕様を借り出し、そのパフォーマンスを解き放ってみた。
-
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)【試乗記】 2026.2.26 日本で久々の復活を遂げた「ホンダCR-V」の新型に、北海道のテストコースで試乗。雪上・氷上での“ひとクラス上”の振る舞いに感嘆しつつも、筆者がドン! と太鼓判を押せなかった理由とは? デビューから30年をむかえたCR-Vの、実力と課題を報告する。
-
NEW
BYDシーライオン7 AWD(4WD)
2026.3.5JAIA輸入車試乗会2026堂々たるスタイルにライバルの上をいくパワーと一充電走行距離、そしてざっくり2割はお得なプライスを武器とする電気自動車「BYDシーライオン7」。日本市場への上陸から1年がたち、少しずつ存在感が増してきた電動クーペSUVの走りやいかに。 -
NEW
ついにハードウエアの更新も実現 進化した「スバルアップグレードサービス」の特徴を探る
2026.3.5デイリーコラムスバルが車両の機能や性能の向上を目的とした「スバルアップグレードサービス」の第3弾を開始する。初めてハードウエアの更新も組み込まれた最新サービスの特徴や内容を、スバル車に乗る玉川ニコがオーナー目線で解説する。 -
NEW
第951回:日本が誇る名車を再解釈 「ホンダNSXトリビュートby Italdesign」の開発担当者に聞く
2026.3.5マッキナ あらモーダ!2026年の「東京オートサロン」で来場者の目をくぎ付けにした「ホンダNSXトリビュートby Italdesign」。イタルデザインの手になる「ホンダNSX」の“再解釈”モデルは、いかにして誕生したのか? イタリア在住の大矢アキオが、開発関係者の熱い思いを聞いた。 -
メルセデス・マイバッハSL680モノグラムシリーズ(4WD/9AT)【試乗記】
2026.3.4試乗記メルセデス・マイバッハから「SL680モノグラムシリーズ」が登場。ただでさえ目立つワイド&ローなボディーに、マイバッハならではのあしらいをたっぷりと加えたオープントップモデルだ。身も心もとろける「マイバッハ」モードの乗り味をリポートする。 -
始まりはジウジアーロデザイン、終着点は広島ベンツ? 二転三転した日本版「ルーチェ」の道のり
2026.3.4デイリーコラムフェラーリ初の電気自動車が「ルーチェ」と名乗ることが発表された。それはそれで楽しみな新型車だが、日本のファンにとってルーチェといえばマツダに決まっている。デザインが二転三転した孤高のフラッグシップモデルのストーリーをお届けする。 -
第863回:3モーター式4WDの実力やいかに!? 「ランボルギーニ・テメラリオ」で雪道を目指す
2026.3.3エディターから一言電動化に向けて大きく舵を切ったランボルギーニは、「ウラカン」の後継たる「テメラリオ」をプラグインハイブリッド車としてリリースした。前に2基、リアに1基のモーターを積む4WDシステムの実力を試すべく、北の大地へと向かったのだが……。































