「コンピューターの自己診断はどうやって? 」
2004.11.02 クルマ生活Q&A エンジン「コンピューターの自己診断はどうやって? 」
いつも楽しく見ています。質問ですが、最近の高級車には、オイル交換時期などをユーザーに知らせる「オンボードコンピューター」を見かけます。あれはどういう仕組みになっているのですか? まさか、最初から決まった距離で表示されるようにプログラムされているということはないですよね。教えてください。
お答えします。メーカーによって若干異なると思いますが、多くの場合、オイル交換時期の表示は、エンジン回転数とスロットル開閉度、走行距離などからエンジンの負荷を算出してワーニングを出します。事前にシミュレーションを行い、それを基本データとしているのです。
オイルの汚れをセンサーで分析して……なんて考えている人もいるかもしれませんが、実際にセンサーのみでオイルの劣化を検知するには、大変な装置が必要となってしまいます。オイルには様々なモノ(添加剤)が混入されていますから、劣化の良否をセンサーだけで判断するのはとても難しいのです。
なお、たとえば渋滞などストップ&ゴーが多い日本の交通環境では、シミュレーション結果とあわなくなり、劣化状態と交換時期がズレること(交換時期が先延ばしされること)があります。
このような環境では、エンジン内部の燃焼状態が悪く、温度も安定していないことから、オイルが汚れがち。つまり走行距離を重ねなくとも、オイルの劣化がどんどん進みます。よって、コンピューター指示を待つだけではなく、定期的に交換、もしくはオイルをチェックすることをお奨めします。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。