ジャガーXJ6(6AT)【試乗記】
もっとも価値あるXJ 2004.08.12 試乗記 ジャガーXJ6(6AT) ……849.0万円 アルミモノコックボディの採用で、伝統的なジャガーサルーンスタイリングはそのままに、室内スペースの拡大や軽量化に成功した「XJシリーズ」。V8モデルのみだったラインナップに加わった3リッターV6搭載の「XJ6」。自動車ジャーナリストの笹目二朗が乗った。「XJ6」の復活
新型「XJシリーズ」の販売も軌道にのったようで、本命ともいえる3リッターV6モデル「XJ6」が追加された。“XJエイト”より“XJシックス”の方が語呂もよく、耳に心地よく響く。伝統あるモデル名の復活は喜ばしい。新型に切り替わった当初は、高性能で豪華な仕様から売るのが戦略というもの。落ちついてくれば、選択肢を拡げていくのが常道なのだ。
とくにXJシリーズの場合は、グレードごとの内装や外観にほとんど差もなく、異なるのはエンジン排気量、気筒数が8か6かだ。8気筒で一番ちいさい3.5リッターV8のアウトプットは、267ps/6250rpmと34.6kgm/4200rpm。XJ6が積む3リッターV6は「Sタイプ3.0V6」と同じユニットで、243ps/6800rpmの最高出力と、30.6kgm/4500rpmの最大トルクを発生する。
構造的な優位性やプレミアム性もさることながら、絶対的なパワーに差があるのはもちろんのこと。とはいえ、XJシリーズはアルミモノコックの軽量ボディ。もとより、動力性能において劣る要素はすくない。高級サルーンに“お買い得”という表現は適切ではないから、“もっとも価値あるXJの登場”ということになるだろう。
光る“技”
ABSやESPといったデバイスや、スロットル、サスペンション制御にいたるまで、各種電気装置が一般化した現在、最先端技術を誇れるのはボディの軽量化だ。盛り沢山の装備を与えてしまえば、重量増をまねくのは必定。それを、“デキなり”で売るのは能がない。パワーアップで応えれば動力性能は追いつくとしても、燃費やブレーキ性能、衝突時のエネルギー、果ては環境問題にいたるまで、重くなることが絶対的に不利なことは明白だ。軽量化こそ、今一番注目されるべき技術であり、それを制してこそ自動車メーカーの“技”が光る。
全長5m級の大型高級車市場において、XJ6の直接のライバルと目されるのは、「BMW735i」(887万2500円)と、「メルセデスベンツS350」(896.7万円)だろう。ちなみに、S350はボディ重量が1780kg、735iは1900kgもある。対するXJ6の車重は、1630kgにすぎない。これは、スチールボディの「Sタイプ2.5V6」の1680kgより軽いのだ。
ジャーマンサルーンに更なる追い打ちをかけるなら、735iが3.6リッター、S350は3.7リッターのV8だ。XJ6より0.5リッター、約17%大きいエンジンを搭載するにもかかわらず、パワー・トゥ・ウェイトレシオは前者が7.0kg/ps、後者は7.3kg/psにとどまる。3リッターV6のXJ6は、6.7kg/psと勝るのだ。より速く、しかも経済的ということになる。
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“豪快”とは別のスポーティ
このクラスのユーザーにとって、価格差はもちろん関心事ではあるだろうが、もともとベースが高いのだから、見栄で仕様を選ぶ必要もあるまい。となると、やはり、もっとも価値あるXJと胸を張り、数の上でも販売上の主力はXJ6に移ってくるのではないだろうか。
もちろんXJシリーズ同士の比較でも、XJ6は8気筒版より50kgも軽い。ノーズが軽いとなれば操縦性に好影響を与えるのは当然だ。SタイプRの豪快さとはまた別の敏捷な軽快感をもって、もっともスポーティなXJであると言える。快音を発して回るエンジンも、8気筒より6気筒の方が気持ちいい。
XJ6はジャガーらしいもっとも魅力的なサルーンである。
(文=笹目二朗/写真=峰昌宏/2004年8月)

笹目 二朗
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