トヨタ・カローラG(5MT)【ブリーフテスト】
トヨタ・カローラG(5MT) 2004.06.26 試乗記 ……191万4150円 総合評価……★★★★ より立派なグリルが付き、ランプ形状も変更されて目もと涼しくなった「トヨタ・カローラ」。グッと豪華に変わった“変わらなきゃ”カローラの中堅セダンに、『webCG』コンテンツエディターのアオキが乗った。
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不満のないクルマ
大トヨタの意地で、販売台数日本一を奪還した「カローラ」ファミリー。セダンに加え、ワゴン「フィールダー」、ハッチバック「ランクス」、ミニバン「スパシオ」の成績を合わせて、ライバルの挑戦を跳ね返す。ファミリー中、セダンの割合はワゴンと並ぶ35%(2004年1-4月)。国民的大衆車でも「クルマといえばセダン」は遠く、なりにけり。だが、ミニバン全盛のニッポンで、月5000台前後の3ボックスをコンスタントに売るのは、さすが。
まもなくデビュー4周年を迎えるにあたり、9代目はフェイスリフトを受け、キリリとした顔つきになり、グリルのメッキも輝きを増した。今回、マニュアルで“普通の”カローラに乗るという希少な(?)体験ができたが、全体におっとりした性格は、トランスミッションの種類が違っても変わらず。エクサイトメントはないが、安心感高いドライブフィール。充実した装備類。リーズナブルな価格。総じて不満のないクルマ。でも、格段の進歩を遂げた欧州のカローラたる「フォルクスワーゲン・ゴルフ」を見ると、10代目はさらに“変わらなきゃ”!?
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【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2000年8月28日に発表された9代目「カローラ」。セダン、ワゴン「フィールダー」、ハッチバック「ランクス」、ミニバン「スパシオ」のファミリーで、販売台数日本一を維持すべく、日々戦っている。
セダンのエンジンラインナップは、1.3リッター(87ps)、1.5リッター(109/110ps)、1.8リッター(132ps)の3種類(出力は、いずれもFF、AT車)。FF(前輪駆動)のほか、4WDも用意される。
2004年にマイナーチェンジを受け、顔つきが豪華に、エンジンの環境性能も向上した。
(グレード概要)
セダンは、ベーシックの「X」、標準仕様の「G」、豪華仕様の「Luxel(ラグゼール)」が基本グレード。テスト車の「G」と下位グレード「X」を比較した場合、Gにはタコメーターが付き、エアコンがオートになり、リアにアームレストが備わり、オーディオのスピーカーが4スピーカーになるのが主な違い。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
センターコンソール、ディスプレイまわりの面一化が進められ、すっきりした印象になった。見かけの品質感向上。ただし、テスト車「G」の木目調パネルとアルミ調コンソールの混在はいかがなものか? 「X」はどちらもアルミ調、「ラグゼール」なら木目調と統一されるのだが……。
文字盤が発光する「シルエットメーター」からシンプルな二眼式になったメーターは、見やすいことは見やすいのだが、ルックスが少々ショボい。ナビゲーションシステムの6.5型ディスプレイが、視線移動を抑える高い位置に置かれているのは、従来通りのイイところ。気になるのはディスプレイまわりのボタンが細かいことで、できればオーディオ関係だけでも、ステアリングホイールにコントロールボタンが欲しい。
一方、小物入れ豊富な美点はこれまでと同じ。ギアレバーの後ろに設置される。センターの大容量コンソールボックスは、ちょっとしたゴミ箱にもなって便利。
(前席)……★★★
やや小さめのフロントシート。ダイヤルで、シート全体の角度を調整することができる。ほどほどのホールド性あり。例外的にハードコーナリングを敢行すると、背中がバックレストに沈んで、それなりに上体を保持してくれる。
(後席)……★★★★
背の高い、ミニバン的フォルムをとるにもかかわらず、意外にもシートアレンジは用意されない。つまり後席のバックレストは倒れない(上級版ラグゼールは可倒式)。
身長165cmのリポーターには、十分な膝前スペースと頭上空間が確保される。しっかりしたシート。適度な高さの座面、寝過ぎない背もたれ、倒れ込みのごくすくないサイドウィンドウと、居住性は高い。ただ、長身のヒトには、ヘッドクリアランスがちょっと厳しいかも。センターシートも2点式シートベルトながら、また硬い座面とより高くなる着座位置が気になるが、実用には耐える。アームレストに、2本分のカップホルダーあり。
(荷室)……★★★
トランクリッドを開けると、広いラゲッジルームがある。床面最大幅150cm、ホイールハウス間110cm、奥行き95cm、高さ50cm。形状が複雑なのは、可能なかぎりスペースを大きくとろうとしたためか。ちなみに、カローラの後ろ脚は、シンプルで上下にスペースをとらないトーションビーム式である。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
1.5リッター「1NZ-FE VVT-i」ユニットは、可変バルブタイミング機構を備え、109psと14.4kgmを発生する。ピークパワーの発生回転数は6000rpmと高めだが−−テスト車がまだ1000km余しか走っていないためもあろうが−−、実際にはあまり回りたがらず、むしろ中低回転域でトルキーな実用エンジンだ。街なかでは2000rpm前後でじゅうぶんなアウトプットを得ることができる。このたびのマイナーチェンジで、オートマ車の「10・15モード燃費」が16.6から17.2km/リッターに向上した。MT車は、変わらず18.0km。
5スピードのマニュアルトランスミッションは、ストローク大きめ。ポジションに迷わないのはいいのだが、フィールはごく普通。リポーターの頭に浮かんだ単語は、“スポーツ”というより“商用”。日本市場においては、設定されているだけで「ありがたい」と言うべきか。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
比較的ゆっくり流れる日本の交通状況にピッタリ合わせたとおぼしきカローラの乗り心地。70プロファイルのタイヤを履く足まわりは、基本的にやわらかい。街なか、高速道路とも乗り心地は良好で、たとえば路面の繋ぎ目が粗い首都高速を走っていても、突き上げはみごとに丸められ、乗員に不快な思いをさせることはない。一方で、終始どこかユラユラしている感がある。「G」グレードのFF(前輪駆動)モデルには、スタビライザーがフロントにしか装備されないからか。
そんなソフトな“走り”からは予想外に、カローラセダンのハンドリングはいい。「185/70R14」サイズのタイヤを装着し、限界は高くないけれど、しかし大きなロールとあわせて挙動がわかりやすく、山道をトバしていても決して退屈ではない。「昔とった……」タイプのファミリーパパには、マニュアルのカローラ、けっこういいかも……って、ママが買わせてくれない!?
(写真=高橋信宏/2004年6月)
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2004年5月26-28日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2004年型
テスト車の走行距離:1222km
タイヤ:(前)185/70R14 88H/(後)同じ(いずれもトーヨーNP01)
オプション装備:アルミホイール(5万2500円)/G-BOOK対応DVDボイスナビゲーション付きワイドマルチAVステーション(CD/MD一体型ラジオ&6スピーカー)&リアウィンドウTVアンテナ(26万8800円)/ブラインドコーナーモニター&音声ガイダンス機能付きバックガイドモニター(5万9850円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行形態:市街地(3):高速道路(6):山岳路(1)
テスト距離:399.8km
使用燃料:39.4リッター
参考燃費:10.2km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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