ボルボ・スペシャルエディション試乗報告【試乗記(後編)】
ボルボ・スペシャルエディション試乗報告(後編) 2004.03.07 試乗記 積極的に特別仕様車をリリースするボルボ。大幅にスポーティになったS80と、濃色ガラスを採用したXC70に、『webCG』コンテンツエディターのアオキが乗った。文武両道S80 T-6“Dynamic”(5AT)……708.0万円
「Intelligent Luxury Saloon」を謳うボルボのトップモデルに、スポーツデバイスをもつサスペンションが与えられた50台限定モデル。いわば知的で安楽な体育会系サルーン!?
ブラックサファイア(またはシルバーメタリック)のボディペイントが精悍なT-6“Dynamic”のベースは、もちろん272psを発生する2.9リッター直6ターボ搭載の「T-6」(698.0万円)。わずか10万円アップで、ボルボ版“M”というべき「Rシリーズ」に採用されたアクティブパフォーマンスシャシー「FOUR-C」ほかが手に入る。
18インチのスペシャルホイール「Capella」を履いたアシまわりは、「ステアリングホイール」「加減速」「シャシーの高さ」といった情報をもとに、4輪のダンピングを個別にコントロールする。たとえば悪路ではソフトに、コーナーでは外側をハードにしてロールを抑え、また、制動時にはフロントを硬めてノーズダイブを緩和するというわけだ。セッティングは毎秒500回の頻度で見直され、命令を受けるダンパーは、10/1000秒以下で特性を変化させるという。
アルカンタラとソフトレザーのコンビネーションシートは、Rシリーズと同じスポーティなもの。座面、背もたれとも、サイドサポートがしっかり張り出す。エンジンをかけて走り始めれば、軽いステアリングがラクシャリー。
S60R/V70Rでは「コンフォート」「スポーツ」「アドバンストスポーツ」と3種類のダンピングが用意された「FOUR-C」だが、S80ではもっともハードな「アドバンストスポーツ」が省かれた。さもありなん。ボルボのビッグサルーンで、サーキットを走るヒトはいないでしょうから。また、スタート時のデフォルト設定が「コンフォート」なのも、クルマの性格を反映した結果だ。高速巡航では、立派な外観からの予想を裏切らない、フラットで、高級車らしい乗り心地を提供する。
一方、センターコンソール下部のボタンで「スポーツ」に設定すると、サスペンションのダンピングがグッと増して、車内の空気までもが締まった感じ、がするから不思議だ。十分な快適性を保ったまま、大きなRのコーナーを気持ちよくトバすことができる。ストレート6を横置きするノーズが少々重いけど、そのおかげで(?)アゴを出す度合いがわかりやすく、安心感高く“スポーツ”を楽しめる。
Dynamicなドライブを試したあとは、ドルビーサラウンド・プロロジックシステムを採用した「プレミアム・オーディオ」で、Dynamicなサウンドを堪能できる。全9つのスピーカーは、、デンマークの名門「DYNAUDIO」社製だ。もちろん、Dynamicな走りにトライしなくても、音楽は楽しめる。
XC70のワケXC70 2.5T“Adventure”(5AT)……595.0万円
カメラマンのKさんがクルマを買い換えたということが、業界のちょっとしたニュースになった。それまで、1年落ちで買ったという1993年型「ボルボ240GLE」を、約10年、32万km超(!)も乗り続けていたからだ。
かわりに購入したのが、「最上のアクティブなライフスタイルを実現させる」と謳われる“シャコ高”ワゴンこと「XC70」である。
「ボルボは使い勝手がいいということがあったし、故障知らずだったし」とKさん。240は、スクウェアな荷室ゆえ、撮影機材を積みやすく、おろしやすかったという。「僕は、機材をたくさんもっていく方なんで」
−−どうしてV70ではなくXC70にしたんですか?
「V70もいいかなと思ったんだけど、街なかでよく見るし……、それに仕事がらロケハンに行くことが多いので、XC70の方が安心かな、と」
−−最低地上高に余裕があるから。
「そう」
なるほど。
Kさんが手に入れたのは、素のXC70。同車のラインナップには、上級グレードとして、機関面は同じながら「クルーズコントロール」「パワーシート」など装備を奢った「XC70 2.5T」がある。
「サンルーフを付けたかったんだけど、ダメだっていわれちゃったんだよね」
屋根が開くと、撮影のとき便利だから……と同情しながらカタログを調べると、たしかに「本革シート」「チルトアップ機構付き電動ガラスサンルーフ」といった装備をセットにした「ベーシックパッケージ」はXC70 2.5Tにしか用意されない。
2.5Tは、基準車たるXC70より40.0万円高い535.0万円。これに36.0万円のベーシックパッケージを加えると、571.0万円。なかなかいい値段である。
「こないだ、スモークガラスのXC70が出たでしょう?」と、XC70のオーナーはさすがに詳しい。
−−XC70 2.5T“Adventure”ですね。ダークティンテッドガラスだと、何がいいんですか?
「僕のクルマだと、(素のガラスだから)なかが丸見えだから」
−−やはりウラヤマシイ?
「でもアレ、高いでしょ」
−−595.0万円。
「ボルボって、なかなか“素”のクルマが買えないんだよね。在庫がないから。結局、セットオプションがついたり、ライトがキセノンになってたりして」
−−価格が高くなる、と。ときに、XC70はどうですか?
「気に入ってますよ。高速でも速度が出るし、パワーに余裕があるから移動がラク」
−−エンジン、2.5リッターターボですから。209psの。でも、比較対象が10年前の240ですからねぇ……。
XC70 2.5Tは、ベーシックパッケージを装着した2.5Tをベースに、「クリスタルグリーンパールメタリック」をイメージカラーとし、外観は「前後スキッドプレート」「ルーフエンドスポイラー」、内装は「アルミニウムパネル(メッシュ仕上げ)」などでスポーティに装ったリミテッドバージョン。ボルボとしてはじめて「ダークティンテッド・ウィンドウ」を採用したのもニュースだ。2003年11月1日から04年3月31日までの期間限定販売となる。
(文=webCGアオキ/写真=市 建治/2004年2月)
・ボルボ・スペシャルエディション試乗報告【短評(前編)】(2004/03/07)
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000014860.html
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
日産エクストレイルNISMOアドバンストパッケージe-4ORCE(4WD)【試乗記】 2025.12.3 「日産エクストレイル」に追加設定された「NISMO」は、専用のアイテムでコーディネートしたスポーティーな内外装と、レース由来の技術を用いて磨きをかけたホットな走りがセリングポイント。モータースポーツ直系ブランドが手がけた走りの印象を報告する。
-
アウディA6アバントe-tronパフォーマンス(RWD)【試乗記】 2025.12.2 「アウディA6アバントe-tron」は最新の電気自動車専用プラットフォームに大容量の駆動用バッテリーを搭載し、700km超の航続可能距離をうたう新時代のステーションワゴンだ。300km余りをドライブし、最新の充電設備を利用した印象をリポートする。
-
ドゥカティXディアベルV4(6MT)【レビュー】 2025.12.1 ドゥカティから新型クルーザー「XディアベルV4」が登場。スーパースポーツ由来のV4エンジンを得たボローニャの“悪魔(DIAVEL)”は、いかなるマシンに仕上がっているのか? スポーティーで優雅でフレンドリーな、多面的な魅力をリポートする。
-
ランボルギーニ・テメラリオ(4WD/8AT)【試乗記】 2025.11.29 「ランボルギーニ・テメラリオ」に試乗。建て付けとしては「ウラカン」の後継ということになるが、アクセルを踏み込んでみれば、そういう枠組みを大きく超えた存在であることが即座に分かる。ランボルギーニが切り開いた未来は、これまで誰も見たことのない世界だ。
-
アルピーヌA110アニバーサリー/A110 GTS/A110 R70【試乗記】 2025.11.27 ライトウェイトスポーツカーの金字塔である「アルピーヌA110」の生産終了が発表された。残された時間が短ければ、台数(生産枠)も少ない。記事を読み終えた方は、金策に走るなり、奥方を説き伏せるなりと、速やかに行動していただければ幸いである。
-
NEW
レクサスLFAコンセプト
2025.12.5画像・写真トヨタ自動車が、BEVスポーツカーの新たなコンセプトモデル「レクサスLFAコンセプト」を世界初公開。2025年12月5日に開催された発表会での、展示車両の姿を写真で紹介する。 -
NEW
トヨタGR GT/GR GT3
2025.12.5画像・写真2025年12月5日、TOYOTA GAZOO Racingが開発を進める新型スーパースポーツモデル「GR GT」と、同モデルをベースとする競技用マシン「GR GT3」が世界初公開された。発表会場における展示車両の外装・内装を写真で紹介する。 -
NEW
バランスドエンジンってなにがスゴいの? ―誤解されがちな手組み&バランスどりの本当のメリット―
2025.12.5デイリーコラムハイパフォーマンスカーやスポーティーな限定車などの資料で時折目にする、「バランスどりされたエンジン」「手組みのエンジン」という文句。しかしアナタは、その利点を理解していますか? 誤解されがちなバランスドエンジンの、本当のメリットを解説する。 -
「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」の会場から
2025.12.4画像・写真ホンダ車用のカスタムパーツ「Modulo(モデューロ)」を手がけるホンダアクセスと、「無限」を展開するM-TECが、ホンダファン向けのイベント「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」を開催。熱気に包まれた会場の様子を写真で紹介する。 -
「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」の会場より
2025.12.4画像・写真ソフト99コーポレーションが、完全招待制のオーナーミーティング「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」を初開催。会場には新旧50台の名車とクルマ愛にあふれたオーナーが集った。イベントの様子を写真で紹介する。 -
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション/CR-V e:HEV RSブラックエディション ホンダアクセス用品装着車
2025.12.4画像・写真まもなく日本でも発売される新型「ホンダCR-V」を、早くもホンダアクセスがコーディネート。彼らの手になる「Tough Premium(タフプレミアム)」のアクセサリー装着車を、ベースとなった上級グレード「RSブラックエディション」とともに写真で紹介する。








