トヨタ・アベンシスXi セダン(FF/4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・アベンシスXi セダン(FF/4AT) 2003.11.26 試乗記 ……246.5万円 総合評価……★★★ トヨタが英国から“輸入”する「アベンシス」。欧州市場におけるトヨタのフラッグシップはどうなのか? セダンのベーシックグレード「Xi」を、自動車ジャーナリストの笹目二朗が評価する。
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欧州生まれのニッポン育ち
英国「トヨタ・モーター・マニュファクチャリングUK」(TMUK)が生産し、日本に“輸入”される「アベンシス」は、リアウィンドウ下に「MADE IN EUROPE」のシールが貼られていた。コレに期待するところは大きい。仏「トヨタ・ヨーロッパ・デザイン・ディべロップメント」(ED²)の手になるスタイリングは、ほぼコレを満足させる。とくにリアスタイルは、見送る時間が長いだけにフロントマスクより重要であるが、3ボックスの正統派セダンとして、なかなか巧いまとまりを見せる。テールランプやトランクリッドの丸みなどの処理は秀逸だ。「プログレ」より、確実に一日の長がある。
翻って、エンジンなどの動力性能にはやや失望した。アウトバーンなどヨーロッパの高速道路をすっ飛んでいくイメージは再現されない。サスペンションのチューンも同様で、日本仕様の普通のトヨタ車の域にとどまる。トヨタ車にソレを期待するユーザーがいない、ということなのだろうか。
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【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
アベンシスは、英国TMUK(Toyota Motor Manufacturing UK)で生産される英国車。「アベンシス」の名を使ったモデルとしては2代目になる。2003年10月6日に、日本国内でのデビューを果たした。“欧州品質”を謳う足まわりやデザイン、前席SRS&サイド&ニーエアバッグとVSC(FF)を標準で備える安全装備などがウリ。
セダンとワゴンが用意され、わが国では、いずれも「2リッター直噴D-4+4AT」モデルが販売される。FF(前輪駆動)ほか、ビスカスカプリングを用いた「Vフレックスフルタイム4WD」モデルもカタログに載る。
(グレード概要)
アベンシスは、セダン、ワゴンとも、ベーシックな「Xi」と、装備を充実した「Li」がラインナップされる。グレードによる差異は、室内のトリムレベルや、タイヤサイズなど。「ブレーキアシスト」「VSC」「カーテンエアバッグ」は、4WDを除いて標準。カーテンシールドエアバッグは、Liにのみ設定される。
テスト車は、アベンシスのエントリーモデル。外観上の識別点はタイヤとホイールに加え、ヘッドライトがハロゲン(LiはHID)になることや、スポイラーほかエアロパーツの有無など。インテリアは、ステアリングとシフトノブが革からウレタンになるほか、リアシートが固定式(Liは6:4の分割可倒式)となる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
特別に凝った部分はないが、中庸を得てスッキリと処理された厭味のないデザインだ。ヨーロッパ製実用車には、このような例が多くみられる。派手過ぎず地味に陥らず、自己主張がないほどの遠慮もみられないが、かといって安っぽくもない。装備面は、エアコンなど必要なものは揃っている。オプションのDVDボイスナビゲーションと、CDチェンジャー込みで246.5万円なら「こんなもの?」という納得装備。
(前席)……★★★
シートクッションは、ヨーロッパ車の標準よりすこし柔らかめというところ。サイズや形状に不満はない。高さ調整を含む各種調整機構は、レバーによるポンピング操作で細かく位置合わせが可能だ。ランバー部の張りはさして強くはないが、短時間の試乗では特に問題になるような欠点はみつからなかった。一方、ツボを押さえてくれているような感覚もなかったが。過去の経験から推量して、クッションは長時間座っていると体重に応じた沈み込みがあるため、それなりに馴染むだろう。
(後席)……★★★
サイズはやや小振りながら、ヘッドクリアランスや足元の余裕は十分ある。クッションは前席同様、適度に柔らかいのだが、時間とともに腰が前へずれ込むタイプ。乗り心地はそれなりに上下動を許すから、短時間では問題ないが、長時間座っていたい誘惑には駆られない。サスペンション・コンプライアンスが大きめで、やや横揺れ的な動きのあるセッティングだが、前席より動きはすくない。
(荷室)……★★★
スリーボックスの独立したトランクを持つタイプらしく、見た目から想像されるなりの容量を持つ。バンパー高さから開く開口部の使い勝手もよい。トランクリッドはデザイン上の特徴にもなっているが、上下幅があり、荷室の天地方向に十分な余裕をもたらす。内張りもしっかり処理されており、安手な感覚はない。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★
2リッター「D4」エンジンは直噴らしくやや硬質な音感を伴うが、騒音レベルとしては十分に低い。パワー的には排気量に対する期待値を下まわるとはいえ、3000rpm以下で使う低回転域の実用性能は、必要にして十分といえる。
4ATは、カタログ上の“スペック競争”において不利とはいえ、信頼性を含めて変速マナー、騒音などに不満はみあたらない。マニュアルシフトが特別楽しいクルマではないが、エンジンブレーキなどに使用する際の操作性は良好だ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
トヨタ車に馴染んだユーザーから、不満の声は聞かれないだろう。「ヨーロッパ製であることがウリ」という点に期待すると、ダンピングがやや甘く、サスペンション・ブッシュ類のコンプライアンス(変形しやすさ)は大きめで、カシッと引き締まった感覚は薄い。しかし、“ある種のトヨタ車”にみられる硬すぎのスポーツ仕様よりはマシ。欧州仕様というとガチガチに硬めてしまう習慣に習わないところは評価できる。
(写真=郡大二郎)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2003年10月31日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2003年型
テスト車の走行距離:1832km
タイヤ:(前)205/55R16(後)同じ(いずれもブリヂストン TURANZA ER30)
オプション装備:DVDボイスナビゲーション付き電動ポップアップ式EMV(23.0万円)/インダッシュCDチェンジャー(6枚)+MD一体AM/FMマルチ電子チューナー付きラジオ+8スピーカー(3.5万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(3):山岳路(5)
テスト距離:269.1km
使用燃料:29.0リッター
参考燃費:9.3km/リッター

笹目 二朗
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