トヨタ・クルーガーV 2.4S 7人乗りGパッケージ(4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・クルーガーV 2.4S 7人乗り Gパッケージ(4AT) 2003.10.13 試乗記 ……320.2万円 総合評価……★★★★ 2代目「ハリアー」の市場先行モデルとしてデビューした「クルーガーV」。北米ではレクサスブランドのハリアーと比較して、トヨタブランドのクルーガーVは、実用重視。『webCG』記者が乗った。「レクサス? トヨタだろ!?」
「レクサスRX330」(邦名ハリアー)から、“趣味性”と“(ちょっと)豪華な感じ”を剥いで、四角いボディを与えたのが「トヨタ・クルーガー」(米名ハイランダー)。大きなドンガラで居住性高く、使い勝手よし。2003年8月28日にマイナーチェンジを受け、荷室フロアに埋め込める「格納式サードシート」まで備わった。従来の“庶民派ワイルド風SUV”ほか、今後はピープルムーバーとしての役割も期待される。
テスト車は、4気筒のFF(前輪駆動)モデル。ボンネットを開ければ、エンジンルームの底に沈む小さなエンジン。しかし動力性能は必要十分にして、足まわりもしっかり。高い視点も奏効して、ロング&ハイスピード・クルージングも苦にならない。姉妹車ハリアーより、若干、低い値付けも魅力。「レクサス? トヨタだろ!?」と言い切れるヒト向け。
|
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2000年11月24日にデビューした「ハリアー」の姉妹車。2代目ハリアーの、先行市場投入モデルともいえる。エンジンは3リッターV6(220ps)と2.4リッター直4(160ps)。トランスミッションは、前者5段AT、後者4段ATとなる。生活ヨンクたるビスカスカプリング式4WD車ほか、FF(前輪駆動)モデルが用意される。
2003年8月28日にマイナーチェンジを受け、床下収納式のサードシートを備える7人乗りモデルが追加された。
(グレード概要)
グレードは、マイチェン前にはスポーティ仕様として設定された「Sパッケージ」が、全車の標準仕様となった。7人乗りには(やや)豪華版「Gパッケージ」、2.4リッターモデルの5人乗りに限り、廉価版たる「Xパッケージ」がラインナップされる。
標準仕様とXパッケージの違いは、運転席がパワーシートになり、助手席下にトレイが備わること、など。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
「木目調」ならぬ「石目調」パネルが独特な、クルーガーVのインストゥルメントパネル。意匠の新奇さとバランスを取るためか、色あいは黒に近いグレーでまとめられる。中央に速度計を置いた大きく見やすい3眼のオプティトロンメーター類。空調、音響関係のスイッチをシンプルに配したセンターコンソール。ステアリングホイールを握る手に近い位置に伸びるシフター。使い勝手に考慮して、全体にそつなくまとめられた。ATレバー左上に、12Vの電源ソケットあり。
前席左右間のトンネルコンソールには、フタ付きの浅深2種類の小物入れが用意される。さらにコンソール左右側面に大きく口が開けられ、左右席間の床にも物が置けるようになっている。ビックリ。
オプションの「DVDナビゲーションシステム」(31.2万円)は、初心者にとって、非常にわかりやすく、使いやすい。
(前席)……★★★
テスト車には、オプションの本革シート(15.0万円)が奢られる。レザーの“贅沢さ”というより、“汚れにくさ”“拭き取りやすさ”を意識させる実用シート。運転席側のみ8WAYのパワーシートで、腰を支える背もたれのなかのでっぱりも、電動で調整可能だ。左右シートとも肘かけつき。座り心地に不満はない。
(後席)……★★★★
四角いボディを活かして、広くとられた後席空間。膝前、頭上とも、スペースは充分。大きなサイドウィンドウのおかげで、開放感があるのもいい。左右各ドア内側に、2つずつのカップホルダーを備えるのに驚いていたら、大きなアームレストに、さらに2本分のホルダーが仕組まれていた! 清涼飲料水の飲み過ぎに注意。
3列目シートの乗員に考慮してか、前後のスライド量は大きい。6:4に分割して、個別に動かすこともできる。欠点は、なぜかセンターシートに、ヘッドレストが用意されないこと。
(3列目シート)……★★
普段は荷室の床として活躍(?)する埋め込み式サードシート。「サードシートがある」と言われなければ気づかない、完璧な偽装(??)がジマン。荷室から日常的に積まれているモノを降ろすことを除けば、シートを引き出すのは容易。シートバック中央上端のベルトを引くことで、じゃっかんのリクライニングが可能だ。
カラクリの完成度はともかく、乗降性は絶望的。スペースはミニマムで、膝をかかえる、いわゆる“体育ずわり”に近い姿勢を強いられる。2列目シートの乗員の好意に甘え、つまりシートを前方にスライドしてもらえば、コンパクトミニバン3列目なみの実用性は確保できる。しっかり頭の位置まで伸びるヘッドレストは立派。3点式シートベルトも備わる。ココにも、ちゃんと1人1個ずつのカップホルダーが用意される!
(荷室)……★★★★
状況によって、自在にラゲッジスペースを変えられるクルーガーV。床面最大幅142cm。奥行きは、サードシートを出した場合、収納したとき、そしてセカンドシートの背もたれを倒すことによって、30cm、100cm、2mまでと、大きく変えられる。パーセルシェルフまでの高さは40cm。ラゲッジネット用ホルダーあり。バックドアの裏には、小柄なヒトでも閉めやすいよう、手でひっぱるためのベルトが垂れる。サイドウォールに、12Vのアクセサリーソケットが設置される。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
可変バルブタイミング機構「VVT-i」を搭載する2.4リッター直4エンジン。無愛想に回るエンジンだが、160ps、22.5kgmのスペック以上にトルキーで使いやすい。組み合わされる4段ATのしつけも抜群。クルーガーVには、3リッターV6もカタログに載るが、実用上は2.4でまったく問題ない。姉妹車ハリアーの2.4リッターモデルに山道で乗ったときには、力不足を感じたものだが……。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
クルーガーVはマイナーチェンジにともない、「17インチホイール+スポーツチューンドサスペンション」のSパッケージが標準仕様となったが、テスト車は「16インチ+旧ノーマルサス」の足まわり。ソフトに過ぎる、もしくはロールが大きいかと心配したが、杞憂だった。
大らかな乗り心地をもち、コーナーでやんわり踏ん張り、乗員に不安を与えない。適度にバランスがとれたアシに好感。「Gパッケージ」に5人乗りが設定されないのが残念だ。
(写真=峰 昌宏)
【テストデータ】
報告者:webCGアオキ
テスト日:2003年9月30日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2003年型
テスト車の走行距離:2641km
タイヤ:(前)215/70R16 99S/(後)同じ(いずれもTOYO TRANPATH A11 M+S)
オプション装備:本革シート(15.0万円)/サイド&カーテンエアバッグ(6.0万円)/G-BOOK対応DVDナビゲーションシステム(31.2万円)
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4):高速道路(5):山岳路(1)
テスト距離:976.9km
使用燃料:122.6リッター
参考燃費:8.0km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
BYDシールAWD(4WD)【試乗記】 2026.1.17 BYDのBEVサルーン「シール」の機能アップデートモデルが登場。強化のポイント自体はそれほど多くないが、4WDモデルの「シールAWD」は新たに電子制御式の可変ダンパーを装備したというから見逃せない。さまざまなシーンでの乗り心地をチェックした。
-
マツダCX-60 XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ(4WD/8AT)【試乗記】 2026.1.14 「マツダCX-60」に新グレードの「XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ」が登場。スポーティーさと力強さ、上質さを追求したというその中身を精査するとともに、国内デビューから3年を経た“ラージ商品群第1弾”の成熟度をチェックした。
-
カワサキKLX230シェルパS(6MT)【レビュー】 2026.1.13 その出来には“セロー乗り”も太鼓判!? カワサキのトレイルバイク「KLX230シェルパ」に、ローダウン仕様の「シェルパS」が登場。安心の足つき性で間口を広げた一台だが、実際に走らせてみると、ストリートでも楽しめるオールラウンダーに仕上がっていた。
-
メルセデス・ベンツC220dラグジュアリー(FR/9AT)【試乗記】 2026.1.12 輸入車における定番の人気モデル「メルセデス・ベンツCクラス」。モデルライフ中にも年次改良で進化し続けるこのクルマの、現在の実力はいかほどか? ディーゼルエンジンと充実装備が魅力のグレード「C220dラグジュアリー」で確かめた。
-
日産ルークス ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション(FF/CVT)【試乗記】 2026.1.10 日産の軽スーパーハイトワゴン「ルークス」がフルモデルチェンジ。「見えない危険が……」のテレビCMでお茶の間をにぎわせているが、走る、曲がる、止まるをはじめとしたクルマ全体としての仕上がりはどうか。最上級グレードをテストした。
-
NEW
クルマの乗り味の“味”って何だ?
2026.1.20あの多田哲哉のクルマQ&A「乗り味」という言葉があるように、クルマの運転感覚は“味”で表現されることがある。では、車両開発者はその味をどう解釈して、どんなプロセスで理想を実現しているのか? 元トヨタのエンジニア、多田哲哉さんに聞いた。 -
NEW
プジョー208 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】
2026.1.20試乗記「プジョー208」にマイルドハイブリッド車の「GTハイブリッド」が登場。仕組みとしては先に上陸を果たしたステランティス グループの各車と同じだが、小さなボディーに合わせてパワーが絞られているのが興味深いところだ。果たしてその乗り味は? -
ベントレー・コンチネンタルGTアズール(4WD/8AT)【試乗記】
2026.1.19試乗記ベントレーのラグジュアリークーペ「コンチネンタルGT」のなかでも、ウェルビーイングにこだわったという「アズール」に試乗。控えめ(?)な680PSのハイブリッドがかなえる走りは、快適で満ち足りていて、ラグジュアリーカーの本分を感じさせるものだった。 -
第327回:髪もクルマもナイスファイト!
2026.1.19カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。日産の新型「ルークス」で夜の首都高に出撃した。しっかりしたシャシーとターボエンジンのパワフルな走りに感心していると、前方にスーパーカーの姿を発見。今夜の獲物は「フェラーリ・ローマ」だ! -
日本で売れるクルマはあるのか!? 最新の“アメリカ産ニホンシャ”を清水草一が検証する!
2026.1.19デイリーコラムアメリカからの外圧による制度変更で、北米生産モデルの国内導入を決めたトヨタ。同様に、今後日本での販売が期待できる「海外生産の日本車」には、どんなものがあるだろうか? 清水草一が検証してみた。 -
フェラーリ12チリンドリ(後編)
2026.1.18思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が「フェラーリ12チリンドリ」に試乗。前編では伝家の宝刀であるV12エンジンを絶賛した山野。後編ではコンビを組むシャシーの印象を余すところなく聞いてみた。

