第68回:コージの「フランクフルト勝手にNO.1」おいおい、外見より“骨”のがカッチョいいじゃんか!カレラGT
2003.09.16 小沢コージの勢いまかせ!第68回:コージの「フランクフルト勝手にNO.1」おいおい、外見より“骨”のがカッチョいいじゃんか!カレラGT
■まずはフランクフルトショー報告
やっとヨーロッパから帰ってまいりました。スバル「レガシィ」3リッターモデルの海外試乗会に行って、フランクフルトショー見て、プジョー「307CC」の試乗会行って……って3行程。いちいちヨーロッパ行くの大変なんでいろいろ“付けちゃった”けど、疲れたこと疲れたこと。その分、充実してたけどね。報告と写真たまってるよ〜。がお〜!
ということで、まずはフランクフルトショー報告。現物のメルセデスベンツ「SLRマクラーレン」だとか「フォルクスワーゲン・ゴルフV」とか新作はいろいろあったけど、個人的に一番印象に残ったのはコレ。ポルシェ「カレラGT」。えっ? 「とっくにパリサロンで出てるじゃん!」なんていうなかれ。カレラGT の“皮”じゃなくって中身、それも“骨”の方がスゴイのだ。ポルシェブースの片隅、壇上とは程遠いみんなが歩く通路に、手で触れれる距離に置いてあったんだけど、オーラ放ってること放ってること。
だって見るからにスゲーんだもん。見たことないシャシーの構造、高そうなカーボンの質。なんちゅうかなぁ。別に見て「これがどーだ!」って分析できるわけじゃないんだけど、まるで五重塔の中身の内部構造を初めて見たかのように、知的好奇心をそそられるものでありました。
■本当にスゴイ構造
すっごく巧妙な造りであることはもちろん、単純に美しい。たとえば、博物館にある恐竜の骨だって凄いでしょ。足は太く、間接は丸く、内臓を守る肋骨は一本一本は細いが、しかし鳥のゲージのように見事な力学的構造をもっている。そんな感じ。実は某メーカーのCカー設計者さんがいってたけど、カレラGTは本当に凄い構造なんだって。
まずはフロントセクション。いわゆるボックス型の構造で、一見普通にF1の幅広版みたいになってるんだけど、サスペンション、特にダンパー&スプリングの取り付け位置が絶妙なんだそうな。事実、見ると今まで見たことないような位置、ボンネット下のパネルの左右上部に1本づつナナメに取り付けてある。Cカー設計者であるその人曰く「カーボンは縮み方向より伸び方向に強いから、その特性を完全に生かしきってる。サスペンションからの入力を、バルクヘッド上部のエアボックスと上のパネルと横のパネルの3方向に逃がしている。これは相当カーボンを使いこなしてないとできない構造だよ」とのこと。ふーん……とわかったようなわからないような俺。
リア部も「基本はシェル構造でエンジンを保持し、そこの無駄な部分をくりぬくような骨組みになってる」そうな。さらに「これはF1でもやってない構造」だとか。たしかに。リア部は相当に美しい。
さらにそれをボディ側と結合しているのは数本のボルトのみ。整備製の高さもうかがえる。ついでにいうと「カーボン自体は凄く薄い。かなり軽いはずだよ」。
ってな具合にサイコーなのであるカレラGTの“骨”。これ見れただけで「フランクフルト来てよかった〜」って思いました。いやホント、この一瞬はね。
(文=小沢コージ/2003年9月)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
-
第454回:ヤマダ電機にIKEAも顔負けのクルマ屋? ノルかソルかの新商法「ガリバーWOW!TOWN」 2012.8.27 中古車買い取りのガリバーが新ビジネス「WOW!TOWN」を開始。これは“クルマ選びのテーマパーク”だ!
-
第453回:今後のメルセデスはますますデザインに走る!? 「CLSシューティングブレーク」発表会&新型「Aクラス」欧州試乗! 2012.7.27 小沢コージが、最新のメルセデス・ベンツである「CLSシューティングブレーク」と新型「Aクラス」をチェック! その見どころは?
-
第452回:これじゃメルセデスには追いつけないぜ! “無意識インプレッション”のススメ 2012.6.22 自動車開発のカギを握る、テストドライブ。それが限られた道路環境で行われている日本の現状に、小沢コージが物申す!?
-
第451回:日本も学べる(?)中国自動車事情 新婚さん、“すてきなカーライフに”いらっしゃ〜い!? 2012.6.11 自動車熱が高まる中国には「新婚夫婦を対象にした自動車メディア」があるのだとか……? 現地で話を聞いてきた、小沢コージのリポート。
-
NEW
BMWの今後を占う重要プロダクト 「ノイエクラッセX」改め新型「iX3」がデビュー
2025.9.5エディターから一言かねてクルマ好きを騒がせてきたBMWの「ノイエクラッセX」がついにベールを脱いだ。新型「iX3」は、デザインはもちろん、駆動系やインフォテインメントシステムなどがすべて刷新された新時代の電気自動車だ。その中身を解説する。 -
NEW
谷口信輝の新車試乗――BMW X3 M50 xDrive編
2025.9.5webCG Movies世界的な人気車種となっている、BMWのSUV「X3」。その最新型を、レーシングドライバー谷口信輝はどう評価するのか? ワインディングロードを走らせた印象を語ってもらった。 -
NEW
アマゾンが自動車の開発をサポート? 深まるクルマとAIの関係性
2025.9.5デイリーコラムあのアマゾンがAI技術で自動車の開発やサービス提供をサポート? 急速なAIの進化は自動車開発の現場にどのような変化をもたらし、私たちの移動体験をどう変えていくのか? 日本の自動車メーカーの活用例も交えながら、クルマとAIの未来を考察する。 -
新型「ホンダ・プレリュード」発表イベントの会場から
2025.9.4画像・写真本田技研工業は2025年9月4日、新型「プレリュード」を同年9月5日に発売すると発表した。今回のモデルは6代目にあたり、実に24年ぶりの復活となる。東京・渋谷で行われた発表イベントの様子と車両を写真で紹介する。 -
新型「ホンダ・プレリュード」の登場で思い出す歴代モデルが駆け抜けた姿と時代
2025.9.4デイリーコラム24年ぶりにホンダの2ドアクーペ「プレリュード」が復活。ベテランカーマニアには懐かしく、Z世代には新鮮なその名前は、元祖デートカーの代名詞でもあった。昭和と平成の自動車史に大いなる足跡を残したプレリュードの歴史を振り返る。 -
ホンダ・プレリュード プロトタイプ(FF)【試乗記】
2025.9.4試乗記24年の時を経てついに登場した新型「ホンダ・プレリュード」。「シビック タイプR」のシャシーをショートホイールベース化し、そこに自慢の2リッターハイブリッドシステム「e:HEV」を組み合わせた2ドアクーペの走りを、クローズドコースから報告する。