フォルクスワーゲン・トゥアレグV6(6AT)【ブリーフテスト】
フォルクスワーゲン・トゥアレグV6(6AT) 2003.08.23 試乗記 総合評価……★★★★★ ……592.0万円 「ポルシェ・カイエン」の姉妹モデルとしてフォルクスワーゲンからリリースされた「トゥアレグ」。3.2リッターV6を積むベーシックグレードに、自動車ジャーナリストの笹目二朗が乗った。
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とってもお買い得
姉妹車ポルシェ「カイエン」と比較されるのは避けられないところながら、それゆえ話題性も高いフォルクスワーゲン「トゥアレグ」。VWが日本の高級車市場に投入する最初のモデルだ。ブランドの強みやスポーツ性に関してポルシェが絶対的に優位だが、VWの強みは数の勝負で勝ることだ。
カイエンは、トゥアレグに較べれば手作り的な非量産型で、高性能ゆえに高価だ。それに対しトゥアレグは、量産でコストダウンできたからこそ使える高級パーツや、仕上げのよさが散見される。たとえば、両車の外観を車の名前も内容も価格も知らない傍観者が見た場合、トゥアレグを“高い”と見立てても不思議はないほどだ。モールの処理や顔立ちを見ただけでも、ピシッと精緻で高級なつくりが見て取れる。
ハード面の大きな違いは、搭載されるエンジン、そして4WDの前後駆動配分くらいのものだ。カイエンが38:62と後ろ寄りに設定されるのに対し、トゥアレグは50:50を基本とする。いずれも前後トルクを状況によって変化させるシステムだから、路面状況への対応は同じか大差ないかだろう。エンジン出力はカイエンが圧倒的に高く、加速や最高速度でトゥアレグはかなわない。とはいえ、実用域では問題になるまい。
価格差を、ブランドと刹那的な速さに投資するなら、カイエンはすばらしい。そうでなければ、トゥアレグV6は“とってもお買い得”なクルマである。2台が共存することで、市場を拡げる結果となるだろう。
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【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
フォルクスワーゲン「トゥアレグ」は、2002年の「パリサロン」でワールドデビューした、同社初の高級SUV。日本では、03年7月7日に販売が発表された。VWは昨今、従来の大衆車メーカーから、高級車も手がけるフルラインメーカーへの転換を図っている。トゥアレグは、日本の高級車市場に初めて参入する、VWにとって重要なモデルでもある。ちなみに、ドイツ本国では高級サルーン「フェートン」が、同車に先駆けてリリースされた。
トゥアレグは、ポルシェ初のSUV「カイエン」とプラットフォームなどの基本コンポーネンツを共用。ボディパネルやエンジンなどに、独自のものを採用して差別化を図った。コンセプトは、オフロードでの走破性、“スポーツカー並”を謳うオンロード性能、そして高級サルーンのような乗り心地を1台で味わえるという「3 cars in 1」。
日本でのラインナップは、3.2リッターV6(220ps、31.1kgm)と、4.2リッターV8(310ps、41.8kgm)搭載モデルの2種類。いずれも、6段ティプトロニックが組み合わされ、電子制御の副変速機付き4WD「4XMOTION」を搭載。路面や走行状況に合わせて4輪にトルクが配分される。4WDシステムのみならず、電制マルチプレート式センターディファレンシャルや、4輪のブレーキを使ってデフの差動を制御する「EDS」、乱れた挙動を安定させる「ESP」、急坂で自動的に停止する「ヒルホルダー」機能、坂を下る際に速度を制御する「HDA」(ヒルディセントアシスト)など、オン&オフの走行をアシストする多彩な電子デバイスが標準で備わる。
ちなみに、本国には4.9リッターV10ツインターボディーゼル(313ps、76.5kgm)モデルもあるが、日本には導入されない。
(グレード概要)
トゥアレグのベーシックグレードがV6。V8と外観はほぼ同じで、違いはブラックルーフレール(V8はクローム)と車名バッヂくらいのもの。インテリアは、V8に標準のウッドパネルや、ヒーター付きレザーシートがオプション設定となる。車高調節機能付きエアサスペンションは用意されない。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★★
計器類はやや大きめで、“メカ好き”の心をくすぐるデザイン。レイアウトは整然として見やすく、フィニッシュも上々だ。V6モデルはウッドパネルが樹脂となるが、問題ではない。価格がカイエンの約半分と考えると、★は5つでも足りないくらいである。V8仕様は320km/h、V6は260km/hまで刻まれたスピードメーターから、“スーパーSUV”としての浮世離れした迫力も感じられる。
(前席)……★★★★★
テスト車は、オプションのレザー内装を装着していた。座る部分だけが革で、残りはビニールのコンビネーションシート。本格オフローダーとしての性能を備えるクルマの性格を考えれば正解だと思う。電動アジャスターも使いやすいし、サイズや形状も適切。ないものねだりをするなら、サーブのようなベンチレーションがあれば最高だ。ヘッドクリアランスも充分で、見晴らしのいい高めのポジションは気分もよろしい。横にウォークスルーはできないが、2脚独立させたことによる隣との距離感も、また高級ムードあり。
(後席)……★★★★
前後の空間がもうすこし欲しいと思うが、横方向の広さは充分に広く、天井の高さと共にゆったりした居住空間を確保した。シートバックも寝過ぎておらずちょうどいい。クッションは見た目には平板な感じだが、横方向の縫い目により、ベタっとした平面でなく線で身体を支えてくれる。横方向のサポートも、仕切りの小山が効果的な支えになる。
(荷室)……★★★★
ハッチ全体を開けずとも、ガラス部分だけ開閉する機構は、小荷物を投げ込むのに便利だ。絶対的なトランクスペースもたっぷりあり、バンパー高の平らなフロアも使いやすい。ホイールハウス後方のスペース(リアゲートから見て手前)は、小物が入るように有効利用される。フロアカーペットの下には、テンパータイプのスペアタイヤが収められる。ただし、交換した大きなタイヤは、そのままトランクに置くしかなさそうだ。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
15度の狭角バンクをもつ3.2リッターV6は、見かけはコンパクトでもパワフルだ。2270kgもの巨体を、不足ない速さで運ぶ。「これをゴルフに積んだら、もっと速くて面白そう」と感じるほどだ(ゴルフR32はSOHC)。
6段ATも走りに貢献している。ギア比の設定は1から3速の下位がややワイドだが、汎用ギアボックスゆえやむなし。パドルによるマニュアルシフトは、なかなか操作しやすい。Dレンジでもパドル操作が優先され、自動的にDへ復帰するのも便利だ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
高速走行指向だから、硬さは納得できる。しかし、バネ上重量を生かしたフラット感や、太いタイヤのエンベロープ特性を期待するなら、もうすこし洗練されてもいいかなと思う。とはいえ、SUVの現状をかえりみみれば良好な部類だろう。ノーズの軽さが効いてアンダーステアは軽く、図体の割に軽快な回頭を見せた。ロールもよくチェックされているから、背が高いことによる不安感はない。
(写真=清水健太)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2003年8月12日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2003年型
テスト車の走行距離:5487km
タイヤ:(前)255/55R18 109Y(後)同じ(いずれもブリヂストン TURANZA ER30)
オプション装備:チルト機構付きガラススライディングルーフ(12.0万円)/ウォールナットウッドパネル、レザー/ウッドシフトノブ(36.5万円)
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(3):山岳路(4)
テスト距離:163.0km
使用燃料:27.96リッター
参考燃費:5.8km/リッター

笹目 二朗
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