スズキ・グランドエスクード(5AT)【試乗記】
グランドエスクード=モトコンポ!? 2003.08.06 試乗記 スズキ・グランドエスクード(5AT) ……246.5万円 スズキで一番大きい2.7リッターV6を積む本格ヨンク「グランドエスクード」。2003年6月のマイナーチェンジ版に、webCG記者が試乗した。日本では“グランド”だが……。日本では800台/年だけど……
2000年12月にデビューした、スズキの“クロスカントリーワゴン”こと「グランドエスクード」。ラダーフレームにボディを載せ、副変速機付きの4WDシステムという本格4×4の機構をもつ、7人乗りのSUVである。2003年6月にマイナーチェンジを受け、さっそく試乗に赴いた。
ところでグランドエスクード、日本では……、すくなくとも東京ではサッパリ見かけない。国内販売台数を聞いたところ、2002年度は年間で約800台だったという。
不振を挽回すべく(?)、マイナーチェンジでは、丸目のヘッドライトを採用、フロントグリル&バンパーのデザインを変更して、フロントマスクを一新した。
「個人的には、前の方が好きでした……」といったところ、「そうおっしゃる方も多いんですよ」と、スズキのスタッフはおっしゃる。それも、「年間800台」をまるで気にかけないように笑いながら。そして「この顔は、北米市場の意向で採用したものですから」と続けた。グランドエスクードは、「グランドビターラXL-7」と名を変え、世界で販売されるグローバルカーなのだ。主たる市場は、もちろんSUVの本場アメリカである。
それではと、アメリカでの販売台数はどれくらいか聞いた。「そうですねぇ……(資料をめくりながら)、2002年度は約4万台(!)、これは5人乗りの『ビターラ』(日本名エスクード)を含む数字です。日本と同じ7人乗りは、約2万5000台ですね」。
日本の約30倍も売れているとは……。正直、驚きました。
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大らかな乗り味
そう聞いたせいだろうか、グランドエスクード、なんとなくアメリカンである。シートは座面が大きく、座り心地が柔らかいユッタリ志向。センターコンソールや、シフトパネルにウッドが使われるインテリアは、シンプルで「ホンワカした雰囲気を醸し出している」と思った。ただ、オプション装着のオーディオが、デザイン家電みたいなスケルトンボディなのは、いただけなかったです。
マイナーチェンジでは、2列目シートにウォークイン機能を採用し、3列目へアクセスしやすくするなど、使い勝手の向上が図られた。2列目が快適なのは当然として、176cmのリポーターが3列目に座っても十分な足もとスペースが確保されていたのは、「さすが軽自動車でパッケージングを極めたスズキ!」。3列目を使うと、荷室の奥行きは35cmほどしかないが、“常時7人乗り”を目的にグランドエスクードは選ばないでしょう。サードシート収納時は、奥行き110cmとワゴン並で、2列目も倒せば180cmに拡大できる。困ることはなさそうだ。
新たに可変吸気システムを採用し、184psの最高出力と、25.5kgmの最大トルクを得た2.7リッターV6は、自己主張しないもの静かなユニット。1段増えた5段ATと合わせて、加速はとてもスムーズだ。坂道などではもうすこしパワーが欲しいし、高回転域ではザラついたノイズも聞こえるが、ラダーフレームをもつ4×4の重さ(約1.7トン)を考えれば納得である。一方、縦置きエンジン、FRベースのレイアウトのおかげか、ハンドリングは想像以上によかった。
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身も心もアメリカン
新型グランドエスクードは、トランスファー付き4WDシステムの切り替えが、従来のレバー式からセンターパネルのスイッチで切り替える方式に変更された。エアコンのダイヤル右側に、2WDと4WDの切り替え、その下にフルロックの「4WDローモード」、そして「N」と書かれたスイッチが配される。2WDと4WDは、100km/h以下なら走行中も切り替え可能。試しにスイッチを押してみたら、しばらくして軽いショックが伝わり、メーター内部のインジケーターが4WDに切り替わった。ちなみに、副変速をスイッチ式にするのも、アメリカからの要望。欧州では従来通り、レバーによる機械式が採用されるという。
ところで、「N」スイッチはなにに使うのか。壊れた時に牽引するためだろうか? と想像を巡らせたが、違った。フォード「エクスプローラー」(4リッターから)、日本に導入されていないキャディラック「エスカレード」(5.3リッターから)など、大物ひしめくアメリカにおいて、グランドエスクードは、グランドどころか“コンパクトSUV”(!!)に分類される。彼の地のヒトがキャンピングトレーラーで旅行するとき、旅先でのアシに使うため“コンパクトSUV”をトレーラーで牽引するのだ。それゆえ、アメリカから「Nスイッチは必ずつけてくれ」との要望があったという。日本ではせいぜい、ホンダ「モトコンポ」(折り畳み式バイク)がいいところだが……。
ともかく、アメリカからの要望を反映した新グランドエスクードは、身も心もアメリカンSUVなのだった。
(文=webCGオオサワ/2003年7月)

大澤 俊博
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