スバル・レガシィツーリングワゴン 2.0GT spec.B(5MT)【ブリーフテスト】
スバル・レガシィツーリングワゴン 2.0GT spec.B(5MT) 2003.07.29 試乗記 ……330.5万円 総合評価……★★★★ スバルの主力車「レガシィ」がフルモデルチェンジ。わが国の代表的なステーションワゴンとなった「レガシィツーリングワゴン」に、自動車ジャーナリスト笹目二朗が乗った。テスト車は、ターボチャージャーと専用ダンパーを装備したトップグレード「2.0GT spec.B」である。 |
絶対評価は高い
スタイリングに新鮮味があり、旧型の面影も残っているし、モデルチェンジ全体としては歓迎できる。が、内容的には期待値を下まわる。とはいえ、今までのレベルが比較的高かったから、絶対評価としては4ツ★が与えられる。
期待値を下まわったのは、旧型からの進化部分が少ない気がするからだ。特にサスペンション関係と、それがもたらす走行感覚は、今や“旧式”にさえ感じられる。GTというターボでチューンした高性能な心臓部をもつテスト車は、いたずらに速さだけを求めることなしに、実用域での使いやすさも考慮されているし、クリーンな排ガスはもとより、経済性とのバランスもいい。それらに対して、硬い乗り心地は実用性をスポイルし、操縦安定性に貢献しているとも思えない。旧型レガシィは、他のワゴンに較べてややリードしていたが、現在ではこれが標準ともいえる。従来もっていたレガシィの貯金は使い果たした。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「レガシィ」は、言わずと知れたスバルの基幹モデル。現行モデルは、2003年5月23日にフルモデルチェンジした4代目で、3ナンバーサイズになりながら、先代と比べて約100kgの軽量化を施したボディを目玉に、中低速トルクを向上させたエンジンや5ATの採用、細かいところではブレーキペダルのフィールを高めるパーツを採用するなど、スバルらしいエンジニアリング主導の改善が数多く施された。ボディサイズは、全長×全幅×全高=4680×1730(+35)×1470(-15)mm(2.0GT、カッコ内は先代比)、ホイールベースは先代より20mm延長され、2670mmとなった。
エンジンは、スバルお得意の水平対向4気筒だが、新型から2リッターに一本化。ヘッドメカニズムの差異と過給器の有無により、SOHC16バルブ(140ps)、DOHC16バルブ(MT=190ps、AT=180ps)、インタークーラー付きターボ(MT=280ps、AT=260ps)の3種類が用意される。トランスミッションは、SOHCエンジンが4段ATのみ。DOHCは5段MTと4段AT、ターボエンジンには5段MTに加え、新開発の5段ATが奢られた。駆動方式は、もちろん4WDである。
(グレード概要)
「2.0GT spec.B」は、同じターボエンジンを積む「2.0GT」の上をいく、レガシィ・ツーリングワゴンのトップグレード。ビルシュタイン製ダンパーを装着するのは2.0GTと同じだが、spec.Bは215/45R18サイズのタイヤを履く。このため、AT、MTとも、独自のギア比が与えられた。外観で識別できる専用装備として、スポーティグリルとスポイラーを一体化したバンパーを装着。インテリアは、アルミパッド付きスポーツABCペダルが、標準で備わる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
新奇な試みはないが、常識的な配置や操作のなかに安心感がある。ステアリングホイールのグリップ断面は手に馴染みやすい楕円で、一見細身に感じられるが、太めの凸凹したものよりまわしやすい。ウィンカーやワイパーのスイッチレバーも妙に凝ったものより、これまでの習慣に馴染んだものであり、誤操作の危険を防げる。ナビの位置も高めで適切だ。
(前席)……★★★
シートは座り心地がよく、サイズと形状、電動8ウェイの調整機構もまずまず。一見平板に見えるが、座面の後傾角も適切で体重を背面に預けられるし、ランバー部の張出も適当である。サイドの盛り上がりは、横方向のサポートに効果的。水平対向縦置きエンジンの利点を活かして、中央部の張出しは少なめだ。足元はたっぷり余裕があり、ペダルレイアウトに犠牲はみられない。
(後席)……★★★
ワゴンに見られる、この手の折り畳めるシートにしては、寸法的な不足もなく、3人乗車が普通に満たされる。特別高く座る感覚もなく、背面の立ち加減も良好だ。ルーフは高めで、ヘッドクリアランスはまずまず。ボディ側のサイドシルも高過ぎず幅も広すぎず、ドアの開口部面積も確保されいて、乗降性は良好だった。この辺は、長年ワゴンを造り続けるメーカーならではの、手慣れた処理で、安心感がある。
(荷室)……★★★
3ナンバー枠の幅になったとはいえ、荷室の拡幅はあまり感じられない。しかし、サスペンション部分の室内への張出しも少なく、フラットなフロアをはじめ使いやすい形態である。フロア下には小物入れがあったり、後部で使える電源ソケットがあるところは、ワゴンの一つの完成形として定着したといえよう。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
3000〜5000rpmが快感ゾーンだが、実用域の使いやすさは上々。一方、6000〜7000rpm辺りの吹け上がりはスムーズだが、ターボらしくシューンと登りつめる感覚はない。さらに、ボトムエンドのトルクは細く、アイドリングでクラッチを繋ぐとエンストしがちだ。フライホイールの容量を上げるとか、もうすこし対策が欲しい。ATで乗るなら、ストール回転で乗り越えてしまうが。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
乗り心地は硬い。しかも、それがハンドリングに貢献する部分はすくない。現代の標準からしてアンダーステアは強めで、タックインが大きい。コーナリング中のスロットルオン&オフで、これほど姿勢変化が大きいクルマも、最近の例では珍しいといえよう。フルタイム4WDゆえに、突如グリップを失ってスピン、という不安こそないものの、コーナーの入り口、出口で必要以上にスロットルコントロールに気をつかう。新型において、この項目での進化は感じられない。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2003年6月20日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2003年型
テスト車の走行距離:2594km
hタイヤ:(前)215/45R18 89W(後)同じ(いずれもブリヂストン ポテンザ RE050A)
オプション装備:LEGACYビルトインDVDナビゲーションシステム/濃色ガラス/クリアビューパック(LEDリアフォグランプ+ヒーテッドドアミラー+フロントワイパーデアイサー(27.5万円)
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速(4):山岳路(3)
テスト距離:274.8km
使用燃料:35.9リッター
参考燃費:7.7km/リッター

笹目 二朗
-
日産フェアレディZ NISMO(FR/9AT)【試乗記】 2026.10.28 「日産フェアレディZ」のマイナーチェンジモデルが登場。改良の主眼はZが受け継いできたヘリテージのさらなる深化と性能の強化だという。もはやお値段1000万円(!)に迫らんとする「NISMO」の9段ATモデルを試す。
-
ダイハツ・ミラ イースtuned by D-SPORT Racing(FF/5MT)【試乗記】 2026.10.27 ダイハツのベーシックな軽乗用車をもとに、ラリーやレース向けの競技車両に仕立てた「ミラ イースtuned by D-SPORT Racing」。軽量ボディーをロールバーで固め、力強いターボエンジンを搭載した一台は、クルマの楽しさを学べる教科書のような一台となっていた。
-
フォルクスワーゲン・ゴルフGTI(FF/7AT)/ゴルフRアドバンス(4WD/7AT)【試乗記】 2026.10.26 1976年に誕生し50周年を迎えたフォルクスワーゲンのホットハッチ「ゴルフGTI」と、333PSの出力とハイテク満載の4WDシャシーを武器とする高性能モデル「ゴルフR」にサーキットで試乗。両者の違いとそれぞれの特徴を報告する。
-
レクサスES350h(FF/CVT)【試乗記】 2026.10.24 「レクサスES」がフルモデルチェンジ。8代目となる新型ではボディーがググッと大きくなったほか、デザインも一気に現代的に。さらにトヨタグループでは最新鋭のパワーユニットを積むなど、中身も外身も刷新されている。2.5リッターハイブリッドモデルを試す。
-
マツダCX-30 25エアエディション(4WD/6AT)【試乗記】 2026.10.23 マツダのコンパクトクロスオーバー「CX-30」に、一部改良で2.5リッターガソリンモデルが登場。新たなパワートレインを得た最新型は、過去のモデルからどのような進化を遂げているのか? 装備全部盛りの最上級グレードで確かめた。
-
NEW
思わずなでたくなってくる 丸いデザインのクルマ特集
2026.11.1日刊!名車列伝最近のクルマのデザインは、シャープなラインが特徴だったり、造形そのものが複雑だったり……。今月は、つるりと丸い、シンプルなエクステリアが印象的な世界の名車を日替わりで紹介します。 -
NEW
ベントレー・コンチネンタルGT S(4WD/8AT)【試乗記】
2026.10.31試乗記ベントレーのラグジュアリークーペ「コンチネンタルGT」にハイパフォーマンスバージョンの「S」が登場。すでにトップパフォーマンスモデルの「スピード」が存在するなかで、果たしてSはどんなポジションを担うのだろうか。試乗を通じて検証した。 -
「BYDラッコ」がアジアにはばたく!? ニッポンの軽自動車規格が海外勢に奪われる日
2026.10.30デイリーコラム中国のBYDが、軽BEVの「ラッコ」を日本以外でも販売すると発表! 日本独自のスモールカー規格は、はたして海外でも受け入れられるのか? 本家・日本のメーカーが、海外展開に及び腰だった理由とは? BYDが食指を動かす、軽自動車の秘めた可能性を探る。 -
メルセデスのトップからのまさかの転身 BMW日本法人の上野金太郎社長にインタビュー
2026.10.29デイリーコラムメルセデス・ベンツ日本からビー・エム・ダブリューのトップへ。いわば巨人の四番から阪神の四番のような異例の転身を遂げた上野金太郎社長。両ブランドの文化や製品の違い、今後の販売戦略などについて話を聞いた。 -
ボルボEX90ウルトラ ツインモーター パフォーマンス(後編)
2026.10.29あの多田哲哉の自動車放談ボルボの新世代EV「EX90」に、トヨタでさまざまなクルマを開発してきた多田哲哉さんが試乗。ちょっと気になったところと、クルマとしての魅力を感じたポイントについて熱く語る。 -
写真で解説する「メルセデス・ベンツ・エレクトリックGLC」
2026.10.28画像・写真メルセデス・ベンツの新たなフル電動SUV「エレクトリックGLC」がデビュー。2026年10月28日に国内での注文受け付けがスタートした。一体どんなクルマなのか、その見どころを写真とともに解説する。


































