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第48回:どうなの!? スバルのデザイン美学(後編) ―変わるデザインと変わらないでほしい武士(もののふ)の魂―

2024.11.27 カーデザイン曼荼羅 渕野 健太郎清水 草一
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6代目となる新型「スバル・フォレスター」。このクルマから、スバルのデザインが変わるかもしれない。
6代目となる新型「スバル・フォレスター」。このクルマから、スバルのデザインが変わるかもしれない。拡大

機能を尊び、いつの時代もおのが道をゆくスバル。そんな彼らのカーデザインが、新しい「フォレスター」から変わろうとしている……というのだが、それはいったいどういうことか? 熱心なファンも多いスバルの今とこれからを、有識者とともに考えた。

前編に戻る)

新型「フォレスター」のフロントマスク。六角形のグリルとヘッドランプをつなげ、ひとくくりとしたデザインとなっている。
新型「フォレスター」のフロントマスク。六角形のグリルとヘッドランプをつなげ、ひとくくりとしたデザインとなっている。拡大
2019年1月に発表された6代目「フォード・エクスプローラー」。ちなみに同車は、2024年1月にマイナーチェンジを受けており、顔まわりの意匠が変更された。そんなわけで、最新のエクスプローラーは、写真の前期型ほど「フォレスター」に似たクルマではなくなった。
2019年1月に発表された6代目「フォード・エクスプローラー」。ちなみに同車は、2024年1月にマイナーチェンジを受けており、顔まわりの意匠が変更された。そんなわけで、最新のエクスプローラーは、写真の前期型ほど「フォレスター」に似たクルマではなくなった。拡大
多角形グリルの縁にヘッドランプをくっつけ、グリルとランプをひとくくりとするのは、実はフロントマスクのデザインの常とう手段なのだ。写真はホンダの11代目「アコード」。
多角形グリルの縁にヘッドランプをくっつけ、グリルとランプをひとくくりとするのは、実はフロントマスクのデザインの常とう手段なのだ。写真はホンダの11代目「アコード」。拡大
現行型(上)と新型(下)の「フォレスター」。 
渕野「新型のほうがやっぱりキャラクターがはっきりしていていいですね」 
ほった「個人的には現行型も憎からず思っていますけどね。質実剛健な感じがして。あと、言い方は悪いですけど『ダサかっこいい』感じがして親近感が持てます」
現行型(上)と新型(下)の「フォレスター」。 
	渕野「新型のほうがやっぱりキャラクターがはっきりしていていいですね」 
	ほった「個人的には現行型も憎からず思っていますけどね。質実剛健な感じがして。あと、言い方は悪いですけど『ダサかっこいい』感じがして親近感が持てます」拡大

新型「フォレスター」はフォードに似てる?

渕野健太郎(以下、渕野):……で、新しい「フォレスター」なんですけど、まだ日本では発売されてませんが、だいぶ雰囲気が変わったような気がしません?

webCGほった(以下、ほった):フォードっぽくなったって感じます。なんの変哲もない系のアメ車も好きなワタシとしては、ちょっとうれしい(笑)。

清水草一(以下、清水):ほった君はなんの変哲もない系のアメ車も好きだったの?

ほった:そうですよ。田舎っぽいミニバンとか、SUVとか。

渕野:SNSでも「『フォード・エクスプローラー』に似てる」っていう話が出てますね。確かに、今までのスバルは六角形のグリルからちょっと離してランプをつけていたのを、新型フォレスターはくっつけてますよね。似てるって言われるのはこのフロントマスクのせいだと思います。……ただ正直、顔まわりのデザインって、そんなにパターンがあるわけじゃないんですよ。結局、グリルとランプをどう組み合わせるかっていうだけなので。だから、これをフォードに似てるって言うのは酷かなって(全員笑)。

清水:酷でもなんでも、顔だけ見たらすっごくフォードっぽく見えます! フォードみたいにおおらかでカッコいい。

ほった:あらら、清水さん的にもフォードはカッコいいんですか。

清水:カッコいいよ! 買わないだけ(笑)。

渕野:フォードうんぬんを抜きに考えると、六角形グリルの進化としてランプを縁にくっつけるっていうのは常とう手段ですし、普通にアリな感じがします。

ほった:普通にアリです。

渕野:正直、現行のフォレスターはややどっちつかずのキャラクターだった気がするんですよ。新型は、シルエットはそんなに変わってないけど、デザインのテイストとしてはしっかりした箱、質感の高い箱になっていて、前よりもキャラクターがわかりやすい。これはぜひ実車を見てみたいなと。

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ちょっと小技が目立ちません?

清水:おっしゃるように、新型フォレスターも顔以外はあんまり大きく変わってないけど……。

ほった:そうですか? ベルトラインのキックアップも控えめになって、わたしゃ落ち着いた感じになったと思いますが。

清水:そうかなぁ? とにかく、新型フォレスターはなにしろ顔がフォードなので(笑)、やっぱり印象は相当違いますね。現行型も途中でガラッと顔を変えて、スゴい切り欠きの入ったヘッドランプにしましたけど、ちょっと小手先だった。最近のスバルは、そういう小技が目立ってると思うんですが、そのあたりはどうでしょう?

渕野:小技っていうのは、そういう細かいグラフィックに頼ってるということ?

清水:そうです。ヘッドランプ関係が主でしょうか。「クロストレック」とかもこう……。ランプの中にアイラインみたいのを入れたりして、微妙にくどいなーって感じるんですけど。

渕野:確かに、ちょっと細かすぎるところはあるかもしれませんが……これに関しては、デザイナーの苦悩を感じるところですね。スバルは、六角形のグリルとコの字をモチーフにしたヘッドランプを、恐らく10年ぐらい使い続けますよね。そうすると、だんだんしんどくなるわけですよ。ネタがなくなるんです。だからちょっとずつ変えていく。

アウディなんかも、スバルと似たような六角形グリルのときもありましたけど、だんだん八角形にしたりして、形を変えているじゃないですか。どのメーカーも、新型や改良型のクルマでは、前のに対して変化感を出さないといけないわけです。で、スバルはそのなかでちょっと、小技的なものを使いすぎてるかもしれない。

ただ現行フォレスターも、マイナーチェンジ前とマイナーチェンジ後を比べると、個人的には後者のほうがシンプルかなと思います。マイチェン前はとりとめのないデザインでしたけど、マイチェン後はグリルのまわりの“面”を、しっかりとつくってますから(写真キャプション参照)。

ほった:グリルもかなり大きくなって、ランプとの主従関係がわかりやすくなりましたよね。

現行型「フォレスター」(上)と新型フォレスター(下)の比較。皆さんは清水氏とwebCGほったの、どちらの意見に賛成ですか?
現行型「フォレスター」(上)と新型フォレスター(下)の比較。皆さんは清水氏とwebCGほったの、どちらの意見に賛成ですか?拡大
現行型「フォレスター」の前期モデル。“コ”の字に控えるポジションランプと六角形のグリルを組み合わせたフロントまわりは、長らくスバルのトレードマークだった。
現行型「フォレスター」の前期モデル。“コ”の字に控えるポジションランプと六角形のグリルを組み合わせたフロントまわりは、長らくスバルのトレードマークだった。拡大
2021年8月の大幅改良後の「フォレスター」。ヘッドランプに大きな切り欠きができ、グリルとランプの間に太いボディー色の箇所が挟まるようになった。
2021年8月の大幅改良後の「フォレスター」。ヘッドランプに大きな切り欠きができ、グリルとランプの間に太いボディー色の箇所が挟まるようになった。拡大
清水氏がちょっと苦手な、「クロストレック」のヘッドランプ。 
清水「なんだかクドくない?」 
ほった「そうですか? 黒目が3つも4つもあるような、高級車のヘッドランプのほうがよっぽどキモいですけど」
清水氏がちょっと苦手な、「クロストレック」のヘッドランプ。 
	清水「なんだかクドくない?」 
	ほった「そうですか? 黒目が3つも4つもあるような、高級車のヘッドランプのほうがよっぽどキモいですけど」拡大

困ったときは黒く塗れ!

清水:確かに、フォレスターはマイナーチェンジでやりすぎなくらいキャラがはっきりしましたよね。というか、フォレスターだけじゃなくて、スバル車のデザインは全体にそういう“濃い”方向に行ってませんか?

ほった:確かに、クロストレックも顔は相当濃ゆいですしね。

渕野:濃いというか……。例えばクロストレックのヘッドライトとグリルの繋がりですが、グリルから始まる基本立体がとても強いところにグリルからの華奢なバーが横切っているので、立体とグラフィックの相性がやや悪く、多少目につくのかなと思います。

清水:クロストレックに関しては、ヘッドライトの下の黒いカギ爪形の造形も、だいぶ特徴を出してるというか、出しすぎてるというか。

渕野:それについてはですね、スバル車って水平対向エンジンを縦置きに積んでいるので、フロントオーバーハングがすごく長いんですよ。だから、なにかしら黒い樹脂パーツを使って冗長な感じを減らして、なんとか短く見せようとしてるんじゃないかな。特にこういうスポーティーでアウトドアテイストの強いクルマだと、走破性の高さを表現したいんだけど、オーバーハングの長さがそれと相反する。そこをなんとか軽く見せようとして、こういうことをやってるのかなと思います。「アウトバック」だと、この部分は真っ黒ですね。

ほった:フェラーリはボディーを薄く見せるために、「BB」の下のほうを黒く塗りましたけど。

清水:困ったときは黒く塗れ! みたいなのはあるね。

2022年9月に発表されたコンパクトクロスオーバーの「クロストレック」。ゴツゴツとしたフロントグリルに、切れ長のヘッドランプ、ヒゲを思わせるバンパーコーナーの樹脂装飾などにより、かなり個性的な顔立ちとなっている。
2022年9月に発表されたコンパクトクロスオーバーの「クロストレック」。ゴツゴツとしたフロントグリルに、切れ長のヘッドランプ、ヒゲを思わせるバンパーコーナーの樹脂装飾などにより、かなり個性的な顔立ちとなっている。拡大
「クロストレック」に限らず、フロントに水平対向エンジンを縦置きで搭載するスバル車は、オーバーハングが長くなりがち。イカツいクラッディングや樹脂装飾は、それを緩和する役割を果たしているのだ。
「クロストレック」に限らず、フロントに水平対向エンジンを縦置きで搭載するスバル車は、オーバーハングが長くなりがち。イカツいクラッディングや樹脂装飾は、それを緩和する役割を果たしているのだ。拡大
オーバーハングが長いクルマで装飾類を排すると、ご覧のとおり、よりハナの長さが強調されるようになる。写真は「ホンダ・アコード」。
オーバーハングが長いクルマで装飾類を排すると、ご覧のとおり、よりハナの長さが強調されるようになる。写真は「ホンダ・アコード」。拡大
渕野「『クルマはいいんだけど、ちょっと樹脂装飾がなぁ……』という人は、黒いボディーカラーを選びましょう。自分もそうしました(笑)」
渕野「『クルマはいいんだけど、ちょっと樹脂装飾がなぁ……』という人は、黒いボディーカラーを選びましょう。自分もそうしました(笑)」拡大

エッジ路線からボリューム路線へ

清水:あとですね、「インプレッサ」にせよクロストレックにせよ「レヴォーグ」にせよ、ボディーラインにビッと立ったエッジを使い続けてるじゃないですか。世界的には廃れてきてますけど、そのあたりはどう見ます?

渕野:新型フォレスターには、あまりないですけど……。

清水:確かに新型フォレスターはあんまりないですね。でも今日本で売ってるスバル車は、みんなエッジが効いてるなぁと思うんです。クロストレックは顔のエッジも効いてるので、エッジ感マシマシみたいな。

ほった:レヴォーグとかも、エッジが立ちまくってますね。

渕野:そのあたりは……2017年の東京モーターショーで「ヴィジヴ パフォーマンス コンセプト」っていうのが出ましたが、割とそれを踏襲したデザインになっているんじゃないかな。新しいフォレスターからはまた多分変わるんでしょうけど、今のスバル車のデザインの起源は、このコンセプトカーを含めた「ヴィジヴ」シリーズなのだと思います。

ほった:それってあれですよね、「WRX」の原案みたいなやつ?

渕野:そうそう。このころは、スバルが全体にこういうソリッドなイメージを目指していたんだと思います。だから当時のコンセプトカーは、ほかのやつを見てもスパっと面を切ったような鋭い感じだったんです。それが、新しいフォレスターを見たら「これからはちょっと変わるんかな」と思ったんですよ、デザインの流れが。シャープで硬質な感じから、もう少しボリューム感寄りになっていくのかなと。勝手な想像ですけど。

今のカーデザインはボリュームで見せるのが主流で、マツダなんかはその典型ですよね。そこまでじゃないにしても、スバルもちょっとキャラクターラインを減らす方向に持っていくんじゃないですか。

スポーツワゴンの「レヴォーグ」。ご覧のとおり、エッジをバキバキに立てて、ソリッドなイメージに仕立てられている。
スポーツワゴンの「レヴォーグ」。ご覧のとおり、エッジをバキバキに立てて、ソリッドなイメージに仕立てられている。拡大
2017年の「第45回 東京モーターショー」より、「ヴィジヴ パフォーマンス コンセプト」。ヴィジヴシリーズは2013年発表の「ヴィジヴ コンセプト」に端を発する一連のコンセプトモデルだ。
2017年の「第45回 東京モーターショー」より、「ヴィジヴ パフォーマンス コンセプト」。ヴィジヴシリーズは2013年発表の「ヴィジヴ コンセプト」に端を発する一連のコンセプトモデルだ。拡大
2018年のジュネーブショーで発表された「ヴィジヴ ツアラー コンセプト」(上)と、2020年に登場した2代目「レヴォーグ」。(webCGほったの記憶が正しければ)「ヴィジヴ」シリーズは7台が製作され、各車のデザインは市販モデルに色濃く反映された。
2018年のジュネーブショーで発表された「ヴィジヴ ツアラー コンセプト」(上)と、2020年に登場した2代目「レヴォーグ」。(webCGほったの記憶が正しければ)「ヴィジヴ」シリーズは7台が製作され、各車のデザインは市販モデルに色濃く反映された。拡大
新型「フォレスター」を見ても、ボンネットやフェンダー、ベルトラインなど要所にプレスラインが走っているが、既存のモデルほどパッキパキの印象はない。このクルマから、スバルのカーデザインは微妙に変わるのかもしれない。
新型「フォレスター」を見ても、ボンネットやフェンダー、ベルトラインなど要所にプレスラインが走っているが、既存のモデルほどパッキパキの印象はない。このクルマから、スバルのカーデザインは微妙に変わるのかもしれない。拡大

スバルがトレンドに流される必要はない

ほった:スバルデザインもボリューム系に路線変更ですかぁ。しかし、一連のヴィジヴシリーズの後、スバルからは「これからはこの方向でやっていきます」ってのを示すコンセプトモデルが、出てないじゃないですか。なので、新型フォレスターに関しては、「……なんか、ぬるっとイメージ変えてきたな」って印象があるんですけど。

渕野:確か、コンセプトカーでいちばん最近のやつは……。

ほった:ジャパンモビリティショーのアレですね。「スポーツモビリティー コンセプト」。

清水:あれはスゴかったね。

ほった:無理やりつくったスポーツカーみたいな(笑)。個人的には、スバルはこのクルマのデザインを市販車に取り入れる気はなさそうだなって思いました。

渕野:でも、ひょっとして示唆するものがあったのかもしれないですけどね。これもボディーサイドはボリュームで見せてるので。……皆さんはこのクルマ、どう思いました?

清水:いかんなこれは。いかん、いかん。(全員笑)

ほった:webCG編集部ではサクライ氏だけが大絶賛という(参照)。

清水:個人的には、スバルにはソリッド路線でずっといってほしい気もします。トレンドに流される必要ない!

ほった:清水さん的には、スバルは武士(もののふ)のクルマでいてほしいわけですもんね。

2023年のジャパンモビリティショーで発表された「スポーツモビリティー コンセプト」。「電動化時代にあっても意のままに運転し、いつでもどこへでも自由に走っていける愉しみ」を表現したというモデルだ。
2023年のジャパンモビリティショーで発表された「スポーツモビリティー コンセプト」。「電動化時代にあっても意のままに運転し、いつでもどこへでも自由に走っていける愉しみ」を表現したというモデルだ。拡大
ドライバーを中心に、4輪を意のままに操るイメージを基本とし、低いドライバーズシートからでも広い視界と見切りのよさが確保されているという。
ドライバーを中心に、4輪を意のままに操るイメージを基本とし、低いドライバーズシートからでも広い視界と見切りのよさが確保されているという。拡大
渕野「……皆さんは、どう思いました?」 
清水「これはいかんですよ!」 
ほった「編集部サクライ“は”絶賛してましたよ。でもスバルは、このデザインを実車に反映する気なんですかね? そうじゃなかったら、なんの目的でこれをつくったんだろう?」
渕野「……皆さんは、どう思いました?」 
	清水「これはいかんですよ!」 
	ほった「編集部サクライ“は”絶賛してましたよ。でもスバルは、このデザインを実車に反映する気なんですかね? そうじゃなかったら、なんの目的でこれをつくったんだろう?」拡大
ジャパンモビリティショーで発表された、「エアモビリティー コンセプト」(写真左奥)と「スポーツモビリティー コンセプト」(同右手前)。
ジャパンモビリティショーで発表された、「エアモビリティー コンセプト」(写真左奥)と「スポーツモビリティー コンセプト」(同右手前)。拡大

カッコいい武士であれ

清水:心情的には、スバルはデザインであんまりブレイクスルーしないでもらいたいんですよ。

ほった:デザインコンシャスになってほしいかっていうと、確かにそうではないですね。ただなんだろ? ボリューム路線だろうとシャープ路線だろうと、ワタシは「スバルっぽいカッコいいデザイン」って、今でもできるんじゃないかなと思ってるんですよ。それこそ渕野さんが前に乗ってた「レガシィB4」(4代目)じゃないけど。

清水:個人的には、初代「レガシィ ツーリングワゴン」以降、スバル車でカッコいいなと思ったクルマは、みんなソリッドな直線基調のデザインなんですよ。それがスバルの成功法則じゃないかな。

渕野:自分がスバルデザインに期待するのは、トレンドに流されずに本質的なところに準じていることでしょうか。外国車でいうと、例えばフォルクスワーゲンみたいに。ベーシックなクルマをしっかりつくるっていうのが根元で、それにアウトドアフィールみたいなものを足していくという。だから、よりピュアなモデルがひとつあってもいいのかもしれないなと思います。もっとムダをそぎ落としたものに期待したい。

ほった:一番難しい注文かも。

渕野:ですね(笑)。それに、タイヤがちっちゃくてキャビンがでかくて、今言ったようなソリッドさだけのさーっとしたデザインだと、あんまりカッコよくならないんですよ(笑)。やっぱり販売でライバルに勝たないといけないし、ある程度お客さんに受けないと商売が成り立たない。しかもパッケージ的に不利だから試行錯誤しているって風に、スバルのデザインは見えますね。

清水:僕は今のラインナップで十分成功してるって思いますけど。「ジャスティ」以外。

ほった:OEM車の話はナシでいきましょう。(笑)

(語り=渕野健太郎/文=清水草一/写真=スバル、マツダ、トヨタ、ボルボ、向後一宏、webCG/編集=堀田剛資)

webCGほったが、近年のスバル車で最もデザインがすばらしいと思っているのは、ベタだが4代目「レガシィ ツーリングワゴン/B4」である。
webCGほったが、近年のスバル車で最もデザインがすばらしいと思っているのは、ベタだが4代目「レガシィ ツーリングワゴン/B4」である。拡大
1989年にすい星のごとく現れた、初代「レガシィ」(写真は「ツーリングワゴン」)。 
渕野「それまで『レオーネ』とかをつくっていたメーカーから、どうしていきなりこんなクルマが登場したのか。いまだにわからないんですよね」 
清水「当時の内情を知る人に、ぜひ話を聞きたいもんだね」
1989年にすい星のごとく現れた、初代「レガシィ」(写真は「ツーリングワゴン」)。 
	渕野「それまで『レオーネ』とかをつくっていたメーカーから、どうしていきなりこんなクルマが登場したのか。いまだにわからないんですよね」 
	清水「当時の内情を知る人に、ぜひ話を聞きたいもんだね」拡大
先述のとおり、鼻先に水平対向エンジンを縦置きする都合上、どうしてもフロントオーバーハングが長くなってしまうスバル車。厳しい要件のなかで、スバルのデザイナーは試行錯誤しているのだ。
先述のとおり、鼻先に水平対向エンジンを縦置きする都合上、どうしてもフロントオーバーハングが長くなってしまうスバル車。厳しい要件のなかで、スバルのデザイナーは試行錯誤しているのだ。拡大
清水「トレンドに流されず、スバルらしさを忘れず……」 
ほった「それでいてカッコいいクルマに期待したいですね、スバルには」 
渕野「ハードルが高すぎですって(笑)」
清水「トレンドに流されず、スバルらしさを忘れず……」 
	ほった「それでいてカッコいいクルマに期待したいですね、スバルには」 
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渕野 健太郎

渕野 健太郎

プロダクトデザイナー兼カーデザインジャーナリスト。福岡県出身。日本大学芸術学部卒業後、富士重工業株式会社(現、株式会社SUBARU)にカーデザイナーとして入社。約20年の間にさまざまなクルマをデザインするなかで、クルマと社会との関わりをより意識するようになる。主観的になりがちなカーデザインを分かりやすく解説、時には問題定義、さらにはデザイン提案まで行うマルチプレイヤーを目指している。

清水 草一

清水 草一

お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。

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