第5回:スバル360はメダカ釣り!?

2003.03.03 小沢コージの勢いまかせ! 小沢 コージ
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第5回:スバル360はメダカ釣り!?

なんかね、ひょんな事からスバル360に乗っちゃいました。もう既に発売済みの号なんだけど、小学館の月刊『ラピタ』撮影のため。

1963年式のコンバーチブルで、一度クーペに改造されたものを現オーナーの近さんが元に戻したものなんだけど、この人が凄いんだな。現在、66歳の元サラリーマンで、みようみまねでレストアを始め、いままで100台(!)もレストアしたという。それも360ばっか。
聞けば元々某カメラメーカーのエンジニアで、「なるほど」とも思ったが、実はさらに先があって、お父様はチューリップの交配で世界的に有名な方なんだとか。
いまみたいに赤だの黄色だの白だのいろいろ種類がない時代に、オランダから原種を買ってきては交配させ、新種を作ったそうな。

俺ね、仕事柄クルマバカにはいろいろ会うんだけど、なんだかんだで強いのは「血」なんだよね。とんでもないことをやってる人ってのは、必ずと言っていいほど御先祖様に“キてる人”がいる。
例えばいままで父親がオキテ破りの一夫多妻制を導入している人にお2人ほどお会いしたことがあります。その人はすごかった。オヤジも息子も。
だからさ、やっぱ自由な交配って大切だよね。民族を強くするためには!?

ちなみに360はよかったです。もちろん、ステアリング、シフト、ペダル類ととんでもなく頼りなく、ウィンカーレバーなんかワリバシみたいに折れそうだったんだけど、その昔乗った80年代の軽自動車よりはブレーキが効いた。なんちゅーかなぁ、それなりにバランスが取れてるわけよ。

つまり、味は薄いんだけどそれなりに味わいがある。例えばポルシェの楽しさを「磯釣り」としたら、「メダカを釣ってる」ような楽しさっちゅうか。絶対スピードは遅いんだけどね。あれはあれでハマるんだろうなぁ。走ってるだけで妙に「生きてる」ような気がした。
名車には理由がありますね。やはり。

(文=小沢コージ/2003年3月3日)