スズキ・ツイン ガソリンB(3AT)/ツイン ハイブリッドB(4AT)【試乗記】
58.0万円でかなり楽しい 2003.02.01 試乗記 スズキ・ツイン ガソリンB(3AT)/ツイン ハイブリッドB(4AT)【短評】 2003年1月23日にデビューしたスズキ「ツイン」は、アルトをベースに全長を66cm縮めたシティーコミューター。千葉県は幕張で開かれたプレス向け試乗会で、webCG記者が試乗した。ツイン49.0万円から
2003年1月22日に登場した、スズキのシティコミューター「ツイン」。全長2.7m強の小さなボディに、2シーター2人乗りのシンプルなパッケージングで、多機能をウリにする現在の軽自動車の主流、いわゆる“ハイトワゴン”とは対極のコンセプトでつくられたニューモデルである。
ツインのベースとなったのは、スズキの軽乗用車「アルト」。だからエンジンは、同じコンセプトをもつ「スマート」とは逆に、フロントに横置きされる。ボディサイズは、全幅が軽自動車規格いっぱいの1475mm、全高は1450mmだからアルト(1475mm)と大差ないが、全長は660mm短い2735mm。ホイールベースは560mm短い1800mmしかない。だから、正面から見ると尋常なサイズの軽自動車なのに、横からは寸詰まりでオモチャのように見える。
オモチャのように見えるのは、デザイン的な意図にもよる。スズキの服部守悦第1デザインスタジオ長によると、「子供が絵に描くような、モノっぽいデザインにしました」。サイズが小さいから押し出しがきかないので、大きなクルマに囲まれてもパっと見てわかる存在感を与えるためだという。丸っこいボディは、小ささと相まって愛嬌タップリだ。
ツインのウリのひとつは、低価格。パワステ、エアコンやスピーカーなど、装備を極限まで省いた「ガソリンA」(5MT)グレードは、車両本体価格わずか49.0万円。1979年の「アルト47.0万円」を現代に復活させたかったそうだが、それに迫る価格である。ツインが出るまで、新車販売されるクルマ(バンを除く)でもっとも低価格だったスズキ「アルト Lb」(65.5万円)と較べても大幅に安い。ただし、パワステやエアコンなどを装備する、実質的な量販モデル「ガソリンB」(3AT)は84.0万円と、グッと高くなる。ツインはほぼ手作りで生産され、販売目標も200台。生産限界は500台くらいというから、コストがかさむのも仕方ないだろう。いうまでもなく、2人乗りとはいえ、値段が半分になるわけではない。
もうひとつのウリは、市販軽自動車初のハイブリッドシステムを搭載したこと。パワステやエアコンなどの装備を省いた「ハイブリッドA」(4AT)グレードは、「10・15モード」燃費で34.0km/リッターを達成した。ちなみに、ライバル「ミラ」の燃費スペシャル「V」(5MT)は、30.5km/リッターだ。快適装備が備わる「ハイブリッドB」(4AT)は139.0万円。ガソリン、ハイブリッド問わず、全車「超ー低排出ガス」をパスしたのもジマンだ。
拡大
|
拡大
|
拡大
|
意外と使える
全長の半分ほどあるドアを開け、ブライトレッドに塗られたガソリンBに乗る。インテリアはシンプルで、Aピラーをはじめ各所に赤色いボディパネルが剥き出し。ブルーグレーのダッシュボードもプラスチック然としているが、クルマがオモチャっぽいせいか、気になるどころかむしろ親近感がわく。フロントウィンドウ下端が遠く、かつAピラーが立っているおかげで頭まわりに圧迫感がない。さらに、シートの座面が一般的な軽自動車より長く、座り心地がしっかりしているので、室内の居心地はよかった。
後ろを振り向くと目の前に、といえるほど近くにリアウィンドウがあり、シートの間からラゲッジスペースに手が届く。外からはガラスハッチを通じてアクセスできるが、ハッチオープンはカギを使わなくてはならないのがちょっと不便。荷室のサイズは、奥行き約40cm、高さ60cm程度で絶対的には小さいものの、撮影用の三脚2本、カメラバッグと動画機材に、リポーターのカバンを飲み込んだ。1人乗りになってしまうが、助手席シートバックを前に倒せば、縦にゴルフバッグを積むこともできるという。ハンドバッグくらいしか積めないと思っていたが、想像したよりずっと使えるクルマだ。
エンジンは、44psを発する0.66リッター直3DOHC12バルブ。ツインは車重が軽く、5段MTを積むガソリンAは560kg、上級グレードのガソリンBでも600kgしかない。そのおかげか、カメラマンと2人乗りでも加速は想像するより速く、カメラカーのVW「ポロGTI」で追いかけてきたwebCGスタッフが驚いていた。
オススメはガソリンA
ガソリンBから、ネイプルスイエローのハイブリッドBに乗り換える。ツインのハイブリッドシステムは、トランスミッションとエンジンの間にわずか8cmのモーターを組み込み、シート後部に収まる16個の鉛蓄電池で駆動、発進や上り坂など、高負荷時に動力をアシストする。重くてかさばる鉛蓄電池をあえて使ったのは、コストを抑えるためだ。アイドリングストップ機構を備え、一定の走行後に停車すると、エンジンが自動的に止まる。
ハイブリッド車とガソリン車の動力性能にあまり差は感じられなかった。ガソリンモデルの「トルク・トゥ・ウェイト」レシオは、103.4kg/kgm。ハイブリッド車は、モーターと内燃機関の出力を単純計算すると80.2kg/kgm。しかし、最大トルクを0〜1500rpmの回転域で発生するモーターは、2シーターモデルをスポーティに走らせる“ブースター”というより、エンジンの効率が悪い動き始めを補助する“助っ人”なのだ。いうまでもなく、燃費向上がハイブリッドシステムの目的である。なお、トランスミッションは燃費向上のため4段ATを装備するので、ガソリン車よりも加速はスムーズだ。
ガソリンとハイブリッドで、大きく違うのは乗り心地だった。シャシー担当エンジニアの山田光広氏によれば、ハイブリッドはリアにバッテリーを積むため、前後重量バランスがよくて適度に重い。ガソリンはフロントが重く、制動時に前へつんのめるノーズダイブが出やすいから、サスペンションセッティングに苦労したそうだ。確かに、ガソリンBより130kg重いハイブリッドBの方が、乗り心地はしっとり落ち着いていた。一方ガソリン車は、路面状況に応じてクルマ全体がヒョコっと揺れることがある。
ツインのインテリアはショボいし、乗り心地も(あたりまえですが)軽自動車並だが、一方、オモチャで遊んでいるみたいな楽しさがある。“シティコミューター”だけあって、撮影に赴く際に道の狭さも気にならない。さらに、どこでもUターンができるのは快感。ちょっとだけなら「どこにでも停められる」気楽さも、クルマに乗ることを楽しくしてくれる。
個人的には、撮影車のみ用意されていた、49.0万円のガソリンAが欲しい。駐車場で少し運転させていただいたが、5段MT、パワステなしでも楽しさ変わらず。オーディオはとりあえずナシ、オプションでエアコン(9.0万円)を付けて、58.0万円で楽しいモビリティライフが手に入る! 気がする。
(文=webCGオオサワ/写真=峰昌宏/2003年1月)

大澤 俊博
-
ドゥカティ・モンスター(6MT)【海外試乗記】 2026.3.2 ドゥカティのネイキッドスポーツ「モンスター」が5代目にモデルチェンジ。無駄をそぎ、必要なものを突き詰めてきた歴代モデルの哲学は、この新型にも受け継がれているのか? 「パニガーレV2」ゆずりのエンジンで175kgの車体を走らせる、ピュアな一台の魅力に触れた。
-
フォルクスワーゲンID.4プロ(RWD)【試乗記】 2026.2.28 フォルクスワーゲンのミッドサイズ電気自動車(BEV)「ID.4」の一部仕様変更モデルが上陸。初期導入モデルのオーナーでもあるリポーターは、その改良メニューをマイナーチェンジに匹敵するほどの内容と評価する。果たしてアップデートされた走りやいかに。
-
スズキ・キャリイKX(4WD/5MT)【試乗記】 2026.2.27 今日も日本の津々浦々で活躍する軽トラック「スズキ・キャリイ」。私たちにとって、最も身近な“働くクルマ”は、実際にはどれほどの実力を秘めているのか? タフが身上の5段MT+4WD仕様を借り出し、そのパフォーマンスを解き放ってみた。
-
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)【試乗記】 2026.2.26 日本で久々の復活を遂げた「ホンダCR-V」の新型に、北海道のテストコースで試乗。雪上・氷上での“ひとクラス上”の振る舞いに感嘆しつつも、筆者がドン! と太鼓判を押せなかった理由とは? デビューから30年をむかえたCR-Vの、実力と課題を報告する。
-
ルノー・グランカングー クルール(FF/7AT)【試乗記】 2026.2.25 「ルノー・グランカングー」がついに日本上陸。長さ5m近くに達するロングボディーには3列目シートが追加され、7人乗車が可能に。さらに2・3列目のシートは1脚ずつ取り外しができるなど、極めて使いでのあるMPVだ。ドライブとシートアレンジをじっくり楽しんでみた。
-
NEW
メルセデス・マイバッハSL680モノグラムシリーズ(4WD/9AT)【試乗記】
2026.3.4試乗記メルセデス・マイバッハから「SL680モノグラムシリーズ」が登場。ただでさえ目立つワイド&ローなボディーに、マイバッハならではのあしらいをたっぷりと加えたオープントップモデルだ。身も心もとろける「マイバッハ」モードの乗り味をリポートする。 -
NEW
始まりはジウジアーロデザイン、終着点は広島ベンツ? 二転三転した日本版「ルーチェ」の道のり
2026.3.4デイリーコラムフェラーリ初の電気自動車が「ルーチェ」と名乗ることが発表された。それはそれで楽しみな新型車だが、日本のファンにとってルーチェといえばマツダに決まっている。デザインが二転三転した孤高のフラッグシップモデルのストーリーをお届けする。 -
3モーター式4WDの実力やいかに!? 「ランボルギーニ・テメラリオ」で雪道を目指す
2026.3.3エディターから一言電動化に向けて大きく舵を切ったランボルギーニは、「ウラカン」の後継たる「テメラリオ」をプラグインハイブリッド車としてリリースした。前に2基、リアに1基のモーターを積む4WDシステムの実力を試すべく、北の大地へと向かったのだが……。 -
F1で絶体絶命!? アストンマーティン・ホンダになにが起きているのか?
2026.3.3デイリーコラム2026年のF1開催を前に、早くも苦戦が伝えられるアストンマーティン・ホンダ。プレシーズンテストでの大不振はなぜ起きたのか? ここから復活する可能性はあるのか? 栄光と挫折を繰り返してきたホンダが、ふたたびF1で輝くために必要なものを探った。 -
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】
2026.3.3試乗記「GRヤリス」の新仕様として設定された「エアロパフォーマンスパッケージ」装着車に試乗。レースフィールドでの知見を交え開発したというエアロパーツの空力・冷却性能は、リアルワールドでも体感可能なのか。高速道路を経由し、郊外のワインディングロードを目指した。 -
第330回:「マカン」のことは忘れましょう
2026.3.2カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。JAIA(日本自動車輸入組合)主催の報道関係者向け試乗会に参加し、「T-ハイブリッド」システムを搭載する「911タルガ4 GTS」とBEV「マカン ターボ」のステアリングを握った。電動化が進む最新ポルシェの走りやいかに。





































