三菱eKスポーツ【試乗記】
eKワゴンの半分 2002.10.11 試乗記 三菱eKスポーツ ……126.5万円 三菱自動車のヒット作「eKワゴン」に、スポーティなルックスとターボエンジン、さらに4段ATを搭載する「eKスポーツ」が、2002年9月2日に追加された。プレス向け試乗会に参加した、自動車雑誌『NAVI』の佐藤トシキ(25歳)編集部員と、『webCG』オオサワ(27歳)の若手コンビがお送りします。いたる所に6つの楕円
オオサワ:三菱「eKワゴン」に、デビュー当時から出る出るといわれていたターボモデルが追加された。
トシキ:「eKスポーツ」のことだね。実はターボの「R」グレードのほかに、NA(自然吸気)の「Z」グレードもある。eKスポーツをして、デザインの変更や、足まわりの取り付け剛性アップなどを施して、eKワゴンとは“別のクルマ”になった、と三菱はいっている。
オオサワ:さすがNAVIの若大将、流暢な説明ですな。パっと見てわかるeKワゴンとの違いは、4灯式ヘッドランプやエアインテークの付いたグリルで、顔つきがゴツくなった。ボディサイズは変わってないの?
トシキ:全長×全幅×全高=3395×1475×1550mm、ホイールベースは2340mmで、標準モデルと同じ。
オオサワ:と、カタログに書いてある。
トシキ:ど、ド忘れしたんですって。変わったのは、内装、エクステリアデザインと、足まわりのセッティングかな。
オオサワ:話をターボモデルの「R」(4WD/4AT)グレードに絞ろう。まず、外観上のウリはなに?
トシキ:標準モデルのシンプルな見た目を継承しつつ、「スポーツ」の名のとおり、スポーティなデザインになった。
オオサワ:と、プレス資料に書いてある。
トシキ:……実は後付けの知識でした。気を取り直して、特にフロントマスクの印象をオリジナルと変える、樹脂製の脱着式スケルトングリルが特徴。汚れを洗い流しやすくするためだというけれど、ホントのところは、取り外しができる遊び感覚で、若者心をくすぐるのが狙いだって。
オオサワ:個人的には、絶対外すことはないと思うが。それより、6つの楕円マークが、サイドスカートやリアバンパー、インテリアでは各シートなど、クルマのいたる所にあったけど?
トシキ:あれは、「スポーツ、シンプル、スタイリッシュ」、それぞれの頭文字「S」をモチーフにした、eKスポーツのトレードマーク。フロントグリル(スケルトングリルの奥!)にも刻印されてる。
オオサワ:近くに寄ってみないとわからないトコロにまでとは、凝ってるね。シルエットがオリジナルとあまり変わらないから、差別化を図ったのか……と思ってた。
トシキ:中身は別物、ということを表すためなんですよ。
eKワゴンの半分
オオサワ:インテリアも変わったんでしょ。
トシキ:もちろんですよ。センターメーターは同じだけど、アナログ式のタコメーターと、デジタル式の速度計を組み合わせた「ハイブリッドメーター」や、スポーツシート、本革巻3スポークステアリングホイールなど。クールでスポーティな雰囲気になった。
オオサワ:新しいターボエンジンのスペックは? 聞くところによると、ホンダ「ライフダンク」をライバルに挙げてるって。
トシキ:エンジン形式は従来と同じ、0.66リッター直3SOHCなんだけど、ターボユニットは新開発。最高出力64ps/6000rpm、最大トルクは9.5kgm/3500rpmで、NAより14psと3.2kgmアップしてます。数値的にはライフダンクと一緒だけど、最大トルクの発生回転数は、eKのほうが500rpm低い。
オオサワ:64psは、軽自動車の自主規制値上限だから。ところで、eKワゴンのトランスミッションは、コラム式の3段ATだったね。
トシキ:ターボモデルは、ATが3段から4段に格上げされた。「トッポBJ」の4ATをチューニングしたトランスミッションだって。ちなみに、“スポーツ”といえどもNAモデルの「Z」グレードは、従来と同じ3段ATです。
オオサワ:パワーアップに合わせて、足まわりもチューニングされた?
トシキ:その通り。足まわりを担当したエンジニアの青木俊広さんによると、eKスポーツ自慢のひとつがサスペンションのセッティング。ボディへの取り付け剛性アップや、スタビライザー径の拡大、ブッシュもバネも専用チューンだし。さらに完成直前まで改良を繰り返す念の入れよう。開発をまとめた、プロジェクトマネージャー森井巌さんの「もう十分だよ」に、青木さんは「もうちょっと待ってくれ!」と粘ったらしい。
オオサワ:納得いくまで、真面目につくったんだね。
トシキ:うん。ターボユニットも新開発だし、足まわりにも力をいれた。森井さんによれば、eKワゴンを開発した費用の半分くらいはかかったらしい。
高速巡航がラク
オオサワ:黄色のカワイイeKスポーツで、箱根の山を走った感想は?
トシキ:ターボだけれど、低回転からトルクが自然に盛り上がる感じ。いわゆる“ドッカンターボ”ではないから、街乗りでも使いやすいと思う。急な上り坂のある箱根の山でも、動力性能に不満は感じなかった。
オオサワ:ターボのみに付く、4段ATは? 軽自動車の4段AT仕様で山を走ると、上り坂ですぐにキックダウンしてしまう印象があるけど……。
トシキ:1〜3速までのギア比は、実は従来の3段ATと一緒。高いギヤが1段プラスされて4段になった。だから、高速巡航がグっとラクになった。エンジンの回転数が抑えられて静粛性も高くなる。
オオサワ:なるほど。
トシキ:乗り心地は、思っていたよりヨカッタ。スポーツだから硬めにセッティングされて、乗り心地が悪いんじゃないかと心配していたんだけど、「硬すぎず、それでいてスポーティ」というエンジニアのコトバ通り。ハンドリングも、けっしてシャープではないけれど、どっしり安定感があって安っぽい感じがしない。NAより薄くてひとまわり大きい、155/55R14サイズのタイヤのせいもあると思うけど。
オオサワ:eKワゴン「M+Xパッケージ」の102.8万円に較べて、スポーツの「R」グレードは23.7万円高い126.5万円。この価格設定、トシキ君的にはどう?
トシキ:ライバルのライフダンクと価格を較べると、ライフダンクのベーシックグレード「TS」が121.5万円。eKスポーツのほうが5.0万円高いけど、4段ATの値段を考えると、個人的にはトントン以上だと思う。
オオサワ:eKスポーツの追加はもちろん、2002年5月にeKワゴンの特別仕様車として販売した、黒内装の「ブラックインテリアエディション」が標準化されたり、eKワゴンシリーズもバリエーションが増えたね。
トシキ:eKスポーツの追加とブラックインテリアバージョンで計6グレード(それぞれに2WDと4WDがある)になり、eKシリーズのユーザー層が広がったといえます。
オオサワ:老若男女が選べるグレードが揃ったね。それもプレス資料に……
トシキ:書いてないって!
(文=NAVI佐藤トシキ&webCGオオサワ/写真=清水健太、三菱自動車工業/2002年9月)

佐藤 トシキ
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