「オイルによる冷却効果とは?」
2002.09.07 クルマ生活Q&A ガソリン・オイル「オイルによる冷却効果とは?」
ヨーロッパ車はエンジンオイルによる冷却効果を積極的に利用しているので、オイルはそれ相応のものがよいと聞きました。「オイルで冷却」とはどういうことなのでしょうか?
ためしに「ATF(オートマチック用オイル)」を冷却効果のあるものに交換したところ、センタートンネルを通して左足ふとももに伝わる、トランスミッションからの熱がかなり減りました。これも冷却効果なのでしょうか?(BHさん)
お答えします。オイルにはさまざまな働きがあります。そのひとつが、「燃焼」や「慴動」で発生する熱を冷却し、焼き付きを防ぐ“冷却作用”です。
エンジンオイルは、エンジン内部の細かいところに流れ込み、熱を吸収しながらオイルパン(オイル溜め)に戻ってきます。ここでオイルは冷却され、またエンジン内部に出かけていくのです。
オイルの量が多ければ劣化もすくなく、冷却にも有利といえます。高性能車はオイルパンにアルミを使い、放熱性を向上させています。
AT(オートマチック・トランスミッション)には、ATフルード(ATF)が熱によって劣化、性能が低下しないよう「オイルクーラー」が付いています。特に日本の道路は渋滞が多く、“ストップ&ゴー”の連続ですから、AT、ATFにかかる負担も大きいのです。
良質なエンジンオイルやATFを使えば、冷却効果はもとより、よりいっそうエンジンやトランスミッションを保護することが可能となります。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。