第280回:大矢アキオの「待ってました! デトロイトショー」(前編) − 空前のイタリア車展示に、長き道のりを思い出す
2013.01.25 マッキナ あらモーダ!第280回:大矢アキオの「待ってました! デトロイトショー」(前編) − 空前のイタリア車展示に、長き道のりを思い出す
勢いづくイタリア系モデル
V8の響き懐かしデトロイト……というわけで、今年も北米国際自動車ショー(デトロイトショー)にやってきた。今年のV8のスターといえば、プレスデイ初日にシボレーが華々しく発表した7代目「コルベット」であることは間違いなかろう。
しかし、イタリアから大西洋を飛び越えてやってきたボクが注目したのは、2009年に発足したフィアット クライスラー グループが着実な提携効果を挙げていたことだ。
まずは、2012年のデトロイトショーで2013年モデルとして発表され、同年夏から販売キャンペーンが開始された「ダッジ・ダート」である。
「アルファ・ロメオ ジュリエッタ」とプラットォームを共有するこのクルマは、今回のショーで用意されたプレスリリースの中でも、アルファの血を引くことが強調されている。同時に、米国では1万5995ドル(約144万円)という戦略的プライスタグが下げられている。昨年12月の生産台数は3149台で、すでに兄貴分の「アベンジャー」「チャレンジャー」「チャージャー」を抜いている。幸先良い出だしだ。
フィアットブランドも勢いづいていた。今回は2014年モデルとして5ドアワゴン「500L」の米国仕様を初公開した。欧州仕様と同じくイタリア製エンジンを搭載したセルビア工場製だが、欧州仕様の全長が4147mmなのに対して、米国仕様はバンパー形状の違いから4246mmと99mmも長い。
メキシコ工場で生産されている「500」「500C」そして「フリーモント」(ダッジ・ジャーニーのOEM車)は、2012年に前年より約2万台増の11万台の生産を記録した。フィアットは全米販売の伸張率でも、前年比121%プラスでトップに躍り出た。
マセラティは今回のデトロイトで、かねてから話題となっていた新型「クアトロポルテ」をショーデビューさせた。マセラティにとって米国は2012年に2892台を売り、世界販売の46%を占めた重要なマーケットである。2009年と比べると倍増という勢いだ。したがって、新車発表の場としてデトロイトを選んだのは、当然ともいえよう。
そして、もうひとつ会期中にニュースがあった。フィアット クライスラーのセルジオ・マルキオンネCEOは、アルファ・ロメオブランドを「アルファ・ロメオ 4C」の投入とともに米国市場に復帰させる計画であることを発表した。

大矢 アキオ
コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』、『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。
-
NEW
ジョー・バイデン新大統領誕生で自動車産業はどう変わる?
2021.1.22デイリーコラムもめにもめたアメリカの大統領選挙がようやく決着し、第46代となるジョー・バイデン新大統領が誕生した。クルマ好きとして知られる氏は、果たして自動車業界にどんな変化をもたらすのだろうか。 -
NEW
スバル・レヴォーグSTI Sport EX(4WD/CVT)【試乗記】
2021.1.22試乗記いまやスバルの中核モデルへと成長した「レヴォーグ」。六連星(むつらぼし)の新たなフラッグシップと位置づけられる新型は、スポーツワゴンらしい走りと使い勝手のよさが実感できる一台に仕上がっていた。 -
アストンマーティンDBX(前編)
2021.1.21谷口信輝の新車試乗レーシングドライバー谷口信輝が今回試乗したのは、アストンマーティンが開発した高性能SUV「DBX」。そのステアリングを握った走りのプロには、どこか気がかりなところがあるようだが……? -
ホンダCBR600RR(6MT)【レビュー】
2021.1.21試乗記ホンダのミドル級スーパースポーツモデル「CBR600RR」が復活。レースでの勝利を目的に開発された新型は、ライディングの基礎を学ぶのにも、サーキットでのスキルを磨くのにも好適な、ホンダらしい誠実さを感じさせるマシンに仕上がっていた。 -
第690回:GMの本気とBMWの変化球! 大矢アキオがフルオンライン開催の「CES」を練り歩く
2021.1.21マッキナ あらモーダ!オンライン開催された家電エレクトロニクスショー「CES」に大矢アキオが潜入。最新の電気自動車用プラットフォームやフルスクリーンのようなダッシュボード、カーナビゲーションを映し出せるスマートグラスなど、自動車の未来を支える先端技術に触れた。 -
ハーレーのエンベロープをプレゼント!
2021.1.21プレゼント今回は、ハーレーダビッドソンのエンベロープ(封筒)をプレゼント。同ブランド初の量産型電動バイク「ライブワイヤー」が描かれているのがポイントです。奮ってご応募ください。