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【スペック】XJ 2.0ラグジュアリー:全長×全幅×全高=5135×1900×1455mm/ホイールベース=3030mm/車重=1780kg/駆動方式=FR/2リッター直4DOHC16バルブターボ(240ps/5500rpm、34.7kgm/1750rpm)/価格=900万円(テスト車=936万6000円)

ジャガーXJ 2.0ラグジュアリー(FR/8AT)/XF 3.0プレミアムラグジュアリー(FR/8AT)【試乗記】

新境地を開いた 2012.12.26 試乗記 下野 康史 ジャガーXJ 2.0ラグジュアリー(FR/8AT)/XF 3.0プレミアムラグジュアリー(FR/8AT)
……936万6000円/829万円

2リッター直4ターボエンジンを搭載するなど、パワートレインを一新したジャガーの2013年モデルに試乗した。
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直噴2リッターターボの実力

2013年ジャガーのハイライトは、エンジンのダウンサイジングである。それを象徴するのが、「XJ」に登場した2リッターモデルだ。ジャガーの代名詞ともいえる全長5mオーバーのフルサイズセダンが2リッターの4気筒ターボで走るようになったのだ。

「XF」にも搭載されたそのエンジンは、「レンジローバー イヴォーク」ですでにおなじみのフォード製直噴“2リッター・エコブースト”。資本関係は解消されても、ジャガー・ランドローバーとフォードとの協力関係は続いている。ジャガーは後輪駆動のために縦置きレイアウトをとるが、240psのパワーも34.7kgmのトルクもイヴォークと同一だ。変速機は新たにZF製の8段ATが組み合わされる。

さて、あのXJが2リッターで走るのか!? 走ります。考えてみると、車重1700kg台半ばの「イヴォーク」だってかなりスルドイ走りをみせるのだから、総アルミボディーで1780kgと、ガタイのわりに軽く仕上がったXJがよく走るのは当然だ。

この直噴2リッターターボ、とくに発進直後が力強く、4ドアクーペ的な豪華サルーンをスルスルッとカンタンにスピードに乗せる。0-100km/hデータは7.5秒と十分な速さだが、トルクにものを言わせる大排気量車とは違う軽快な加速感だ。加速が、カルイ。フルサイズセダンの走りに、なによりも陸の王者のような力強さを期待する向きには少し物足りないかもしれないが、そういうかたには上のV6やV8モデルをお求めいただくことにしよう。このエンジンのおかげでXJが「アウディA6」と「A4」の中間くらいのカジュアルさを身につけた。XJの新境地である。

新たに採用された2リッター直4ターボエンジンは240psと34.7kgmを発生する。
新たに採用された2リッター直4ターボエンジンは240psと34.7kgmを発生する。 拡大
「XJ」の室内。試乗した「2.0ラグジュアリー」にはボンドグレインレザーが使用される。
「XJ」の室内。試乗した「2.0ラグジュアリー」にはボンドグレインレザーが使用される。 拡大

ジャガーXJ 2.0ラグジュアリー(FR/8AT)/XF 3.0プレミアムラグジュアリー(FR/8AT)【試乗記】の画像 拡大
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ジャガーXJ 2.0ラグジュアリー(FR/8AT)/XF 3.0プレミアムラグジュアリー(FR/8AT)【試乗記】の画像 拡大
「XJ 2.0ラグジュアリー」は運転席、助手席に12ウェイ電動シートを採用する。
「XJ 2.0ラグジュアリー」は運転席、助手席に12ウェイ電動シートを採用する。 拡大
2013年モデルのオーディオは、イギリスのオーディオメーカー メリディアンのシステムが採用される(2リッターモデルではオプション)。
2013年モデルのオーディオは、イギリスのオーディオメーカー メリディアンのシステムが採用される(2リッターモデルではオプション)。 拡大

3リッターV6も新型に

日本仕様のXJはこれまで5リッターV8と5リッターV8スーパーチャージャーの2本立てだったが、2013年モデルからはこの2リッターが新たなスタンダードモデルになり、自然吸気の5リッターV8はカタログから落とされ、新型の3リッターV6がとってかわった。

2リッターのエントリーモデルでも、グレード名は従来通り“ラグジュアリー"を名乗る。価格は現行XJで初めて大台をきる900万円。5リッターV8の旧ラグジュアリーが1010万円だったことを考えると、もうひと声、がんばってもよかったかなと思うが、そこはフラッグシップとしての沽券(こけん)やXFとのカラミもあるのだろう。

XJの2リッターモデルはまずは中国と日本向けのようである。2011年度、ジャガーは世界で5万4227台を売って前年比5%増を記録した。そのなかで、中国はなんと138%増をマークし、一気に7410台まで伸ばした。このペースでいけば、すぐにヨーロッパ(1万207台)を追い抜きそうだ。中国映えのする大柄で流麗なボディーはそのままに、クリーンで燃費のいい量販ガソリンエンジンモデルが待たれていたのである。

今回、2台の2013年型ジャガーを経験したのはジャガージャパンの本社をベースに行われたミニ試乗会。距離が短かったため、満タン法の燃費測定はしなかったが、首都高とアクアラインで都心から木更津を往復した約80km区間で、2リッターXJの車載燃費計は10.1km/リッターを示した。
5リッターV8にリプレイスした新しい3リッターV6エンジンはXFで試した。2リッターにはないアイドリング・ストップ機構が付くこの直噴ユニットもフォード製だ。

「XJ 2.0ラグジュアリー」のタイヤサイズはフロントが245/45ZR19、リアが275/40ZR19。
「XJ 2.0ラグジュアリー」のタイヤサイズはフロントが245/45ZR19、リアが275/40ZR19。 拡大
【テスト車のオプション装備】 Meridian380Wプレミアムサウンドシステム=13万1000円/19インチTobaアロイホイール=9万9000円/アダプティブフロントライティング=8万2000円/リアプライバシーガラス=5万4000円
【テスト車のオプション装備】
Meridian380Wプレミアムサウンドシステム=13万1000円/19インチTobaアロイホイール=9万9000円/アダプティブフロントライティング=8万2000円/リアプライバシーガラス=5万4000円 拡大
【スペック】XF 3.0プレミアムラグジュアリー:全長×全幅×全高=4975×1875×1460mm/ホイールベース=2910mm/車重=1870kg/駆動方式=FR/3リッターV6DOHC24バルブ スーパーチャージャー付き(340ps/6500rpm、45.9kgm/2500rpm)/価格=829万円(テスト車=同じ)
【スペック】XF 3.0プレミアムラグジュアリー:全長×全幅×全高=4975×1875×1460mm/ホイールベース=2910mm/車重=1870kg/駆動方式=FR/3リッターV6DOHC24バルブ  スーパーチャージャー付き(340ps/6500rpm、45.9kgm/2500rpm)/価格=829万円(テスト車=同じ) 拡大
新型の3リッターV6エンジンはスーパーチャージャー付きで340psと45.9kgmを発生する。
新型の3リッターV6エンジンはスーパーチャージャー付きで340psと45.9kgmを発生する。 拡大
V6とV8モデルにはアイドリングストップ機構が新たに採用された。
V6とV8モデルにはアイドリングストップ機構が新たに採用された。 拡大

さらに磨きがかかった

2リッターXJから乗り換えると、3リッターのXFはより重厚で、むしろちょっと高級に感じられた。XFのボディーはスチール製。全長はXJより16cm短いが、1870kgの車重は90kg重い。そのせいか、まず乗り心地がズシリと落ち着いている。
XFシリーズのなかだと自然吸気の3リッターV6にとってかわったこのスーパーチャージドユニットは340psのパワーと45.9kgmのトルクを発生する。
0-100km/hは5.9秒。動力性能は車重のハンディを軽くひっくり返すが、2リッターXJの直後に乗ると“踏まなくても速い”のが端的な差である。ジャガー初のアイドリングストッパーだが、エンジン停止や再始動のマナーは文句なしだ。

変速機はこちらも8段AT。100km/h時の回転数は8速トップでわずか1300rpm。高めのアイドリングではないか。粛々と回るエンジンのマナーは、V8と言われてもだまされそうである。ただし、燃費性能はやはり2リッター4気筒エンジンがもっていくようで、XJのときと同じようにチェックした車載コンピューター値は7km/リッター台にとどまった。

撮影のために同じボディーカラーのXFとXJを動かしていると、どっちがどっちだったっけと一瞬、混乱することがしばしばあった。内装のお金のかけかたはさすがにXJには及ばないが、弟分のように思えるXFもあと3cmで全長5mを超す大型サルーンである。

新しい3リッターV6モデルの価格は829万円。2リッターXJより70万円ほど安い。ちなみに2リッターのXFは「595万円より」。エントリージャガーとしてさらに磨きがかかったといえるだろう。

(文=下野康史<かばたやすし>/写真=高橋信宏)

「XF」の3リッターモデルのタイヤサイズは245/45ZR18。
「XF」の3リッターモデルのタイヤサイズは245/45ZR18。 拡大

ジャガーXJ 2.0ラグジュアリー(FR/8AT)/XF 3.0プレミアムラグジュアリー(FR/8AT)【試乗記】の画像 拡大
下野 康史

下野 康史

自動車ライター。「クルマが自動運転になったらいいなあ」なんて思ったことは一度もないのに、なんでこうなるの!? と思っている自動車ライター。近著に『峠狩り』(八重洲出版)、『ポルシェよりフェラーリよりロードバイクが好き』(講談社文庫)。

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