スマート・フォーツーカブリオ ターボ(RR/5AT)【試乗記】
ホップ、ステップ、ジャーーンプ!! 2012.09.11 試乗記 スマート・フォーツーカブリオ ターボ(RR/5AT)……238万4250円
マイクロコンパクトカー「スマート・フォーツー」が小変更を受け、フェイスリフト。新たに加わったターボモデルの「カブリオ」で、その走りを試した。
加速感は1.4リッター車並み!?
マニュアルトランスミッションをベースにした、5段ATのソフタッチから得られる加速感は、ATモードでアクセルを踏み込んでいくと、三段飛びをしている感じだ。図で表現するなら、極太線で始まって細い線で終わる山が三つ。着地の後の飛び出し(シフトアップ)の際には、体がシートから少し浮くように感じる。その「ポン、ポン、ポ〜ン」という走りは、跳躍に近いかも。
「スマート」といえば、初期のモデルでは、ギアチェンジの際のギクシャク感が不快だったけれど、改良が加えられるたびにスムーズさが増し、その三段跳びの跳躍感がむしろスマートならではの味として楽しめるようになっている。これは楽しい!
シフトレバーの横にある切り替えスイッチを押して、MTモードに。すると一転、リニアで力強い加速が生まれる。実際の加速のパターンは同じなんだけど、運転する側の印象は大違い。図で表現するなら、定規に極太マジックをあてて、一気にひいた直線かな。
「スマート・フォーツー」は2012年5月のマイナーチェンジで、パワフルなターボモデルが追加されました。搭載される1リッター直3ターボエンジンは、最高出力85ps、最大トルク12.2kgmを発生。とくれば、1.3リッターNA車といい勝負。
ちょうど日を同じくして、国産の1.3リッター車(NA)に試乗していましたが、カタログスペックはそちらのほうが高いにもかかわらず、スマートは2500rpmあたりからグイグイっとターボが効いてきて、リアエンジン・リアドライブならではの、背中を押されるような加速が感じられ、ずっとパワフルに感じました。
体感的には1.3リッター車以上、1.4リッター車並みといってもいいかも! トリディオンセーフティセルからなるボディーは剛性感が高く頼もしいうえに、車重が870kgと軽いことが、この押し出すような加速感に拍車をかけているようです。高速道路での安定感も、見た目とは裏腹に「やっぱりベンツ」でした。
オープンスイッチオンにし、キャンバストップを開けると、頭のてっぺんにだけ風が通る程度で、サンバイザーをかぶってバイクに乗っているような気分。これはこれでちょうどいいかも。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
ちっちゃくても高級品
室内はスポーティーモデルにふさわしく、パドルシフト付きの本革巻き3スポークスポーツステアリングホイールに、コックピットクロック、レブカウンターを採用。シートヒーター付きの本革シートがオプションで選べるなど、ゴージャス感もアップ。トリディオンセーフティセルによる高い衝突安全性に加え、ESPやSRSヘッドソラックスサイドバッグといった安全装備が標準で用意されるのも、メルセデス品質といったところ。ちっちゃいだけのクルマとはちょっと違います!
スマートカブリオの開閉スタイルは、大きく分けて3段階。サンルーフ状態では好きな位置で止めることも可能。左右のルーフレールはそれぞれ取り外しができ、重さは1本につき2kgくらいかな。最近袖ふり状態が気になる、ぜい肉タプタプな私の腕でも、難なく持てる重さで、取り外しや取り付けも簡単にできます。
テールゲートの収納スペースは、緩衝剤がレールにぴったりフィットする形状になっているので、すっきり収納できて、走行中にがたつく心配もなし。
キャンバストップ全開状態では、後方視界が半減するので、バックソナー付だとなお良しですが、そうワガママも言っていられないので、「気を付けて運転しましょう!」ということで。
元気と癒やしをくれるクルマ
片側一車線ずつの車道で転回を試みてみると、案外外側から回り込まないと転回できず。スペック上の最小回転半径は4.2mだけれど、タイヤの最大切れ角が、意外と浅いせいで、数字よりも大きく感じられました。全長2.7mのマイクロコンパクトカーだけに、期待値が高すぎたかな?
電動パワーステアリングは意外にも操作感が重く、思わず「ヨッコイショ!」と口から飛び出してしまいました。私の腕がぜい肉でプルプルしてるのは認めますが、低速ではパワステを軽くするような工夫があると、より駐車や転回がしやすいのでは。
スマート・カブリオに試乗して、空に対するとらえ方が家から見るそれに似ているように感じました。私は、狭いですけど、ルーフバルコニー付きのマンションに住んでいます。北向きですが、春から秋の間は日光があたり、“畑”と称して、野菜や花なんかを育てて楽しんでます。都市に無数にひしめく1つの箱のなかの、そのまたちっぽけな箱に住んでいながら、自分専用の空があるって思うと、すごく癒やされるんですよね。
カブリオも、スイッチひとつで自分専用の空を持てるクルマ。ルーフを開けると、箱に閉じ込められていた自分の体が解き放たれたような気分になって、不思議と元気になれる気がします。これって、単に私が閉所恐怖症なだけですかねぇ?
いやいや、とにかくカブリオは、なにかと閉塞(へいそく)感のある都市において、自分の空が持てるステキな動く箱なんですよ。クーペでも十分楽しい。でもカブリオならもっと楽しい、そう思いません?
(文=スーザン史子/写真=荒川正幸)

スーザン史子
-
アウディQ3スポーツバックTFSIクワトロ150kWアドバンスト(4WD)【試乗記】 2026.8.31 フルモデルチェンジした「アウディQ3スポーツバック」に試乗。プラットフォームやパワートレインこそ従来型の改良版ではあるものの、内外装のデザインやインフォテインメント、効率性のすべてにおいて大幅な進化を遂げたという。その仕上がりやいかに。
-
トヨタbZ4XツーリングZ(4WD)【試乗記】 2026.8.29 「トヨタbZ4X」にワゴンのようなロングボディーを持つ「ツーリング」が登場。ただ長くなっただけではなく、今回試した4WDモデルではパワーもアップ。乗り味にも微妙な影響を及ぼしているから見逃せない。経路充電を試しつつ、370km余りをドライブした。
-
BMW 120オリジナル(FF/7AT)【試乗記】 2026.8.25 BMWの主要モデルに新グレードの「オリジナル」が設定された。位置づけとしては新たなエントリーグレードということになるが、BMWらしさを損なうことなく装備を厳選し、価格を抑えたのがポイントだという。「1シリーズ」の「120オリジナル」の仕上がりをリポートする。
-
トライアンフ・スラクストン400(6MT)【レビュー】 2026.8.25 カフェレーサーの本場である、イギリスのトライアンフがリリースした「スラクストン400」。車名のとおり、カジュアルに楽しめる400ccクラスのマシンではあるのだが、その実物からは、エントリーモデルとは思えない本物の香りが漂っていた。
-
スズキeスカイ プロトタイプ(FWD)【試乗記】 2026.8.24 スズキが満を持して世に問う、軽規格の新型電気自動車「eスカイ」。軽乗用車の本質である、生活の足としてのちょうどよい性能を追求したという一台は、どのようなクルマに仕上がっているのか? 2026年秋の正式発表を前に、プロトタイプモデルに試乗した。
-
NEW
新型「三菱パジェロ」の外装・内装を写真でチェックする
2026.9.2画像・写真5年間のブランクを経て、三菱のフラッグシップSUV「パジェロ」がついに復活! 「グランドカリスマ -泰然自若-」をコンセプトにデザインされた本格クロスカントリーモデルは、どのような姿をしているのか? 内外装の詳細を、写真で紹介する。 -
NEW
復活の決め手はこっくりさん!? 新生「三菱パジェロ」誕生の経緯とその狙い
2026.9.2デイリーコラム5年間の沈黙を経て、ついに登場した新型「三菱パジェロ」。スリーダイヤモンドが誇る荒野のフラッグシップは、いかにして復活を遂げたのか? 開発の経緯や内外装デザインの詳細、パワートレインに見るクルマの“狙い”をリポートする。 -
NEW
第127回:新型BMW X5(後編) ―迷走するBMW 結局アナタは“ノイエクラッセ”でなにがしたかったの?―
2026.9.2カーデザイン曼荼羅その姿が明らかとなるや、賛否両論を巻き起こしている新型「BMW X5」。このクルマは既存のBMW製SUVとはなにがちがうのか? そもそもBMWは“ノイエクラッセ・デザイン”になにを託していたのか? カーデザインの識者と、迷走するBMWの明日を探った。 -
NEW
BMW X1 sDrive20iオリジナル(FF/7AT)【試乗記】
2026.9.2試乗記BMWのコンパクトSUV「X1」に新グレードの「オリジナル」が登場。走りの楽しさをはじめとしたBMWらしさをキープしつつ、装備の厳選によって価格抑制を図った新たなエントリーグレードだ。都市部におけるドライバビリティーとユーザービリティーをリポートする。 -
スポーツカーに未来はあるか?
2026.9.1あの多田哲哉のクルマQ&A年々、開発環境が厳しくなるといわれるスポーツカーは、この先も存在しうるのか? トヨタのエンジニアとしてさまざまなスポーツカーを開発してきた多田哲哉さんに“未来のスポーツカー像”を聞いた。 -
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】
2026.9.1試乗記2020年のデビュー以来、間断なく進化を続けてきたコンパクトスポーツの「トヨタGRヤリス」。一般ユーザーの間ではもちろん、コンペティションの世界でもチューニングのかいわいでも光を放つ一台は、2026年モデルでどう進化したのか? その走りを報告する。





























