「ラリーで使うのは特殊なガソリン?」

2002.06.10 クルマ生活Q&A 松本 英雄 ガソリン・オイル
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「ラリーで使うのは特殊なガソリン?」

パリダカールラリーなどの競技で使うガソリンは、市販されているものとはちがうのでしょうか? また、燃料の運搬はどのようになされているのでしょうか?(東京都 TSさん)

お答えします。パリダカールやグラナダダカールのラリーでは、アブガス(AVガス)といって、オクタン価の高いガソリンを使っています。これは「アブナイ・ガソリン」ではなく、フランス語で飛行機を意味する「Avion(アビオン)」からきているようです。

アブガスのオクタン価はおよそ110オクタンです。私たちが入手できるハイオクが100オクタンぐらいですから、それからくらべるとウルトラハイオクタンガソリンです。ただし出力を増加させるために入れるわけではありません。

オクタン価が高いと熱が加わっても燃えにくいので、砂漠の炎天下における競技などで外気温に影響されてシリンダー内の温度が上昇したときでも、異常燃焼を起こしにくくなります。

アフリカで一般的に手に入るガソリンは、およそ80オクタンのものです。圧縮比が6対1とか7対1というような50年以上前のエンジンには通用するかも知れませんが、競技用車両に使えばピストンに穴があいたりプラグが溶けてしまったり、あるいはノッキングで焼き付くなど、トラブルの可能性が大幅に高くなります。

アブガソリンは、競技中のサービスポイントやビバークでオーガナイザーから1台あたり一日200リッターが与えられます。与えられるといっても買うのですが。

松本 英雄

松本 英雄

自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。