「ドラムブレーキのメリットは?」
2002.04.10 クルマ生活Q&A ブレーキ「ドラムブレーキのメリットは?」
ルノー・ルーテシア16Vのカタログを見ていたら、リアブレーキがドラムでした。いまやほとんどのクルマが、4輪ディスクだと思うのですが、問題ないのでしょうか。(YCさん)
お答えします。国産スポーツカーを筆頭に、最近は4輪ディスクブレーキは当たり前のようになってきました。ルノールーテシア16Vのような「スポーティなクルマは4輪ディスクブレーキでなければならない」という印象を抱いていらっしゃるようですが、要するにそのスペックに見合う制動力があれば、ディスクでもドラムでも良いのではないでしょうか。
運動エネルギーはブレーキによって熱に変えらます。熱がブレーキ系にたまるとブレーキフルードが沸騰し、ベーパーロック現象を誘発したり、熱によってパッドやシューがフェードして制動力が著しく低下します。
ドラムブレーキはドラム内部で熱が発生するので、外気に直接触れるディスクブレーキより放熱性が低い。また、メンテナンスの面でもドラムブレーキはダストが内部に溜まりやすくブレーキの効きやフィールが悪くなることもあります。
しかし、ドラムブレーキは軽量であること、また、その構造からいまのところ安価に供給できることがメリットです。FF車であるルーテシア16Vは、フロントにかかる荷重が大きいので、フロントには高い制動力を持ったディスクブレーキを、荷重の少ないリアにはドラムブレーキを採用しているという訳です。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。