「優しいクラッチのつなぎかたは?」
2001.01.08 クルマ生活Q&A トランスミッション「優しいクラッチのつなぎかたは?」
マニュアル車に乗っています。クラッチのつなぎかたで迷っています。同乗者がいるときはすべらせてつなぐとショックが少なく優しいのではと思ういっぽうで、機械的には減りが早くなってしまうのではないかと経済的な面から心配になります。はたして両立は可能なのでしょうか。(東京都OSさん)
お答えします。じつは、同乗者に優しい運転とクルマにも優しい運転は同義です。クラッチをつなぐときはアイドリング付近でつなぎ、エンジンはあまり回さないようにします。シフトアップのときは少し滑らせながらつなげば、機械的にはやさしいつなぎかた、ということになります。
ではどのへんでつなげばいいかというと、それにはクルマのクラッチのミートポイントを知ることです。簡単なやりかたは、静止状態からアクセルペダルを踏まずにクラッチペダルを徐々につないでいくことです。クルマが動きだしたら、そこがミートポイントです。
以降は同じやりかたをすれば、アクセルを踏まずに発進が出来るということです。ただし同じやりかたでもクルマがギクシャクしてエンジンがストールしそうになってしまった場合(スポーティなクルマに多い)は、200〜300回転あげてアクセルペダルを軽く踏みながらクラッチをつないでください。シフトアップのときも、ややすべらせるようにつなげばよいと思います。
クラッチは消耗品ですのであるていど距離を乗れば減ります。減ったら交換すればよいのです。上記のように優しいつなぎ方をしていればクラッチも減りにくいでしょうし、駆動系全体への負担もすくなくなるので、クル
マとしても長持ちします。クラッチのつなぎかたで、クルマの寿命が左右されるわけです。
当初、質問にはシフトダウンの仕方についても含まれていたのですが、紙幅の関係でまたの機会にゆずらせてください。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。