「水温を安定させたい!」
2001.04.13 クルマ生活Q&A エンジン「水温を安定させたい!」
クロスフローエンジンを搭載した古いフォードに乗っています。悩みは、水温が安定しないことです。特に冬場は、オーバークールとオーバーヒートが交互に現われる難しい季節です。
具体的に述べますと、高速道路で巡航すると、60から65度まで水温が下がります。一方、10分も渋滞にいると、たちまちオーバーヒート気味になるので、その都度、冷却ファンのスイッチを入れて、なんとかしのいでいます。
水温を85から90度に安定させることはできないでしょうか? アドバイスをお願いします。(神戸市・YKさん)
お答えします。一般的に考えられることはエンジンの温度を適性に保つ装置(サーモスタット)の故障です。サーモスタットはエンジンが冷えている場合はラジエターに冷却水を流さず、つまりブロックまわりだけに水を循環させ、エンジンの温度を上げやすくします。水温が上がってくると、バルブを切り替え、ラジエターに水を流し、通常の冷却をはじめます。
サーモスタットは、劣化すると温度に対しての反応が悪くなるのです。もし水温計の動きがおかしいようであれば、一度点検をするほうがいいでしょう。
もうひとつ、冷却水を循環させるウォーターポンプの能力が、渋滞などのアイドリング時に不足していることが考えられます。
渋滞にはまって水温が上がったときなどは、ウォーターポンプを速く回し、熱くなった冷却水をどんどんラジエターに流して、冷やさなければなりません。このあたりのバランスがとれていない可能性があります。
実は私も1960年代の英国車に乗っていて、同じ症状を経験したことがあります。そこで対策として、ウォーターポンプに動力を伝えるクランクプーリーをひとまわり大きなものにして、ポンプの能力を上げました。
YKさんの場合は、オーバークール対策として「サーモスタットの点検」、オーバーヒートへの対応として、「ウォーターポンプの能力をチェック」と、それぞれの症状に別個にあたることをおすすめします。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。