エンジン始動時のナゾ
2001.12.08 クルマ生活Q&A エンジンエンジン始動時のナゾ
エンジンをスタートさせるとき、なぜエアコンやオーディオといったアクセサリーなどの回路が切られるのですか? つまり、イグニッションキーは「アクセサリー」「イグニション」「スタート」と回っていき、スタートの位置の時、アクセサリーとイグニションの回路に電気が流れないようになっています。スタート時にすこしでもバッテリーの負担を減らす目的かとも思いますが、電力を消費するライトの回路はそのままです。いろいろな人に聞きましたが明確な答えがないので、ぜひ教えてください。(MYさん)
お答えします。エンジンスタート時にアクセサリーとイグニションの回路が遮断されるのは、MYさんが想像されるとおりバッテリーの負担を減らすためと、もうひとつ、点火系の電圧低下を避けるためです。
キーをひねってエンジンをかける際には、ゼロからエンジンを回さなければならないため、スターターモーターに大きなトルクが要求されます。そのため、およそ200A以上の電流が流れます。
バッテリーから放電できる容量は決まっていますから、スタータモーターばかりに電気をとられてしまうと点火系の電圧が下がってしまい、スパークプラグの放電電圧も低く弱くなるので、エンジンのかかりが悪くなります。
それを防ぐためにライト類などの保安基準に関係するモノを除いた電気を遮断して、モーターと点火系、双方の電圧を確保するのです。スターターの電流はバッテリーのみからの供給になりますから、エンジンがかからないからといって長い間クランキングを続ければ、当然、バッテリーの消耗は激しくなります。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。