三菱ミラージュディンゴJ (CVT) 【ブリーフテスト】
三菱ミラージュディンゴJ(CVT) 2001.03.07 試乗記 ……153.3万円 総合評価……★★ヤマンバその後
これがあのランエボVIIと同じファミリーの一員だと思うとちょっとばかり気が遠くなるが、しかし現実は現実だ。車名を置き去りにして、むしろ日本車きっての「ヘンな顔」で一躍有名になってしまった三菱ディンゴ。大幅な整形手術をして仕切り直しである。その見た目は、さしずめ厚化粧を落としたヤマンバガール。ヤマンバやめたらただのヒト。無難というか、新型車じゃないみたい。そのせいか(?)、以前のヘンな顔も、「エアロ」として残る。
たまたま手元に数字があるのであげてみる。2001年1月、ディンゴの登録台数は850台。カタチやサイズがごく近いところでいうと、ホンダ・キャパが959台と成績も似たりよったり。いずれにせよ全然パッとしない。クルマ自体どっちもパッとしていないのだから当然とも思えるが、しかし。同じ月に、あの「迷車」日産キューブが5861台。なぜ売れるキューブ。クルマの内容を思うと、さっきよりもっと気が遠くなる。マツダ・デミオ5732台と知って、少し正気を取り戻したりして。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1998年12月22日、鳴かず飛ばずのコンパクトモデル「ミラージュ」と併売するカタチで登場した「背高ワゴン」。ミラージュという名を冠するが、ブランニューのシャシーをもつ。個性的な縦長ヘッドライトのフェイス、「1.5リッター+4段AT」のみの組み合わせで登場したが、販売は振るわず。テコ入れの一環として、1.3リッター、1.8リッターモデルを追加したが、浮上せず。2001年1月29日に、ついにフェイスリフトを受けて(1.8リッターモデルを除く)再登場。1.5リッターモデルには、CVTが採用された。4WDモデルも用意される。
(グレード概要)
1.5リッター「J」は、1.3リッターの「POP」、1.8リッターの「エアロ」に挟まれた、1.5リッター中の中堅モデル。1.5の廉価版「V」と比較すると、フルホイールカバー、電動格納ミラー、オーディオ、タコメーターなどが標準で装備される。また、Vのリアシートは一体型ベンチシートなので、後席を分割して畳んだり、スライドさせたい場合は、Jを買う必要がある。ナビゲーションシステムを装備した「ナビパック」もある。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
外観のフロント部分こそ大きく変わったが、こちらにはまだしっかりと残るヘンな顔つき。ただし、正味の使い勝手は決してヒドからず。ヘンに3D曲面遊びをしなかったのがよかった。このテとしてはおそらくダントツで使いやすいコラムシフト。エラー知らずの、しかも滑らかなレバー操作感。CVTオートマ新規採用ということで、「D」のすぐ下は「Ds」。要するに積極エンブレ用ポジション。このテの標準といえばそうだが、実際走っても使いやすかった。三菱電気製のナビも使い勝手良好。一部の、あるいは大半の三菱自動車製品とはいささか異なり実直。「初見」でも理性的判断をもとに、比較的サクサク手続きを進めていけた。あるいはひょっとして、このテの純正装着モノで本当にヒドいのは一部輸入車用だけかも。
(前席)……★★★
とりあえず、アップライトな姿勢はイヤでない。直前にホンダ・ストリームを試していたせいか、プワンと当たりの柔らかい感触が思わず嬉しかった。長時間座ってお尻が痛くならないかという心配はあるが、少なくとも東京・神田神保町から銀座経由で東名海老名SAまでのドライブでは気にならなかった。肘かけは、角度調整機構があって、サイズも実用的。本当に必要なのかはともかく。
(後席)……★★
かけ心地そのものは、基本的に前席と同じ種類。しかし、どうしてこんなにガランとデカい空間のなかで(しかも地面からかなり高いところで)こんなセコいシートに座らねばイカンのか、という憤りのようなものは覚える。後輪(とその上下動)を逃げる部分の出っ張りを避けつつ、いわゆるロングスライドやリクライニングを可能にしようとすると、必然的にリアシートはこうなってしまう。背もたれの両端部分は壁に当たると勝手に折れ曲がって逃げる。その姑息な仕掛けが余計に悲しい。最初見たとき、コワれてるのかと思った。
(荷室)……★★★
床面最大幅100cm、天井まで105cm、奥行きは65cmといまひとつだが、たくさん積みたいときは、後席を前方にスライドさせるか、背もたれを倒すか、さらに座面前部の付け根を軸にシートごと前に畳む「タンブル」すればよい。そりゃスゴい。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
特に軽くもない、というか背高なぶん確実に重量関係その他で不利な車体に、1.5リッターとはいえリーンバーン(希薄燃焼)ユニット。以前は、ちょっと負荷が上がると即リーンをやめてしまって「欺瞞」と思わせるに十分なデキだったが、マイチェンの成果はそれなり出ているらしい。
タウンモードの走行では、リーン燃焼中であることを示す速度計内のグリーンのランプがほぼ常時点灯。テストと称してむやみに乱暴な加速を試みないかぎり消えることはない。新採用CVTの恩恵か、明らかに改善された。高速道路では、メーター上110km/h を超えない範囲で、普通にジェントルに運転すればかなり点灯。ひとたび110km/h を超えると、ほとんどナニをやっても点くことはない。
CVTオートマは、トルコンの特性も含めて自然。少なくとも、以前の4段ATよりはずっとマシ。日本車のオートマも少しずつとはいえ改善されているのか。
だったらめでたいが。ちなみに、CVT オートマで「D」の下にある「Ds」ポジションは、最高速度からそこへたたきこんでもノープロブレムのエンブレ用。便利。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
日本車的ソフトライドの、ひとつの典型。「ダイナミック度の高い走り」方面は、ハナからあまり重視されていないものと思われる。これでクルマが長くなると、つまりディオンになると、さすがにアシを固めずにはいられないのだが。
というわけでディンゴはくんにゃりと走る。マイチェン前の印象の記憶と較べると、ヘナヘナ度は多少低くなっているような気もする。イザというときのことを考えると、だからトバす気にはならない。そこをあえて首都高あたりでイタズラ心の運転をすれば、重心の高い車体はすかさずそれなりの反応をしてよこす。反省。かえって安全かも。うーむ。
(写真=荒川正幸)
【テストデータ】
報告者:森 慶太
テスト日:2001年2月24から26日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:275km
タイヤ:(前)185/65R14 86S/(後)同じ(いずれもヨコハマS220)
オプション装備:フルオートエアコン/ナビゲーションシステム/MD付きラジオ+4スピーカー
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4):高速道路(6)
テスト距離:136.1km
使用燃料:45.8リッター
参考燃費:10.8km/リッター

森 慶太
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