三菱ミラージュG(FF/CVT)
乗れば良心が伝わってくる 2016.02.13 試乗記 三菱の世界戦略を支えるコンパクトカー「ミラージュ」がマイナーチェンジ。上級グレード「G」の試乗を通して、世界93カ国で販売されるグローバルプロダクトの進化の度合いと、日本市場におけるライバルに対するアドバンテージを確かめた。今日の三菱を支えるグローバルコンパクト
先日、三菱は次期型「ランサー」の開発取りやめを発表した。昨年秋に「ランサーエボリューション」が生産終了となり、次期型はもうないのかな……と思っていたら、基準車そのものがなくなるという話だ。
いわゆるリソースの選択と集中……ということで、現在三菱が注力しているのは中・小型SUVおよび電動パワートレイン車の開発だ。「アウトランダーPHEV」の好評を背景に、今後世界的な伸長が見込め、ブランドイメージを明確化でき、利益を確保しやすいそのカテゴリーで一定のシェアを取る。ランサー封印は、それが必達の経営目標だということを物語っている。
日本市場をみる限り、われわれが昔から見知ったセダンやハッチバックという「普通のクルマ」のカテゴリーにおいて、三菱のプレゼンスは確かに弱い。ランサーのようなC、Dセグメントのセダンは確かに各社苦戦しているが、三菱は売れ筋であるA、Bセグメント系のモデルでも、すなわちこのミラージュでも販売状況は芳しくない。一方で、世界市場に目を向ければミラージュの導入国は93。三菱にとって最大の国際商品であり、タイの工場では年間10万台ペースの生産が続いている。
ブランドエントリーという意味合いからみても、三菱がミラージュを封印することは考えにくい。が、その幅広い商圏において、日本や、日本と同量を売っているというアメリカのような成熟市場において、購入者の満足度を高めるのは重要な課題だ。仮に後々SUV一本足でのプレミアム商法をもくろむにしても、今市場での存在感が希薄化すればその後の立ち上がりにも影響が出てくるだろう。