ホンダCR-Vフルマーク プレミアム(4AT)【ブリーフテスト】
ホンダCR-Vフルマーク プレミアム(4AT) 2000.11.30 試乗記 ……230.4万円 総合評価……★★★手頃なサイズと素直なハンドリング
トヨタRAV4に続いて、1995年にデビュー。シティユースを第一に考えられたライトクロカンのパイオニア的存在。いまだに人気が衰えない。バリエーションを追加してモデル寿命の延命を図っているが、手強いライバルが続出しているので、そろそろ限界か。長所は、手頃なボディサイズと素直なハンドリング。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1995年に登場した小型街乗りヨンク。シビックをベースに、4輪独立懸架のサスペンションをもつ。エンジンに、スリーブを連結したコンパクトな2リッターユニットを、ホンダ車として初めて採用。前輪駆動を基本に、必要に応じて後輪に駆動力を配分する「ディアルポンプシステム」を搭載。コラムシフト、ステッキ式パーキングブレーキで、前後席のウォークスルーを実現、オデッセィで火のついたホンダの「RV路線」をさらに加速させた。
(グレード概要)
当初、「2リッター+4AT」仕様でスタート。後に、5MT、FFモデルが加わった。現在は、タイヤを背負ってオフロードテイストを出した「パフォーマ」と、床下に収納した都会派「フルマーク」に大別される。いずれにも、4WD、FF車がある。「プレミアム」は、専用インテリア、リフレクターヘッドランプなどを奢ったフルマークの豪華仕様。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
インパネまわりは機能的に整理整頓されて、使いやすい。だが、カーナビとエアコンスイッチを取り囲む艶のある木目風パネルと、フルマーク「プレミアム」専用のベージュのドアトリムなどとの取り合わせがチグハグ。「コーディネートができていない」と感じた。
(前席)……★★
平板でホールド性に乏しいシート。クッションの剛性(?)が足りず、上体が動くとお尻がズブズブと沈んで、体を支えてくれない。ハンドリングが秀逸なのに、惜しい。
(後席)……★★★
前席からのウォークスルーが可能。後席の膝回りの空間も十分にある。なぜか前席より後席の方がシートのかけ心地がいい。後席に座ると、車内がよく見わたせるので、ブラック内装にベージュのシートとドアトリムという、カラーコーディネートのヒドさが、よけい目につく。ドアトリムの分量も中途半端だ。
(荷室)……★★★
ガラスハッチだけを開閉できるのは便利。荷室にサスペンションユニットとタイヤハウスが張り出しているので、せっかくリアシートを畳んでも左右のサスペンション間の寸法より大きな辺を持つものは、ピタリと入らない。でも、ボディサイズと、4輪ダブルウィッシュボーンによるハンドリングを考えれば、諦めもつく(?)
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
ホンダエンジンの例に漏れず、「シュンシュン」とレスポンスよく回る2リッター4気筒ユニット。オフローダーとして使うには、「レスポンスを損なったとしても、もうすこし低回転域でのトルクが厚い方が」と思ったが、CR-Vは「シティ」オフローダーだから、これでいいのだろう。テスト車は、2駆の都会派「フルマーク」だし。街乗りでは問題ない。トランスミッションは4段AT。オーバードライブのON/OFFスイッチが、コラムシフトのレバー頂部に設けられて、押しやすいのがいい。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
乗り心地は特筆するほどのことはないが、光るのは素直なハンドリング。また、ステアリングを切っていくにしたがって、プログレッシブに増していく重さもいい。前輪の曲がり具合が手に取るようにわかる。適度なパワーアシストを受けるステアリングを、右に左にと切って走ると、まるで身軽なスポーツセダンのようだ。
(写真=小河原 認)
【テストデータ】
報告者 :金子浩久
テスト日:2000年11月10日
テスト車の形態 :広報車
テスト車の年式 :2000年型
テスト車走行距離:7980km
タイヤ :(前)205/70R15 95S M+S/(後)同じ
オプション装備 :ナビゲーションシステム(オーディオ付き)+助手席回転シート(23.0万円)
テスト形態 :ロードインプレッション
走行状態 :市街地(3):高速道路(7)
テスト距離 :415.6km
使用燃料 :46.6リッター
参考燃費 :8.9km/リッター

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。