ホンダ・シビック タイプR“欧州仕様”(6MT)【海外試乗記】
このままサーキットへ 2001.08.01 試乗記 ホンダ・シビック タイプR“欧州仕様”(6MT) インテグラ タイプRに続いて、ホンダホッテストモデルの“弟分”シビック タイプRがデビューした! 欧州産3ドアボディに、日の丸「エンジン+トランスミッション」を載せるグローバルマシン。自動車ジャーナリスト、河村康彦が、フランスはマニクールサーキットで乗って来た。“ちょっと大人の装い”で
新型ホンダ・シビック「タイプR」にヨーロッパで乗った。現行シビックのラインナップ中、欧州がメインマーケットとなる3ドアモデル(日本未導入)は、開発、生産、共にヨーロッパで行なわれる。シリーズのホッテストバージョンである「R」は、欧州産3ドアボディに、日本から「輸出」した「2リッターDOHC“i-VTEC”ユニット+6段MT」というパワーパックを搭載したものだ。
ただし、今回テストしたクルマは、この秋日本で発売される日本向けとは一部スペックの異なった欧州仕様。両者の主な違いはエンジン出力(日本仕様の方が使用ガソリンのオクタン価が高いため高出力)のほか、シート、ステアリングホイール、ドアライニング(いずれも日本仕様の方が“若者向け”になるという)の仕上げや、サスペンションチューニング(日本仕様には“ハーダーサス”が用いられる)など。全般的にはここで報告する欧州仕様よりも「より辛口」で、「より若いユーザー」を想定するのが、シビック タイプR“日本仕様”となるわけだ。
日本でおなじみの「5ドア」シビックと比較すると、全長で150mm短く、全高で75mm低く、ホイールベースで110mmショートなドアモデル。それをベースにした「タイプR」のプロポーションは、とても塊感が強い。ホンダはそれを「弾丸モノフォルム」と名付けた。そうした呼び方がピッタリだ。専用のエアロパーツが妙にケバケバしくないのが嬉しい。個人的には専用のエンブレムやステッカーも外して、“ちょっと大人の装い”で乗ってみたいと思った。
できればこのまま
日本のシビックにはまだ存在しない、マニュアルモデルのインパネシフトは、想像以上に操作感に優れている。WRカー(ワールドラリーカー)も好んで用いるこのレバー位置は、ステアリングから大きく手を離すことなく、手首の動きで素早いギアチェンジが可能なのだ。フィールも素晴らしく、アップテンポなシフト操作が楽しい。このクルマに乗ると、日本で売られるシビックの、「CVTというメカがいかに走りの楽しさをスポイルしているか」を、思い知らされる。
加速の能力は文句ナシだ。欧州仕様の場合最高出力は200psだが、それでもゴキゲンなVTECサウンドと共にスピードメーターのニードルはグングン右方向へ回っていく。日本仕様では恐らくプラス20psは上乗せされるはず。インテグラ タイプRと同じ「エンンジン+トランスミッション」を搭載するゆえ、車両重量がほぼ同じシビックRの絶対加速力も 、インテRとほぼ同等になると考えられる。
ステアリングフィールは、クセの強いインテグラRのそれより明らかに自然。強力なリミテッドスリップデフにより、タイトターンの立ち上がりなどで、切ったステアリングの「戻り力」をほとんど失ってしまうインテRに対し、LSDが入らないシビック タイプRは、わずかにトラクション能力が劣る一方、ずっとナチュラルなステアリングフィールを手に入れた。
サスペンションは硬めのセッティングで、コンマ一秒のタイムを競うのでなければこのままでも十分にサーキット走行をこなせる印象。ただし、LSDの装備と共に、足まわりも日本仕様ではより硬められてしまうという。そうなると、“兄貴分”インテRとの走りの差別化が難しくなってしまうのではないだろうか?
できればこのまま“輸入”して欲しい……。そんなことを考えさせられたヨーロッパ仕様のシビックタイプRである。
(文=河村康彦/写真=本田技研工業/2001年7月)

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。
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