トヨタ・カローラ1.3X(4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・カローラ1.3X(4AT) 2000.09.27 試乗記 ……149.3万円 総合評価……★★★★あすなろ物語
「変われるって、ドキドキ」って言われてもなァ、と思いながら新型カローラに乗ってオドロイタ! Aピラーが、こめかみをかすらんばかりに角度がついている! ・・・じゃなくって、1.3リッターエンジンの力強いこと! それも、走り始めにだけワッと力を出す不自然な設定ではなく、ドライバーが望んだとおりにボディを進める。コンベンショナルな4段ATもスムーズで、小排気量ユニットによく合っている。
乗り心地もいい。市街地、高速道路ともに、突き上げを上手に遮断しつつ、路面情報をドライバーに伝える。山道でも腰が砕けない。「エクサイトメント」の要素は皆無だが、それは「スペック」だから仕方ない。
全長4365mm、全幅1695mm。初代クラウンの大きさにまで成長した9代目カローラ。「いつかはクラウン」と願っているうちに、ひとつ飛び越してセルシオになっちゃった。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2000年8月28日に発表された9代目カローラ。ボディは、4ドアセダンと「フィールダー」と名づけられたワゴンの2種類。エンジンラインナップは、1.3リッター(88ps)、1.5リッター(110ps)、1.8リッター(136ps/ワゴンには190psも)のガソリンユニットと、2.2リッターディーゼル(79ps)。4AT、5MTが用意される。駆動方式は、FFのほか、4WDもある。
(グレード概要)
セダンは、ベーシックの「X」、標準仕様の「G」、豪華仕様の「Luxel(ラグゼール)」が基本グレード。1.3リッターを積むのはXのみ。電動格納ミラー、タコメーター、室内スポットランプ、シートバックポケットなどが省略される。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
万人に「嫌われない」アッサリとしたデザイン。ベーシックグレードの「X」には、文字盤が発光する「シルエットメーター」も背面から文字を投射する「オプティトロンメーター」も備わらないが、文字が大きくシンプルなメーターは、じゅうぶん見やすい。オプションのナビゲーション(19.5万円)のディスプレイも見やすい位置に設置される。
(前席)……★★★
あたりは柔らかいが、コシのあるシート。座面の角度調整用のダイアルが備わり、好みのポジションを取りやすい。シートサイズが、小さいのが気になるところ。シートまわりに小物入れが多いのは便利。
(後席)……★★★★
ニューカローラは、全車にISOFIX対応チャイルドシート用アンカーが備わる。後方にわずかに下がった座面、少し寝かせた背もたれで、後席住人のスペースを稼ぐ。膝前空間も確保され実用的だ。上下に調整可能なヘッドレストが備わる。なお、「X」は、センターアームレスト(カップホルダー付き)が省略される。
(荷室)……★★★
床面最大幅150cm、奥行き95cm、高さ50cmのラゲッジスペース。荷室への侵入が少ないイータビームサスペンション(スイングビームにパッシブステア機能を与えた)のおかげで、ガランと広い。トランクスルーが備わらないのは、メインターゲットたる年輩ユーザーは、スノボをやるまい、との判断からか。日常の買い物には必要充分。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
可変バルブタイミング機構を備える1.3リッター「2NZ-FE」ユニットは、88psとは思えぬ力強さ。そのうえ、アイドリングや定速走行時には、存在を忘れる静かさ。加速時には、「ビーン」と共鳴するようなノイズを発して回る、軽快なエンジンだ。4段ATとのマッチングもいい。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
「コンパクトカー」というカテゴリーから脱した乗り心地のよさ。「カローラ」クラスの誕生? ステアリング操作に素直に従うシャシー。ご主人さまを特別喜ばせることもないかわり、裏切ることもない。従順な召使い。
(写真=荒川正幸)
【テストデータ】
報告者:web CG 青木禎之
テスト日:2000年9月22〜26日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2000年型,
テスト車の走行距離:2211km
タイヤ:(前)175/70R14 84S/(後)同じ(いずれもトーヨー J36)
オプション装備:ナビゲーションシステム(19.5万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(6):高速道路(3):山岳路(1)
走行距離:630.4km
使用燃料:45.2リッター
参考燃費:13.9km/リッター
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
日産ルークス ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション/ルークスX【試乗記】 2025.12.15 フルモデルチェンジで4代目に進化した日産の軽自動車「ルークス」に試乗。「かどまる四角」をモチーフとしたエクステリアデザインや、リビングルームのような心地よさをうたうインテリアの仕上がり、そして姉妹車「三菱デリカミニ」との違いを確かめた。
-
アストンマーティン・ヴァンテージ ロードスター(FR/8AT)【試乗記】 2025.12.13 「アストンマーティン・ヴァンテージ ロードスター」はマイナーチェンジで4リッターV8エンジンのパワーとトルクが大幅に引き上げられた。これをリア2輪で操るある種の危うさこそが、人々を引き付けてやまないのだろう。初冬のワインディングロードでの印象を報告する。
-
BMW iX3 50 xDrive Mスポーツ(4WD)【海外試乗記】 2025.12.12 「ノイエクラッセ」とはBMWの変革を示す旗印である。その第1弾である新型「iX3」からは、内外装の新しさとともに、乗り味やドライバビリティーさえも刷新しようとしていることが伝わってくる。スペインでドライブした第一報をお届けする。
-
BYDシーライオン6(FF)【試乗記】 2025.12.10 中国のBYDが日本に向けて放つ第5の矢はプラグインハイブリッド車の「シーライオン6」だ。満タン・満充電からの航続距離は1200kmとされており、BYDは「スーパーハイブリッドSUV」と呼称する。もちろん既存の4モデルと同様に法外(!?)な値づけだ。果たしてその仕上がりやいかに?
-
フェラーリ12チリンドリ(FR/8AT)【試乗記】 2025.12.9 フェラーリのフラッグシップモデルが刷新。フロントに伝統のV12ユニットを積むニューマシンは、ずばり「12チリンドリ」、つまり12気筒を名乗る。最高出力830PSを生み出すその能力(のごく一部)を日本の公道で味わってみた。
-
NEW
ホンダN-ONE e:G(FWD)【試乗記】
2025.12.17試乗記「ホンダN-ONE e:」の一充電走行距離(WLTCモード)は295kmとされている。額面どおりに走れないのは当然ながら、電気自動車にとっては過酷な時期である真冬のロングドライブではどれくらいが目安になるのだろうか。「e:G」グレードの仕上がりとともにリポートする。 -
NEW
人気なのになぜ? アルピーヌA110」が生産終了になる不思議
2025.12.17デイリーコラム現行型「アルピーヌA110」のモデルライフが間もなく終わる。(比較的)手ごろな価格やあつかいやすいサイズ&パワーなどで愛され、このカテゴリーとして人気の部類に入るはずだが、生産が終わってしまうのはなぜだろうか。 -
NEW
第96回:レクサスとセンチュリー(後編) ―レクサスよどこへ行く!? 6輪ミニバンと走る通天閣が示した未来―
2025.12.17カーデザイン曼荼羅業界をあっと言わせた、トヨタの新たな5ブランド戦略。しかし、センチュリーがブランドに“格上げ”されたとなると、気になるのが既存のプレミアムブランドであるレクサスの今後だ。新時代のレクサスに課せられた使命を、カーデザインの識者と考えた。 -
車両開発者は日本カー・オブ・ザ・イヤーをどう意識している?
2025.12.16あの多田哲哉のクルマQ&Aその年の最優秀車を決める日本カー・オブ・ザ・イヤー。同賞を、メーカーの車両開発者はどのように意識しているのだろうか? トヨタでさまざまなクルマの開発をとりまとめてきた多田哲哉さんに、話を聞いた。 -
スバル・クロストレック ツーリング ウィルダネスエディション(4WD/CVT)【試乗記】
2025.12.16試乗記これは、“本気仕様”の日本導入を前にした、観測気球なのか? スバルが数量限定・期間限定で販売した「クロストレック ウィルダネスエディション」に試乗。その強烈なアピアランスと、存外にスマートな走りをリポートする。 -
GRとレクサスから同時発表! なぜトヨタは今、スーパースポーツモデルをつくるのか?
2025.12.15デイリーコラム2027年の発売に先駆けて、スーパースポーツ「GR GT」「GR GT3」「レクサスLFAコンセプト」を同時発表したトヨタ。なぜこのタイミングでこれらの高性能車を開発するのか? その事情や背景を考察する。



































