トヨタ・ブレビスAi300(5AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・ブレビスAi300(5AT) 2001.07.06 試乗記 ……429.8万円 総合評価……★★★クラウンの次
全国のトヨタ店(大阪地区は大阪トヨペット)で販売される「ブレビス」は、プログレと基本骨格を共にする直列6気筒エンジン搭載のFRサルーン。トヨタ店扱いのサルーンは(一部の地域を除き)、「クラウンの下はカリーナ」とその間隙が大きかった。それを補うニューモデルが、このクルマというわけだ。開発陣はブレビスに、「プログレよりやや若々しいテイスト付けを狙った」という。
ボディは、プログレより50mm長く、20mm幅広い。プログレと同じ2780mmのホイールベースは、実は30cm近くも全長の長い「クラウン ロイヤルシリーズ」と同寸なのだ。すなわち、オーバーハングを切り詰めた理詰めのパッケージングが、まずはニューモデルの特徴ということになる。
エンジンは、2.5リッターと3リッターの直列6気筒をラインナップし、いずれも好燃費を売り物とする直噴「D-4」ユニット……と、これまたクラウンロイヤルのスペックとオーバーラップする。すなわち、「クラウンでは大き過ぎるし、見た目も保守的過ぎる」というユーザーの声を受け入れたのが、ブレビスというわけだ。さすがは、綿密なマーケティングが得意なトヨタである。
プレス資料のモノクロ写真で見るとそれなりにコンサバに映ったブレビスだが、実物を目の前にすると、エクステリアデザインは想像よりはるかに華やかだった。その秘密は、グリルやヘッドランプ、ドアハンドルやサイドウインドウまわりなど、ボディ各部に散りばめられた各種の“光モノ”にあるようで、特にダークなボディカラーを選択した場合、それらが強調され、より派手な印象を与える。インテリアも“地味派手”。「クリスタル照明」で照らされ、グラデーションのかかった時計やスピードメーターが目を引く。パイピングが施されたシートも、(トヨタとしては)ずいぶん思い切ったもの。
……というわけで、「ポスト“クラウン世代”のフォーマルサルーン」。ぼくには、ブレビスの狙いがそのあたりにあるように思える。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
ブレビスは、2001年6月4日に発表されたオーソドクスな4ドアセダン。マークII、プログレと同じプラットフォームを用いる。基本的に「トヨタ店」用モデルだ。ブレビスの名は、英語の「brave(勇敢な)」に由来する。車体寸法を5ナンバー枠に収めたプログレに対し、こちらは全幅1720mmの3ナンバーサイズ。3リッター、2.5リッター、2種類のストレート6をラインナップし、FRのほか、2.5リッター搭載車には4WDモデル「i-Four」が用意される(2001年10月発売予定)。トランスミッションは、FR車が5段AT、四駆が4段ATとなる。
(グレード概要)
ブレビスのグレード構成はシンプルで、「Ai300」「Ai250」「Ai250 Four」の3種類。価格は、377.0万円、337.0万円、367.0万円。Ai300とAi250の装備面での違いは、3リッターモデルには、ペダル位置まで調整できる「パーソナルドライビングポジションシステム」、サイドエアバッグ(前席)、カーテンエアバッグ(前後席)、クルーズコントロールなどが標準装備となるが、2.5リッター車ではオプションとなること。オーディオ類も同じCD/MD一体型ラジオながら、3リッターモデルはCD6連奏である。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
「ポスト・クラウン」の役割を担うからには、装備品が充実しているのは当然。マルチビジョン(ナビ機能はオプション)や全ドア・ワンタッチ式パワーウインドウ、左右独立調整式エアコン、ディスチャージ式ヘッドライトなど、いたれりつくせりの標準装備。計器類は「クリスタル調オプティトロンメーター」で、グラスグリーンの淡い色調が(トヨタの考える)高級感を醸し出す。
(前席)……★★★
シート地は「静電防止&デオドラント機能付き」というファブリックが標準。ただし、テスト車はオプションのヒーター付き本革シートだった。「Ai300」のドライバーズシートは、8ウェイの調整機能付き。電動チルト&テレスコ式のステアリングホイールに加え、ペダルも電動で位置調節が可能! ただしあまりに調整機能が多過ぎ、一体どこがベストポジションか分からなくなる……!?
(後席)……★★★
3人分の調節可能式ヘッドレストに、同じく3人分の3点式シートベルトが用意される。とはいえ、FR車ゆえセンタートンネルの張り出しは大きく、事実上は「2人のための空間」。テスト車に装着されていた電動リアサンシェードは、(なぜか)本革シートとセットで26.6万円のメーカー・オプション。
(荷室)……★★★
形状的にはサイドウォールの凹凸が激しいものの、燃料タンクがリアシート下配置であることもあって、容量は440リッター(VDA法)と、まず満足レベルのトランクルーム。リッドを支えるアームが、荷物を押し潰す可能性のないリンク式なのが嬉しいポイントだ。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
「D-4ユニット+5段AT」は、2001年4月にマイナーチェンジを行なった兄弟車「プログレ」と同じドライブトレイン。滑らかで息の長い加速感は、さすがは直6エンジンと多段ATのなせるワザ。ただしスチールブロックの「JZ系」エンジンはそろそろ世代交代を行なってもおかしくない時期。世界的にV6が幅をきかせるなか、トヨタは次世代ストレート6を手がけるのだろうか……?
(乗り心地+ハンドリング)……★★
日常域では質感の高さを味わわせてくれるものの、速度が増すにつれ、舵の正確性が低下していく印象。テストコースでは、100km/hを大きく超えるゾーンで、狙ったラインをなぞろうとするトレース性の落ち込みが大きかった。良くも悪くも、「日本国内専売車」を感じさせるフットワークテイストの持ち主だ。
(写真=高橋信宏)
【テストデータ】
報告者:河村康彦
テスト日:2001年6月19日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:1803km
タイヤ:(前)205/55R16 89V/(後)同じ(いずれもヨコハマ Advan A-460)
オプション装備:DVD/MD一体型ラジオ+音声ガイド付きカラーバックモニター+DVDナビゲーションシステム+NAVI.AI-SHIFT(26.2万円)/本革シート+電動リアサンシェード(26.6万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(6):山岳路(1)
テスト距離:284.8km
使用燃料:32.1リッター
参考燃費:8.9km/リッター

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
-
BSAゴールドスター650(5MT)【レビュー】 2026.6.2 かつて一世を風靡(ふうび)した英国の名門、BSAが復活! 新生第1号モデルである「ゴールドスター650」は、クラシックで優雅なお散歩バイク……と思いきや、ツインカムの大排気量シングルで、ライディングも前のめりに楽しめるマシンに仕上がっていた。
-
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)【試乗記】 2026.6.1 「ホンダCR-V」がフルモデルチェンジ。新型は適切なボディーサイズと高品質な内外装を持ち、乗れば最新のホンダ車らしい気持ちよさが味わえる。ただし、その月販目標は400台。ちょっと弱気ではあるものの、周辺事情にも考えを巡らせると極めて妥当な数字にも思えてくる。
-
トヨタRAV4 GRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】 2026.5.30 新型「トヨタRAV4」のプラグインハイブリッド車ではEV走行換算距離が約150kmにまで到達。もちろん電池容量の拡大によるところも大きいが、何よりも最新のハイブリッドシステムによる効率向上が効いている。「GRスポーツ」をドライブした印象をリポートする。
-
キャデラック・リリックV(4WD)【試乗記】 2026.5.29 キャデラック初の電気自動車(BEV)「リリック」に、最高出力646PSのハイパフォーマンスモデル「リリックV」が登場。“ブランド史上最速”をうたう豪速SUVだが、実際に乗ってみると、高い動力性能がもたらすゆとりや心地よさにも魅力を感じる一台となっていた。
-
DS N°8エトワールAWD(4WD)【試乗記】 2026.5.28 前衛を身上とするフランスのラグジュアリーブランド、DSオートモビルから、新たなハイエンドモデル「DS N°8(ナンバーエイト)」が登場。当代屈指の性能を誇る電気自動車であり、かの地では大統領専用車にも選ばれる一台の、独創の魅力に触れた。
-
NEW
第290回:商用バンで砂漠を行く親子が向かうのは天国か地獄か 『シラート』
2026.6.4読んでますカー、観てますカー失踪した娘を探して親子はモロッコの砂漠へ。砂漠で開催されていたレイブパーティーが最高潮に達した頃、軍隊がやってきて中止させられる。親子が乗るFFの商用バンは次のパーティー会場にたどり着けるのか……。 -
NEW
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(前編)
2026.6.4あの多田哲哉の自動車放談ひさびさに日本市場に戻ってきた、ホンダを代表するSUV「CR-V」。最新世代の仕上がりを、トヨタの車両開発者だった多田哲哉さんはどう評価する? まずは、ワインディングロードを走らせた第一印象から。 -
NEW
第964回:フィアットグッズのコレクターから学ぶ人生訓
2026.6.4マッキナ あらモーダ!イタリア在住の大矢アキオが、トリノで著名なフィアットグッズのコレクターを取材。若き日の苦労を経て大成した人物が語る、人生で大切なものとは? フィアットやイタリアの歴史を物語る、貴重なコレクションの数々とともに紹介する。 -
NEW
気づけばすでに4モデル スバルのBEV戦略と水平対向エンジンの未来を考える
2026.6.4デイリーコラム「ソルテラ」に続き、「トレイルシーカー」「アンチャーテッド」「ゲッタウェイ」と、いつの間にか4モデルが顔をそろえたスバルのBEV。伝統的な水平対向エンジンやシンメトリカルAWDはこの先どうなるのか? スバルの未来戦略を探る。 -
レクサスES350h(FF/CVT)/ES350e(FWD)/ES500e(4WD)【海外試乗記】
2026.6.3試乗記「レクサスES」がフルモデルチェンジ。シャシーがFFベースというのは歴代モデルと同じだが、新型ではボディーサイズがググッと拡大。「LS」の6輪ミニバンコンセプトが登場したこともあり、今後のレクサスセダンの総代を担うことになる。北米で乗った印象をリポートする。 -
ミドシップ化で運動性能はどう変わる? 「GRヤリスMコンセプト」の現時点での完成度を体感
2026.6.3デイリーコラム「GRヤリス」をベースとしたミドシップ4WDとして市販化を目指す「GRヤリスMコンセプト」。現在もスーパー耐久に投入されるなどして鍛えられているが、その開発車両をドライブできた。普通のGRヤリスとの運動性能の違いや、新開発エンジンの印象などをリポートする。















