トヨタ・マークIIブリットの「ライバル車はコレ」【ライバル車はコレ】
FRワゴン対決 2002.03.30 試乗記 トヨタ・マークIIブリットの「ライバル車はコレ」 「マークIIブリットにふさわしいヒトになってほしい……」なんて言われちゃうアナタ。その実、「あのモデルは……?」と迷っていませんか? ちょっと贅沢なFRワゴンを、自動車ジャーナリストの河村康彦がピックアップします。トヨタ・マークIIブリット(2.5リッター=268.0-288.0万円)
「スターレット」をなくし、「スプリンター」も廃止し、最近では往年の「コロナ」と「カリーナ」の名前さえも葬り去るという大胆な行動に及んでいるのがトヨタ。が、このメーカー最新のステーションワゴンには、「ブリット」なる新しいサブネームが与えられはしたものの、辛うじてベースとなった4ドアモデル“マークII”の名前は残された。
「マークIIのワゴン」としては、先代のFF(前輪駆動)からFR(後輪駆動)へと、まるで時流に逆らった(?)プラットフォーム変更が施されたのが最大の特徴だ。とはいえ、実はコレ、従来型のマークIIワゴンがFFセダンであるカムリをベースにつくられていたために生じた事柄。先代までのマークIIセダンは、リアシート後方に燃料タンクを配置していたため、3ボックスモデルをベースにステーションワゴンをつくることは困難だった。しかし今回、燃料タンクがリアシートの下に移され、はれてセダンと駆動方式が同じ、FRワゴンの出現とあいなった。
【ライバル車その1】日産ステージア(2.5リッター=249.0-268.0万円)
■バツグンな走り
ハードウェア的には“スカイラインのワゴン”と呼んでおかしくない「新型ステージア」。V6エンジンをフロントミドにマウントすることなどにより生み出される“走りの良さ”がウリ。実際、加速もハンドリングも軽快そのもの。ステージアの走りの感覚は、ちょっと大柄なボディサイズを忘れさせるものだ。なかでも、高速走行時のフラット感の高さは、こうした項目では定評のあるメルセデスベンツやBMW各車に勝るとも劣らない。マークIIブリットの開発担当者が、「スカイラインとステージアの走りの実力の高さに大いに発憤した」と語ったほどだ。
ステージアのスタイリングは、フロントマスクなどに多少コンセプトカー的な雰囲気が漂うが、ボディ後半部は初代モデルと共通するボクシーな造形を継承した。もっともそれゆえに、“スウェーデンのあのクルマ”とイメージがラップするという意見も相変らず少なくない。スカイラインから消滅をした「ターボ+四駆」モデルも、こちらにはなぜかラインナップされている。
【ライバル車その2】トヨタ・クラウンエステート(2.5リッター=350.0万円)
■質感高いワゴンだが……
2リッターモデルの228.0万円から2.5リッターターボの339.0万円という価格設定がなされるマークIIブリット。トヨタの巧妙なヒエラルヒー政策によって、上級モデル「クラウンエステート」と慎重に差別化されるが、それでも2リッターモデルの299.0万円から3リッターの392.0万円までという設定のクラウンワゴンと、ある面“競合関係”にある。そもそも、マークIIブリットのボディ骨格というのは、クラウンエステートのそれをベースとしたもの。両者の血縁関係は、かなり色濃いのである。
“クラウンのワゴン”らしくどこをとっても質感が圧倒的に高いクラウンエステートだが、このクルマの数少ないウイークポイントは「音」。セダンにはないテールゲートと、必然的に大面積とならざるを得ないルーフパネルが、ちょうど太鼓の皮のような効果を生み出し、ボコボコという耳に不快な低周波のドラミングノイズを発生させてしまうのだ。クラウンゆえその他のノイズが非常に小さいために、皮肉にもこの音が殊更に目立ってしまう。後発モデルたるマークIIブリットは、ドラミングノイズが室内の微小な体積変化によって生じることに着目し、一部ボディパネルを逆位相にしならせることでノイズを打ち消すという工夫を採っている。
というわけで、実は静粛性に関する印象は弟分たるマークIIブリットの方が上。また、走りのフラット感の高さでも、ブリットに軍配が上がる。
(文=河村康彦/2002年3月)
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河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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