トヨタ・アルファードG AX 8人乗り FF(4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・アルファードG AX 8人乗り FF(4AT) 2002.07.04 試乗記 ……302.5万円 総合評価……★★★★
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軽さを活かした4気筒モデル
トヨタの大型ミニバン「グランビア」に「レジアス」、「グランドハイエース」に「ツーリングハイエース」と、販売の多チャンネル化に対応するため、煩雑化してしたラインナップを一新すべく、新しい車名を採用。同時に、販売チャンネルの見直しも含めて登場したのが、トヨタのミニバントップモデルたる「アルファード」である。
そのスタイリングをみれば、このクルマが“目の上のタンコブ”であるライバル、日産「エルグランド」の牙城を切り崩すべく開発されたことは、誰の目にも明らかだろう。重積載を考慮しなければならない商用モデルから解放され、乗用専用のワゴンと位置付けられたことで、グランビア兄弟のFR(後輪駆動)レイアウトから、「エスティマ」ベースのFF(前輪駆動)レイアウトへと大変身したことが、ハードウェア上の大きな特徴ということになる。
というわけで、相変らずのFR方式を踏襲した新型エルグランドと比べると、車両重量が150kg以上も軽いことが特徴のひとつ。この軽さを活かして設定されたのが、エルグランドにはない2.4リッター直列4気筒モデル、ということになる。
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【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2002年5月22日に発売が開始された、7/8人乗りの大型ミニバン。「グランビア」「レジアス」「グランドハイエース」「ツーリングハイエース」の後継にあたる。「アルファードG」はトヨペット店、「アルファードV」はトヨタビスタ店から販売される。
プラットフォーム、2.4リッター直4と3リッターV6エンジン、4段AT「SuperECT」、2WDとフルタイム4WDの駆動系基本コンポーネンツは、2000年1月デビューの「エスティマ」と共通。両側パワースライドドアなどを与え、トヨタは「最上級ミニバン」を謳う。
グレードは、2文字のアルファベットで表される。最初の1文字目が「M」なら3リッター、「A」なら2.4リッターモデルとなる。2文字目のアルファベットが、トリムレベルや装備品のグレードを表す。ベーシックは「AX」「MX」で、これに最廉価モデルの“Jエディション”と、豪華装備の“Lエディション”がラインナップ。スポーツメーターや、225/55R17&アルミホイールなどで、スポーティを演出する「MS」「AS」グレードと、3リッターのみの最上級グレード「MZ」が用意される。「MS」「AS」以外には、2列目の助手席側に乗員の乗り降りをサポートする、「サイドリフトアップシート」を装着するモデル(7人乗り)が用意される。
(グレード概要)
「AX」は、アルファード2.4リッターモデルの標準グレード。上級グレードに対して、ディスチャージヘッドランプがハロゲンに、パワースライドドアが非搭載になるなど、装備が若干異なる。また、車両の安定性を高める「VSC」や、サスペンションの減衰力を制御する「H∞-TEMS」、リアハッチゲートを室内のスイッチで開閉するバックドアイージークローザーなどの設定がない。
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【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネまわり+装備)……★★★★
アルフィードの室内デザインは、ひとことでいうと“ミニバンのクラウン”といった印象。ダッシュボードのアイキャッチャーとなるのは、まるでフロアから立ち上がったかのような大ボリュームのセンターパネル部分。“いかにも”な木目調パネルとジクザクに刻まれたATゲートが、何とはなしに上級なイメージをかもしだす。やっぱり“ミニバンのクラウン”らしい。
4気筒モデルでも装備的に見劣りする部分はない。265.0万円というプライスタグを提げる最もベーシックな「2.4AX」グレードでも、湿度センサー付きのデュアルオートエアコンやLED式間接室内照明、フロント席アームレストやテーブル付きフロアコンソールボックスなどが標準装備される。
(前席)……★★★★
「ミニバンの“車格”は目線の高さに比例する」、と考える人は多いという。というわけでアルファードはエスティマベースのFFレイアウトを基本にしながら、敢えてフロアパネルを嵩上げした。「上級ミニバンらしいヒップポイントの高さを確保した」という。結果、フロントシートに乗り込むためには、Aピラー部に設けられたグリップをぐいとつかんで身体全体を引き上げるという動作が不可欠だ。「ならばFRで行けば良かったのに」と突っ込みを入れたくもなるが……。
シートは厚みも充分で、ラチェットレバータイプのリフター機能もGOOD。やはりそれなりにお金がかかっている印象は受ける。
(2列目席)……★★★★
サイズもたっぷりとしていて、ミニバンのセカンドシートのなかでは最上級の出来栄えという印象。ロングスライドの動きや、シートアレンジのしやすさなども問題なし。乗降性の良さや「ホイールベースの中央に座ることによる乗り心地のよさ」も含め、アルファードに乗るならココがベストポジションだろう。ちなみに、フロントシートの間に置かれたコンソールボックスのため、前席とのウォークスルー性に難アリとも思えるが、実際、これをまたいで移動するのは苦もないことだ。
(3列目席)……★★★
ミニバンのサードシートとしては、確かに立派な代物。ヘッドレスト装着状態での跳ね上げ収納を実現させるため、シートバック寸法はやや物足りない。それでもスペース的には大人が長時間のドライブに耐え得る水準にある。もっとも、乗降の煩雑さや後突時の不安感を思うとやはり“末席”の印象は否めず。いずれにせよ、3列シートのポジションすべてで大人が寛ごうというには、やはりアルファード級のボディサイズが必須ということなのだろう。
(荷室)……★★
人が乗ると荷物が載らない。荷物を載せると人が乗れない、というのが実はミニバンの大きなウイークポイント。サードシートのアレンジ方法などによってこの弱点の解消に努めるアルファードだが、それでも「定員乗車で定員分の荷物を積み込む」ことは、そう簡単には行えないと心得るべきだ。ちょっとした荷物を積み下ろしするたびに、巨大なテールゲートの開閉を必要とするのも、相変らずスマートな方法とはいえない。このあたりを根本的にブレークスルーしようという意欲的なモデルが、いつか現れるのだろうか。
(写真=清水健太)
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
4気筒アルファードの心臓は、エスティマから譲り受けた2AZ−FE型。もちろんパワーは3リッターV6エンジンに及ぶべくもないが、ディーゼルエンジンが用意されないいま、経済性重視のユーザーにとって嬉しいプレゼントがレギュラーガソリン仕様であるこのユニットだ。4500rpmを越えると少々賑やかさを増すが、乗用域では静粛性も「クラウン」のイメージ。惜しむらくは、ATが4段であること。これが5段化されれば、動力性能に関するあらゆるフィーリングが大きく向上すること請合いなのだが……。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
動力性能面ではV6モデルに後塵を浴びる4気筒だが、一方のメリットはノーズ部分が軽いこと。これを生かした4気筒アルファードならではの美点は、ステアリング操作に対する応答性が素直であることだ。微舵操作が効きにくいことで高速走行性に不安を残す、というのは、唯一この点をブレークスルーしたホンダ「オデッセイ」以外のすべてのミニバンに共通するウイークポイント。しかし、4気筒アルファードは昨今のミニバンの中でも、オデッセイに次いで、「タイヤの持つ能力をきちんと引き出している」と感じることの出来る1台だ。乗り心地は路面に対するソフトな当たり感が印象的。エスティマでは物足りなさを残したブレーキの効きが、アルファードでは及第点になった。ただし、ペダルタッチが少々スポンジーなのが惜しい。
(写真=清水健太)
【テストデータ】
報告者:河村康彦
テスト日:2002年5月27日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2002年型
テスト車の走行距離:--
タイヤ:(前)205/65R16/(後)同じ
オプション装備:SRSサイドエアバッグ(前席)&SRSカーテンシールドエアバッグ(前席・2列目)(8.5万円)/<アルファードG・ライブサウンドシステム>=DVDボイスナビゲーション付きワイドマルチAVステーション(6.5型液晶ワイドマルチディスプレイ+MD/CD一体AM/FMマルチ電子チューナー付きラジオ+6スピーカー)(29.0万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4):高速道路(3):山岳路(3)
テスト距離:--
使用燃料:−−
参考燃費:−−

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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