スバル・インプレッサスポーツワゴンI'sスポルト(4AT) 【ブリーフテスト】
スバル・インプレッサスポーツワゴンI'sスポルト(4AT) 2001.08.22 試乗記 ……175.3万円 総合評価……★★★背伸びしたがる弟
WRカー(ワールドラリーカー)そっくりの「ソニックブルー」のボディカラー、巨大なフォグランプ用ホールが穿たれたフロントスポイラー、目をひくルーフスポイラー……、これはどう見てもあの峠道の王者「インプレッサ」……、にしてはホイールとタイアがちとショボイし、エンジンフードの上にインタークーラー用のインテイクもない。実はこの「スポーツワゴンI'sスポルト」、インプレッサはインプレッサでも水平対向1.5リッターSOHC4気筒を積む“普通の”モデル。それでも車名に“スポーツ”という言葉がダブルで入っているぐらいだから、走り屋に大人気の兄貴分にあやかろうとしているのは明白だ。尊敬する兄に一所懸命追い付こうとしている弟みたいでいじらしくもあるが、100psエンジンに4段AT付きFWD(前輪駆動)モデルにしてはちょっと気張りすぎの格好だ。話してみるといいヤツなのに、身体に合わない大人びた(?)スーツは、好感度を殺ぐ大きな減点対象である。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
インプレッサは、2000年8月23日に、8年ぶりのモデルチェンジを果たした。日常性を重視した5ナンバーのワゴン、走りを進化させるためトレッドを広げ3ナンバーになったセダンと、性格がハッキリ分けられたのがポイント。エンジンラインナップは、ワゴンが、1.5リッター、2リッター、同ターボ、セダンは、2リッターNAとターボとなる。
(グレード概要)
I'sスポルトは、1.5リッターモデル(I's)のスポーティ仕様。本革巻きステアリングホイールが奢られ、ブレーキ冷却ダクトの付いたフロントバンパー、ルーフスポイラーが装着される。2リッター、同ターボモデルには4WDしかラインナップされないが、1.5リッターモデルには、FFモデルもある。テスト車はそれ。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
スバルのクルマは、おしなべてインテリアの仕立てが野暮ったい。I'sスポルトはモモのレザーステアリングホイールとオフブラックの内装が標準装備だが、スポーティさの表現が相変わらずこれでは情けないし、だいいち暑苦しい。メーターの見やすさやスイッチ類の使い勝手は問題なしだが、オプションのビルトインナビゲーションはちんまりとして見づらい。今時CD-ROMだし。
(前席)……★★★
ドライバーズシートは小さめでやや薄っぺらな感じだが、実用上は問題なし。色調のせいもあって室内は広く感じないが、ヘッドルームだけは余裕あり。気になるのはステアリングホイール(チルト機構のみ)の径が大きすぎること。ペダルに合わせると特に身体の小さい人には回しづらいはずだ。
(後席)……★★
リアシートは、現代の水準を考えればこのクラスとしては決して広くない。またリアドアの実質的な開口部が小さいので乗り降りしにくい。開放感も薄いし……。総じて居心地はあまり良くない。新しいのに古臭い印象を拭えない。
(荷室)……★★★
ラゲージスペースはワゴンとして考えると、ちょっと期待外れ。ハッチバックと見てもこれまた平均的と言わざるをえない。リアシートを倒して荷室を広げることが可能だが、ストラットハウジングが左右から大きく侵食しているのが難点。
【ドライブフィ―ル】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
1.5リッターとしてはまずまずのパワーだが、3000rpm以下の実用域でのトルクがちょっと薄い。むしろトップエンド(メーターは8000rpmまであるがリミットは6000rpm)までスムーズに回って力を出す高回転型。ただしエンジンの音はガサガサと若干うるさい。スタッガード式のATゲートは切り方が不適切だ。「N-D-3」「3-2-1」と一直線になっているため、ゲートをギザギザにしている意味がない。そのうえ誤作動を防ぐためかタッチが渋く、マニュアル操作には不向きだ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
この車の最大の美点はハンドリング。ステアリングフィールは自然で、操舵に対してノーズは鋭すぎず鈍すぎずリニアに反応してくれる。コーナリング中の外乱に対する安定性も高い。乗り心地も街なかではおおむね良好だが、左右輪同時に目地を越えるような時にはドシンという突き上げあり。意外に大入力にはだらしないようだ。もうちょっと上等でがっちりした足まわり(とボディ)を望む。ハンドリングで4ツ星、乗り心地は3ツ星といったところか。
(写真=清水健太)
【テストデータ】
報告者:高平高輝(CG編集委員)
テスト日:2001年7月26日から28日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2000年型
テスト車の走行距離:1万0658km
タイヤ:(前)175/70R14 84S/(後)同じ(いずれもブリヂストン SF-213)
オプション装備:ナビゲーションシステム+MDプレーヤー+AM/FMラジオ(18.0万円)
テスト形態:ロードインプレッション
市街地(4):高速道路(6)
テスト距離:259.8km
使用燃料:31.4リッター
参考燃費:8.3km/リッター

高平 高輝
-
スズキ・エブリイJリミテッド(MR/CVT)【試乗記】 2025.10.18 「スズキ・エブリイ」にアウトドアテイストをグッと高めた特別仕様車「Jリミテッド」が登場。ボディーカラーとデカールで“フツーの軽バン”ではないことは伝わると思うが、果たしてその内部はどうなっているのだろうか。400km余りをドライブした印象をお届けする。
-
ホンダN-ONE e:L(FWD)【試乗記】 2025.10.17 「N-VAN e:」に続き登場したホンダのフル電動軽自動車「N-ONE e:」。ガソリン車の「N-ONE」をベースにしつつも電気自動車ならではのクリーンなイメージを強調した内外装や、ライバルをしのぐ295kmの一充電走行距離が特徴だ。その走りやいかに。
-
スバル・ソルテラET-HS プロトタイプ(4WD)/ソルテラET-SS プロトタイプ(FWD)【試乗記】 2025.10.15 スバルとトヨタの協業によって生まれた電気自動車「ソルテラ」と「bZ4X」が、デビューから3年を機に大幅改良。スバル版であるソルテラに試乗し、パワーにドライバビリティー、快適性……と、全方位的に進化したという走りを確かめた。
-
トヨタ・スープラRZ(FR/6MT)【試乗記】 2025.10.14 2019年の熱狂がつい先日のことのようだが、5代目「トヨタ・スープラ」が間もなく生産終了を迎える。寂しさはあるものの、最後の最後まできっちり改良の手を入れ、“完成形”に仕上げて送り出すのが今のトヨタらしいところだ。「RZ」の6段MTモデルを試す。
-
BMW R1300GS(6MT)/F900GS(6MT)【試乗記】 2025.10.13 BMWが擁するビッグオフローダー「R1300GS」と「F900GS」に、本領であるオフロードコースで試乗。豪快なジャンプを繰り返し、テールスライドで土ぼこりを巻き上げ、大型アドベンチャーバイクのパイオニアである、BMWの本気に感じ入った。
-
NEW
2025-2026 Winter webCGタイヤセレクション
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>2025-2026 Winterシーズンに注目のタイヤをwebCGが独自にリポート。一年を通して履き替えいらずのオールシーズンタイヤか、それともスノー/アイス性能に磨きをかけ、より進化したスタッドレスタイヤか。最新ラインナップを詳しく紹介する。 -
NEW
進化したオールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2」の走りを体感
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>欧州・北米に続き、ネクセンの最新オールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2(エヌブルー4シーズン2)」が日本にも上陸。進化したその性能は、いかなるものなのか。「ルノー・カングー」に装着したオーナーのロングドライブに同行し、リアルな評価を聞いた。 -
NEW
ウインターライフが変わる・広がる ダンロップ「シンクロウェザー」の真価
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>あらゆる路面にシンクロし、四季を通して高い性能を発揮する、ダンロップのオールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」。そのウインター性能はどれほどのものか? 横浜、河口湖、八ヶ岳の3拠点生活を送る自動車ヘビーユーザーが、冬の八ヶ岳でその真価に触れた。 -
NEW
第321回:私の名前を覚えていますか
2025.10.20カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。24年ぶりに復活したホンダの新型「プレリュード」がリバイバルヒットを飛ばすなか、その陰でひっそりと消えていく2ドアクーペがある。今回はスペシャリティークーペについて、カーマニア的に考察した。 -
NEW
トヨタ車はすべて“この顔”に!? 新定番「ハンマーヘッドデザイン」を考える
2025.10.20デイリーコラム“ハンマーヘッド”と呼ばれる特徴的なフロントデザインのトヨタ車が増えている。どうしてこのカタチが選ばれたのか? いずれはトヨタの全車種がこの顔になってしまうのか? 衝撃を受けた識者が、新たな定番デザインについて語る! -
NEW
BMW 525LiエクスクルーシブMスポーツ(FR/8AT)【試乗記】
2025.10.20試乗記「BMW 525LiエクスクルーシブMスポーツ」と聞いて「ほほう」と思われた方はかなりのカーマニアに違いない。その正体は「5シリーズ セダン」のロングホイールベースモデル。ニッチなこと極まりない商品なのだ。期待と不安の両方を胸にドライブした。