スバル・ランカスター6(4AT)【試乗記】
攻撃性のない、高級感 2002.05.25 試乗記 スバル・ランカスター6(4AT) ……347.5万円 北米ではレガシィシリーズ売り上げ全体の、80%以上を占める「アウトバック」こと「ランカスター」。3リッターフラット6を積む“高級”モデルに、webCG記者が試乗した。北米では主流
SUVやRVと乗用車のクロスオーバーコンセプトに、早くから目を付けたスバル。その具体的なモデルが、フォレスターとランカスター(北米名アウトバック)である。
日本ではそれほど多く目にしないランカスターだが、北米市場ではレガシィシリーズの主流といえる。1997年の発売から4年半あまりで、日本でのランカスター累計販売台数は2万9359台。これはレガシィツーリングワゴン全体の12.4%に当たる。一方北米では29万7395台で、実に全体の81.7%を占めるのだ。ツインターボエンジンを積む、ワゴン+スポーツカーのような“GT系”に人気が集まる日本とは違い、彼の地ではSUV的要素が強いランカスターが好まれるようである。
2001年5月、2代目となったランカスターが、マイナーチェンジを受けた。主な変更は、バンパーの形状をより「骨太」にし、グリルにはスバルのトレードマークである「六連星(むつらぼし)」が復活。機関面では、サスペンションを手直しして、コーナリング時のロールと発進&ブレーキング時のピッチングを抑えるなど、基本性能の底上げがなされた。また「ADA」(アクティブドライビングアシスト)という、車間距離を自動で制御してくれる、運転補助システムを搭載したモデルが追加された。
メーカーオプションのベージュの本革内装が奢られた試乗車には、スポーティなレガシィツーリングワゴンとはひと味違った、高級車のたたずまいがある。大きめのシートはゆったりと座ることができ、体をやんわりとホールドしてくれる。ダークブラウン木目調のアクセントが施されたインテリアに、これまたオプションである、マッキントッシュオーディオの黒いボディが光る。
インパネまわりで一風変わっているのが「カーゴファンスイッチ」だ。たとえば釣りに出かけた帰り道、オンにすると荷室の換気扇がまわり、車内から魚の生臭さを排除してくれる。もちろん釣れればのハナシですが。
キーをひねると、メーターリング、指針、文字盤の順に、メーターが点灯し、エンジンが始動する。水平対向6気筒エンジンのアイドリングは、タコメーターで確認しなければ気がつかないほど静粛性に優れ、あたりまえだが振動の少なさも、4気筒をはるかに凌ぐ。新開発6気筒の面目躍如。信号待ちで停車すると、マッキントッシュオーディオの音を堪能できる。
シャコ高だけど、速い
3リッターフラット6は、極低回転においてはややトルク感が薄いが、1500rpmもまわれば気にならない。シーケンシャルターボを搭載するGT系のように、強大な力で押し出されるような加速ではないが、シャコ高な外見とはうらはらに、ランカスターは速い。100km/h巡航時は2600rpmだから静か。サウンドチューンを施したというエンジン音が聞こえるペースで走ると、多くのケースにおいて「飛ばしすぎ」になる。音を楽しみたい人は、追い越し加速時などに耳を傾けて、ほくそ笑む程度にした方がいい。
トランスミッションは4段AT。願わくば5段ATが欲しいところだが、しかしシフトショックがエンジンのスムーズさを損なうようなことは無かった。変速ショックも少ない。加速時は厚みのあるトルクのおかげで不満を感じない。ゲートのシフトは操作しやすいが、DレンジとN(ニュートラル)が直線で繋がっていて、シフトアップ時にDを通り越してしまうことがある。要改善。
ストローク感あるサスペンションは、よくチューンされ、コーナーで車体が「グラッ」とするようなことはない。マイナーチェンジで、フロントサスペンションのジオメトリーが変更され、ロールやピッチングが抑えられたというから、それも効いているのだろう。
印象的だったのは、ブレーキだ。ペダルを踏み込んだ分だけブレーキの効きが増し、スピードを確実に殺してくれる。マイナーチェンジでフロントブレーキのローター径が15インチから16インチに変更され、制動力が向上した。
拡大
|
拡大
|
都会でも便利なアウトドア装備
オフロード走行を可能にする200mmのロードクリアランスは、街を走るときにも重宝する。地下駐車場の出入り口などで、急なスロープを登りながら(あるいは下りながら)ハンドルを切るとき、段差を乗り越えるときでも、下まわりをこする心配はまずない。高めの視線は走行中に遠くまで目が届き、交通の流れを読むのに役立つ。実はリポーター、フル積載の先々代レガシィワゴンで坂道を登る際に、下まわりを擦ったことがある……(自宅のクルマです)。アウトドアユースで便利なモノは、都会生活でもあれば便利だ。
レガシィシリーズはハンドリングに定評があるが、ランカスターでもそれは同じだった。GT系と較べた場合、ハンドルの動きに対する反応スピードはやや遅いし、ハイグリップタイヤを履くわけじゃないから、コーナリングスピードは一歩譲るかもしれない。でもそれは、ツーリングワゴンターボモデルとの相対的な感覚である。むしろGT系のモデルにはない、鷹揚な、攻撃性のない高級感が、ランカスターの大きな魅力だと感じた。
(文=webCGオオサワ/写真=清水健太/2002年4月)

大澤 俊博
-
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】 2026.3.3 「GRヤリス」の新仕様として設定された「エアロパフォーマンスパッケージ」装着車に試乗。レースフィールドでの知見を交え開発したというエアロパーツの空力・冷却性能は、リアルワールドでも体感可能なのか。高速道路を経由し、郊外のワインディングロードを目指した。
-
ドゥカティ・モンスター(6MT)【海外試乗記】 2026.3.2 ドゥカティのネイキッドスポーツ「モンスター」が5代目にモデルチェンジ。無駄をそぎ、必要なものを突き詰めてきた歴代モデルの哲学は、この新型にも受け継がれているのか? 「パニガーレV2」ゆずりのエンジンで175kgの車体を走らせる、ピュアな一台の魅力に触れた。
-
フォルクスワーゲンID.4プロ(RWD)【試乗記】 2026.2.28 フォルクスワーゲンのミッドサイズ電気自動車(BEV)「ID.4」の一部仕様変更モデルが上陸。初期導入モデルのオーナーでもあるリポーターは、その改良メニューをマイナーチェンジに匹敵するほどの内容と評価する。果たしてアップデートされた走りやいかに。
-
スズキ・キャリイKX(4WD/5MT)【試乗記】 2026.2.27 今日も日本の津々浦々で活躍する軽トラック「スズキ・キャリイ」。私たちにとって、最も身近な“働くクルマ”は、実際にはどれほどの実力を秘めているのか? タフが身上の5段MT+4WD仕様を借り出し、そのパフォーマンスを解き放ってみた。
-
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)【試乗記】 2026.2.26 日本で久々の復活を遂げた「ホンダCR-V」の新型に、北海道のテストコースで試乗。雪上・氷上での“ひとクラス上”の振る舞いに感嘆しつつも、筆者がドン! と太鼓判を押せなかった理由とは? デビューから30年をむかえたCR-Vの、実力と課題を報告する。
-
NEW
BYDシーライオン7 AWD(4WD)
2026.3.5JAIA輸入車試乗会2026堂々たるスタイルにライバルの上をいくパワーと一充電走行距離、そしてざっくり2割はお得なプライスを武器とする電気自動車「BYDシーライオン7」。日本市場への上陸から1年がたち、少しずつ存在感が増してきた電動クーペSUVの走りやいかに。 -
NEW
ついにハードウエアの更新も実現 進化した「スバルアップグレードサービス」の特徴を探る
2026.3.5デイリーコラムスバルが車両の機能や性能の向上を目的とした「スバルアップグレードサービス」の第3弾を開始する。初めてハードウエアの更新も組み込まれた最新サービスの特徴や内容を、スバル車に乗る玉川ニコがオーナー目線で解説する。 -
NEW
第951回:日本が誇る名車を再解釈 「ホンダNSXトリビュートby Italdesign」の開発担当者に聞く
2026.3.5マッキナ あらモーダ!2026年の「東京オートサロン」で来場者の目をくぎ付けにした「ホンダNSXトリビュートby Italdesign」。イタルデザインの手になる「ホンダNSX」の“再解釈”モデルは、いかにして誕生したのか? イタリア在住の大矢アキオが、開発関係者の熱い思いを聞いた。 -
メルセデス・マイバッハSL680モノグラムシリーズ(4WD/9AT)【試乗記】
2026.3.4試乗記メルセデス・マイバッハから「SL680モノグラムシリーズ」が登場。ただでさえ目立つワイド&ローなボディーに、マイバッハならではのあしらいをたっぷりと加えたオープントップモデルだ。身も心もとろける「マイバッハ」モードの乗り味をリポートする。 -
始まりはジウジアーロデザイン、終着点は広島ベンツ? 二転三転した日本版「ルーチェ」の道のり
2026.3.4デイリーコラムフェラーリ初の電気自動車が「ルーチェ」と名乗ることが発表された。それはそれで楽しみな新型車だが、日本のファンにとってルーチェといえばマツダに決まっている。デザインが二転三転した孤高のフラッグシップモデルのストーリーをお届けする。 -
第863回:3モーター式4WDの実力やいかに!? 「ランボルギーニ・テメラリオ」で雪道を目指す
2026.3.3エディターから一言電動化に向けて大きく舵を切ったランボルギーニは、「ウラカン」の後継たる「テメラリオ」をプラグインハイブリッド車としてリリースした。前に2基、リアに1基のモーターを積む4WDシステムの実力を試すべく、北の大地へと向かったのだが……。






































