第244回:【Movie】新大統領誕生記念! 大矢アキオ、捨て身の路上調査員「パリ編」
2012.05.11 マッキナ あらモーダ!第244回:【Movie】新大統領誕生記念! 大矢アキオ、捨て身の路上調査員「パリ編」
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大統領車にまでグローバル化!?
先週の2012年5月6日、フランスでは、フランソワ・オランド社会党第一書記が次期大統領に選出された。フランスのメディアが伝えたところによると、5月15日の就任式には、新たにエリゼー宮に導入される大統領専用車「シトロエンDS5ハイブリッド」で臨む。
「DS5」がクローズドボディーかパレード用オープンボディーかは本時点で不明だ。だがいずれにせよ大統領選挙前から用意されていたものだろうから、落選したサルコジは“新車”に乗る機会を逸したことになる。
フランスではその昔、「左派系政治家は公団時代が長かったルノーを、右派系は民間系のプジョーやシトロエンに好んで乗る」といわれた。
しかし、近年のエリゼー宮は、国内各ブランドを満遍なく導入している。事実、サルコジ時代にも、「ルノー・ヴェルサティス」「プジョー508」、そして「シトロエンC5」および「C6」が使われていた。
当選を確実にした日のオランド第一書記は地元コレーズ県で当選確実の報を受けて勝利宣言を行ったあと、「ルノー・セニック」で空港に向かった。また7日0時近く、飛行機でパリに到着してからはシルバーのシトロエンC5でバスティーユ広場に向かった。どの程度意図があったかは知らねど、もし国産系2社に配慮したものだったとすると、こちらも気配りの利く側近がいたことになる。
さて世界の路上を走っているクルマを実際見ていただき、ニッポンの自動車雑誌を読みすぎてできた思い込みを正していただく(?)「捨て身の路上調査員」シリーズ、今回は花のパリ編である。
前置きが長くなってしまったので、手っとり早く2012年2月のある日行ったウオッチング結果をブランド別に記そう。動画内とは別に、パリ市役所前とトロカデロ付近で計15分計測したものである。
ルノー:23台
シトロエン:22台
プジョー:15台
メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲン:各13台
トヨタ:8台
BMW:7台
MINI、スマート:各4台
ホンダ、アルファ・ロメオ、日産、アウディ、シュコダ:各2台
セアト、ポルシェ、オペル、フォード、ヒュンダイ、キア、フィアット、ジープ:各1台
結果から一目瞭然なのは、国内系モデルの圧倒的な数だ。いっぽうでオペルやフォードの影は薄い。イタリアでは、それら米国系メーカーとフィアットが街の風景の中で拮抗(きっこう)しており、対照的である。
同時に見落としてならないのはドイツ車たちだ。フォルクスワーゲンもメルセデス・ベンツも傘下ブランドを合わせるとプジョーの数より多くなってしまう。ドイツが欧州の「勝ち組」であることは、パリの一角を眺めるだけでも如実に伝わってくる。
大統領に話を戻そう。
オランド氏は、エリゼー宮ではなく、従来住んでいたセーヌ左岸15区のマンションから“通勤”を希望しているとの報道がある。加えて移動も、党第一書記時代と同様に鉄道や民間定期旅客機を活用するとみられている。専用車たちがエリゼー宮の車庫で惰眠をむさぼる日が多くなるのか、興味深いところだ。
そいれを聞いて、今から新大統領に代わって「TGVやエールフランスがストライキの日はどうすんだよ」と心配している、おせっかいなボクである。
(文と写真=大矢アキオ、Akio Lorenzo OYA)
大矢アキオ、捨て身の路上調査員「パリ編」(前編)
大矢アキオ、捨て身の路上調査員「パリ編」(後編)
(撮影と編集=大矢アキオ、Akio Lorenzo OYA)

大矢 アキオ
Akio Lorenzo OYA 在イタリアジャーナリスト/コラムニスト。日本の音大でバイオリンを専攻、大学院で芸術学、イタリアの大学院で文化史を修める。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとしてシエナに在住。NHKのイタリア語およびフランス語テキストや、デザイン誌等で執筆活動を展開。NHK『ラジオ深夜便』では、25年間にわたってリポーターを務めあげる。『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり』(コスミック出版)など著書・訳書多数。近著は『シトロエン2CV、DSを手掛けた自動車デザイナー ベルトーニのデザイン活動の軌跡』(三樹書房)。イタリア自動車歴史協会会員。
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