第205回:動き出したジャガー
コンセプトカー「C-X17」が示すものとは?
2013.10.02
エディターから一言
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ジャガーは2013年のフランクフルトショーで、クロスオーバー車のコンセプトカー「C-X17」を披露した。このモデルにはiQ[AI]と名付けられた最新のアルミニウムモノコックが用いられており、それを使った量産車がまずは2015年、C/Dセグメントのセダンとして登場するという。ジャガーのデザイン・ディレクターであるイアン・カラム氏と、グローバル・ブランド・ディレクターのエイドリアン・ホールマーク氏に、C-X17が示す同社の将来について聞いた。
50年後でも美しいものを描く
今年のフランクフルトモーターショー、ジャガー・ブースの主役はコンセプトカー「C-X17」であった。このブランド初のクロスオーバーとなるこのクルマは決して現実離れしたものではなく、それこそ2011年の同ショーでお披露目され、「Fタイプ」として結実した「C-X16」にも近いリアリティーを醸し出していたように思う。
このクルマについて聞いたのは、ジャガーのデザイン・ディレクター、イアン・カラム氏。複雑な面と線が交錯する最近の自動車デザインのトレンドに、氏は異を唱えたいようだった。
「意識したのは、シンプルであるということです。それでいて、かつ動きがあるということ。クロスオーバーらしい機能性をベースに、Fタイプにも通じる静止していてもエキサイティングに見せることを強く意識しています」
クロスオーバーでもジャガーに見える。ジャガーらしく、かつ新しい。こうした絶妙なデザインは、一体どうやって描かれるのか。
「ディテールについては時代性も意識します。例えばヘッドランプ、ホイール、ミラーなどの部分ですね。だけどプロポーションにはトレンドは持ち込みません。50年後にも美しく感じられるものをというつもりで描くのです。1948年に生まれた『XK120』は、今見ても美しい。それこそが規律です」
カラム氏は、「セダンでもクロスオーバーでも、ジャガーの求めるビジュアルの具現という意味では変わりはないのです」と締めくくった。
“ジャーマンスリー”から“ヨーロピアンフォー”へ
続いて話をうかがったのは、ジャガーのグローバル・ブランド・ディレクター、エイドリアン・ホールマーク氏である。ジャガーは今回、C-X17とともに、iQ[AI]と名付けられた最新のアルミニウム製モノコックアーキテクチャーを発表した。それによってジャガーはどんな価値を、どんなモデルを生み出していこうとしているのだろうか?
「私たちは2015年に、C/Dセグメントにこのアーキテクチャーを使った、もっとも効率的で、洗練され、スポーティーなクルマを投入します。クラス唯一のオールアルミボディーに新しいエンジンの組み合わせで、ハイブリッド車と同等以上の燃費、そして走りを実現します。アルミボディーはスチールよりコスト高ではありますが、ハイブリッド化よりは安いんですよ」
「BMW 3シリーズ」をはじめとする強豪ひしめくこのセグメントは、最も過酷な市場でもある。しかし、それだけにここに挑まずして、プレミアムブランドとしての地位を確立することは難しい。
「私たちはプレミアムカー市場を、今の“ジャーマンスリー”から、ジャガーを含めた“ヨーロピアンフォー”にしたい。規模は大きくなくても、デザインやテクノロジー、ブランド性によって確かな地位を築いていきたいと考えているのです」
まずはC/Dセグメントのセダン。そして、その先にはクロスオーバーも検討されているに違いない。何しろ、あれだけ現実味のあるコンセプトが提示されたのだから。ジャガーの新しい挑戦、楽しみだ。
(文=島下泰久/写真=ジャガー)

島下 泰久
モータージャーナリスト。乗って、書いて、最近ではしゃべる機会も激増中。『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)、『クルマの未来で日本はどう戦うのか?』(星海社)など著書多数。YouTubeチャンネル『RIDE NOW』主宰。所有(する不動)車は「ホンダ・ビート」「スバル・サンバー」など。
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