第859回:トーヨーのSUV向け冬タイヤを北海道で試す! アナタのベストマッチはどれ?
2026.02.10
エディターから一言
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トーヨータイヤが擁するSUV向けの冬タイヤに、北海道で試乗! スタンダードなスタッドレスタイヤから「スノーフレークマーク」付きのオールテレインタイヤまで、個性豊かな4商品の実力に触れた。アナタのクルマにマッチする商品が、きっとある?
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SUV向けの4商品を北の大地で比較する
冬の北海道でタイヤメーカーが行う試乗会というと、次のシーズンに発売予定の新商品をひとあし先に取材し、夏から秋にかけて記事として掲載するというやり方がパターン化している。
ところが、今回参加したトーヨータイヤの試乗会(試走会)は、いつもと勝手が違う。現在販売中のSUV向け4商品を、真冬の北海道で比較するのが目的である。しかも、取材場所が佐呂間町にあるトーヨータイヤの冬季タイヤテストコースではなく、新千歳空港近くにあるミニサーキット「新千歳モーターランド」ということで、ふだんより軽い足取りで羽田空港を後にした。
昼前に現地に到着すると、気温は-6℃と低いものの、青空が広がり、風もないため、覚悟していたよりも暖かい。雪や氷が溶けないか心配になったが、新千歳モーターランドの特設コースはスノーコース、アイスコースともに、試乗に打ってつけのコンディションに整えられており、ひとまず胸をなで下ろした。
四者四様のキャラクター
トーヨータイヤのスタッドレスタイヤは「OBSERVR(オブザーブ)」という総称で呼ばれており、なかでも一般的な乗用車ユーザーにとって身近な存在が「OBSERVR GIZ3(オブザーブ ギズ3)」である。その名のとおり、オブザーブ ギズとしては第3世代の商品となるが、2024年に登場した際には、昨今のSUV人気に対応するため、SUV向けサイズを追加したのが新たな試みだった。
そのオブザーブ ギズ3だが、一番の特徴は先代の「ギズ2」に対してアイス性能を大幅に向上させたこと。さらに経年変化による性能低下を抑え、アイス性能の効き目を持続させることで、商品力を高めたということだった。
オブザーブ ギズ3が幅広い車種に対応するのに対して、SUVやクロスカントリー車に特化したスタッドレスタイヤも用意されている。それが「オブザーブGSi-6」で、アイスとスノーの性能を両立させるとともに、ウエットブレーキングやハンドリング性能にも力を入れた商品だ。いっぽう、「オブザーブW/T-R」はオフロードタイヤをイメージさせる大きなブロックを採用し、荒れた氷雪路や深い雪での走破性を追求したという。
そして、スタッドレスタイヤ以外の商品として、トーヨータイヤの主力ブランドのひとつである“オプカン”、すなわち「OPEN COUNTRY(オープンカントリー)」シリーズから、オフロードにもオンロードにも対応する「オープンカントリーA/T III」が試乗用に用意されていた。このオープンカントリーA/T IIIは、冬用タイヤとして使用できる性能を備えていることを示すスノーフレークマークを取得する唯一のオプカンで、オールシーズンタイヤとして一年を通じて使用できるメリットがある。
アイスで差がつく「オブザーブ ギズ3」
試乗では、「トヨタ・ランドクルーザー“250”」と「マツダCX-5」が2台ずつ用意され、ランクル250にはオブザーブW/T-RとオープンカントリーA/T III、CX-5にはオブザーブ ギズ3とオブザーブGSi-6がそれぞれ装着されていた。この4台でアイスコースとスノーコースを走ることで、その違いを確かめることができた。
まずはオブザーブ ギズ3を履くCX-5から。アイスコースは表面に少し雪が乗った状態で、発進こそタイヤが空転するが、走り始めてからのトラクションは良好。ブレーキにも不安がない。定常円旋回では、4台中最もスピードが上がり、アイス性能の高さが浮き彫りになった。いっぽうスノーコースでは、パイロンスラロームで比較的機敏にクルマの向きが変わるため、安心してステアリングを操作することができた。
オブザーブGSi-6を履くCX-5に乗り換えると、アイスコースでは発進、ブレーキ、定常円旋回の性能はギズ3のほうが若干上の印象だが、単独で評価すれば十分安定した走りが可能である。スノーコースでは、やや深めの雪でのトラクションがギズ3よりも優れており、パイロンスラロームの安定感も高かった。
あなどれない「オープンカントリーA/T III」の氷雪性能
オブザーブW/T-Rが装着されたランクル250は、雪上での高い走破性が光る。やや雪が深い場所から発進すると、ぐいぐいと加速するとともに、車両が左右に振られることが少ないぶん、最も安心してアクセルペダルを踏むことができた。パイロンスラロームも難なくこなし、雪上性能は非常に高い。それでいて、アイスコースでもギズ3に迫るグリップの持ち主で、降雪地域で乗るなら、このランドクルーザー“250”とオブザーブW/T-Rの組み合わせがベストだと思う。
対してオールシーズンタイヤ的な性格のオープンカントリーA/T IIIは、スノーでの発進やパイロンスラロームで、W/T-Rのグリップには及ばないものの、それでも十分安心して走らせることができる。
驚いたのはアイス性能。オールシーズンタイヤ同様、オープンカントリーA/T IIIは凍結路が苦手とされ、カタログにも「過酷な積雪や凍結路がある環境下ではスタッドレスタイヤの使用をお勧めします」と明記されているのだが、今回のアイスコースを40km/hで走るかぎりは、発進、停止、スラロームといった場面で、想像以上のグリップをみせてくれた。凍結路を進んで走ることは避けたいものの、いざという場面をなんとか乗り切る性能を備えているのがうれしい。
非降雪地域のユーザーであれば、オープンカントリーA/T IIIは、スタッドレスタイヤ以外の有力な選択肢になるはず。東京で生活する私としては、オフロード色の強いSUVを手に入れたなら、人気のオプカンのなかからこのA/T IIIを選びたいなと思いつつ、東京への帰路についた。
(文=生方聡/写真=トーヨータイヤ/編集=堀田剛資)
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生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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