BMW i3(RR)/i3 レンジ・エクステンダー装備車(RR)
革命児の気概を感じる 2014.03.22 試乗記 「BMW i3」がいよいよ日本に上陸。EV、そしてRRレイアウトと、BMWの市販モデルとしては異例ずくめの一台だが、新しいのはクルマそのものだけではなかった。屋久島はEVにとっての理想郷!?
九州本土の最南端からさらに南に60kmほどの場所に位置する、ちょっと“いびつな円形”をした鹿児島県屋久島。1993年に21%の面積が「世界自然遺産」に登録されたことで一躍名をはせたこの島には、1000mを超える山々が数多く連なり、中でもほぼ中央部に位置する最高峰の標高は1900m超に達するという。
かくして、“洋上アルプス”とも例えられるこの地には海からの湿った風が吹き込むために、1年を通じて降水量が極めて多い。そして、そうしたさまざまな条件が整ったことで、この土地ならではのエネルギー源として発達してきたのが水力発電……と、実はこれが最初に述べたかった事柄のオチになる。
満を持して日本上陸となった「サステイナブルなアーバン・モビリティ」をうたうBMW発の電気自動車(EV)「i3」。その日本で初めての試乗会が、あえてこの地で開催された理由はまさにここにある。年間発電量の99.5%が水力でまかなわれる(鹿児島県資料から)というこの島内においては、それゆえほぼ完璧に「CO2フリーでEVを走らせる」という夢のシナリオが実現できるのだ。
そもそも、EVを「エコカー」と位置づけ、そのメリットをCO2の削減や燃料資源の延命というポイントに求めるのであれば、もはや“走行時に限って”のゼロエミッションは全く説得力を持たない。化石燃料をバンバン燃やして起こした電力をそこにチャージするのでは意味がないのは明らかなのだから。
前述のような地勢や気象に恵まれ、人口がわずか1万3000人強で世帯数も6800強にすぎない……といった“特殊事情”を念頭に置く必要はあるだろう。しかしながら、とにもかくにもここにはEVにとってひとつの“理想郷”があるのは、間違いないのだ。