プジョー2008プレミアム(FF/5AT)
イマドキのクロスオーバー 2014.07.25 試乗記 最近はやりのクロスオーバー市場に、新規参入したフレンチコンパクト「プジョー2008」。街中の一般道と高速道路で、その仕上がりを確かめた。ちょっと元気に走らせたくなる
たいていの場合、ものごとにはナイスな側面とそうでない側面とがある。まず前者について書くなら、2008は「208」とあまりかけ離れていない。つまり大きさや重さにおいて。なので、直噴でもターボでもない排気量1.2リッターのエンジンでかったるくなく走る。またそうでありつつ、荷室はちゃんと208よりもたっぷりしている。サイズはコンパクトで、しかし最近はやりのクロスオーバーっぽい見た目になってもいる(当然ですね)。208と競争したら少し負けるだろうけれど、依然として燃費もいい。
回すと澄んだイイ音がする3気筒、というのも美点のひとつ。コドモの頃に2ストローク3気筒のガソリンエンジンの排気音を聴いて「スーパーカーみたいだ」と思ったことを思い出した。いまの実用エンジンらしく回転上限は知れているけれど、イヤな振動が出たりやかましくなったりしないので積極的に使いたくなる。いじめている感じがしないのがいい。トルクの上限が知れていることもあって、遠慮なく負荷や回転域を上げて使っても罪悪感を覚えない。
重心が高くなったことも関係あるのか、同じエンジンの208と比べて乗り心地は少しかもっとカタい。パーンと張りが強めな感じ。これがいわゆるネコアシなのかはアレとしても、フラットな感じはハッキリある。走りもそれなり。フツーに運転しているかぎり、カーブでもむしろロールは抑えメである……ような印象。ノンビリゆっくり走るよりは、少し元気が余っているぐらいでちょうどいいタイプかもしれない。どちらかというと。フツーのハッチバックのバージョン比。で、そこに関していうなら、フォードにおける「フィエスタ」と「エコスポーツ」の関係と同じ。
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パワートレインが揺さぶられる
という次第で2008、乗った感じは、同じ日に試した「フォルクスワーゲンup!」と比べていかにもいまのクルマっぽい。ピッと走ってキュッと曲がりそう。実際そう。ノッタリした感じがない、といえばいいのか。初めて触れると、いや見ただけでビックリするちっちゃいステアリングホイールは、これは遊び心の発露であろうか。ま、208のと同じではあるけれど。
ただし気になったことがなかったわけではなくて、ひとつにはエンジン+トランスミッションの揺れ。変速の際にどうこうというのではなく、クラッチ直結状態で走っていてナニゲなアクセルのオンオフ――といってもスイッチ操作みたいにパコパコやってるわけではなくて――に対してヒクッとくる。前後方向にGが変動する。駆動トルクの反力を受けて横置きのパワートレインが揺さぶられている……のではないか。ほかに考えられない。
上屋がウワンウワンになっているところへ多少のヒクッがきたところで大して気にもならないかもしれないけれど、上屋は基本、ビシッとフラット。なのでことさら目立つ。今回借りた個体の状態がちょっとかもっと残念だったのかもしれないけれど、街なかを走るよりはサッサとハイウェイへ上がりたくなった。
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“真っすぐ”に気をつかう
と、今度はハンドル関係。真ん中というか真っすぐのところの手応えがミョーにギュッと詰まっている。密度が高いというか、ぶらんと(またはスカスカ)したところがないというか。要するに、N(=ニュートラル)がない。ので、径の小さいハンドルを操作してキレイに真っすぐ、あるいは常にレーンの真ん中をキープして走らせようと思うと気をつかう。高い集中力と高精度の修正舵(しゅうせいだ)が求められる。フラフラフラフラするわけではないけれど、うっかりしているとツーッと進路がそれがちな印象。
こういうセッティング(?)のクルマが近頃は珍しくないとはいえ……おっとっと。なお、高速で真っすぐ走るのが苦手そうなひ弱な印象がシャシーというかアシそのものに関してあるわけではない。もっというと、2008でゴキゲンなハイウェイ巡航を楽しみながら「これでいったいなにが問題?」となる人は、たぶん少なくない。というか、たいがいの人がそうかもしれません。なので、たいがいの人はご心配なく……というのもヘンですね。どうもすいません。
(文=森 慶太/写真=荒川正幸)
テスト車のデータ
プジョー2008プレミアム
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4160×1740×1550mm
ホイールベース:2540mm
車重:1140kg
駆動方式:FF
エンジン:1.2リッター直3 DOHC 12バルブ
トランスミッション:5段AT
最高出力:82ps(60kW)/5750rpm
最大トルク:12.0kgm(118Nm)/2750rpm
タイヤ:(前)205/55R16 91V(後)205/55R16 91V(ミシュラン・エナジーセイバー)
燃費:18.5km/リッター(JC08モード)
価格:254万円/テスト車=279万6260円
オプション装備:ボディーカラー<マカハ・ブラウン>(3万2400円)/※以下、販売店装着オプション 2008専用SDカードメモリーナビゲーション(18万3600円)/ETC車載器(1万260円)
テスト車の年式:2014年型
テスト開始時の走行距離:5331km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2)/高速道路(8)/山岳路(0)
テスト距離:311km
使用燃料:19.5リッター
参考燃費:15.9km/リッター(満タン法)/16.4km/リッター(車載燃費計計測値)
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森 慶太
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