第133回:ルマンでポルシェとアウディが大バトル? ポルシェのハッツ副社長の「爆弾発言」に酔いしれた夜!?
2011.12.08 エディターから一言第133回:ルマンでポルシェとアウディが大バトル?ポルシェのハッツ副社長の「爆弾発言」に酔いしれた夜!?
新しいスポーツカーを登場させる?
場所は六本木ヒルズの52階。東京モーターショーの開幕前夜に、フォルクスワーゲンはグループ各社の首脳陣とわれわれメディアが直接対話できる立食パーティー、通称「グループナイト」を催した。出席者はフォルクスワーゲンAGのマルティン・ヴィンターコルン会長や同社研究開発担当のウルリッヒ・ハッケンベルク取締役などそうそうたる面々。このうち今回はハッケンベルク取締役、アウディAGのルパート・シュタートラー会長、そしてポルシェAGのウルフガング・ハッツ副社長から話を聞けたが、中でも一番度肝を抜かれたのはハッツ副社長の口から飛び出した「爆弾発言」の数々だった。
「ようやく新型911がデビューしたね」とハッツ副社長。「次に出てくるのは911カブリオレ。来年のデトロイトショーでお披露目するよ。ワハハハハハ」。「911カブリオレ」はこの日の直前に写真が公開されていた。しかし、実車そのものがまだ一般公開されていないクルマについて、これほどはっきりと、ポルシェの大幹部から話を聞けるとは思わなかった。
さらに、今後のラインナップ拡充についてはこんな風に語ってくれた。「現在は大きく分けると、911、ケイマン/ボクスター、カイエン、パナメーラの4ラインがある。これに『カチューン』(CAJUN。カイエンより小ぶりな新型SUV。これまで日本では『ケイジャン』と伝えられてきたが、ハッツ社長は『カチューン』に近い発音をした)が加わる。さらにスポーツカーをもっと増やしたいんだが、どうするかはまだ決まっていないよ。ワハハハハハハ」。
ポルシェはF1への参戦も検討していた
続いてルマン復帰について。2014年のルマン24時間レースにポルシェのワークスチームが参戦することはすでに発表済み。しかも、ハイブリッドとおぼしき最新技術を引っさげてトップカテゴリーのLMP1クラスに挑戦するという。このニュースに世界中のポルシェファンならびにレースファンが喜んだのは間違いないだろう。
「決定したのは今年の春」。ハッツ副社長が切り出す。「ワークス活動の舞台としては、F1とルマンのふたつを検討した。ただし、われわれのモータースポーツにおける歴史は常にルマンとともにあった。そこでポルシェは最高の成績を収めてきたからね。また、ルマンは2014年に規則を改正するんだが、そうすると量産車に近い技術を投入できることになる。これもF1ではなくルマンを選んだ理由のひとつなんだ」。
ちまたでは、ポルシェの復帰とともにアウディがルマンから撤退し、F1に活動の舞台と移すとうわさされている。同じフォルクスワーゲングループのアウディとポルシェが同じルマンで勝ったり負けたりを繰り返すのは無意味だと考えられるからだ。そこで「アウディとの調整は行ったのか?」と質問すると、「そんなことはしていない。そもそもポルシェとアウディが激しい戦いをしたほうがレースとしては面白いでしょう。ワハハハハハ」と大笑いしたのであった。
新型「911ターボ」の仕上がりは上々
国際試乗会で新型「911」に乗ったある日本人ジャーナリストが尋ねた。「新型が、性能と効率を高次元でバランスさせたクルマであることはよくわかった。でも、さらに高性能を要求されたら、ポルシェはそれにどう応えるつもりか?」。するとハッツ副社長はこう答えたのである。「もっと高いスポーツ性をお望みなら、われわれはターボを投入する。私は先週、新しいターボをテストしたけれども、とても高性能なクルマに仕上がっていたよ。もっとも、市販するにはまだ時間がかかるけどね。ワハハハハハハ」。
「それでも物足りないなら、GT3やGT2を投入する。こちらは超高性能な911になるよ。GT3 RS4.0は大成功を収めたけれども、限定生産だったから注文には応えきれなかった。いずれにしてもカレラ4、ターボ、ターボS、GT2、GT3、GT3 RSなどが順に出てくる。だからわれわれはたくさん働かないといけない。大変だよ。ワハハハハハハ」。
最後に、ルマンカーの「ポルシェ911 GT1」とともにデビューし、ロードゴーイングバージョンの高性能仕様として数々のモデルに搭載されてきた通称「GT1クランクケース エンジン」については、こんなことを教えてくれた。「GT1クランクケースは登場してからずいぶん時間がたった。(今後の高性能仕様には)とても特別なパワートレインを用意することになる。今その開発を行っているところだけれども、なかなか大変な作業でね。特別な解決方法が必要なんだ。いずれにしても、性能はどんどん上げていかないといけないからね」。
そこまで言うと、ハッツ副社長はまた「ワハハハハハ」とひとしきり大笑いをしたのであった。
(文=大谷達也/写真=フォルクスワーゲン・グループ・ジャパン)

大谷 達也
自動車ライター。大学卒業後、電機メーカーの研究所にエンジニアとして勤務。1990年に自動車雑誌『CAR GRAPHIC』の編集部員へと転身。同誌副編集長に就任した後、2010年に退職し、フリーランスの自動車ライターとなる。現在はラグジュアリーカーを中心に軽自動車まで幅広く取材。先端技術やモータースポーツ関連の原稿執筆も数多く手がける。2022-2023 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考員、日本自動車ジャーナリスト協会会員、日本モータースポーツ記者会会員。
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