メルセデス・ベンツGLA250 4MATICスポーツ(4WD/7AT)
「高さ」以上の価値がある 2014.08.19 試乗記 メルセデス・ベンツが放つ、SUVのニューモデル「GLAクラス」に試乗。その走りは、ほかのクルマとどう違う? 乗り心地や燃費はどうなのか? スポーティーグレード「GLA250 4MATICスポーツ」で確かめた。“今までの”と違う
CMキャラクターにスーパーマリオを起用したのがメルセデス・ベンツGLAだ。
しかも、テレビコマーシャルに登場するのは、まさかの実写版。こんなデッカいスーパーマリオはないだろ!? というツッコミが聞こえてきそうだが、日本市場専用コマーシャルとはいえ、お堅いメルセデスがよくやったなと思う。オンラインのスペシャルサイトでは、なつかしい映像と音を楽しみながら車両解説が見られる。
CMは商品のターゲット層を表す。GLAはソフトの端子をフーッと吹いたスーファミ世代ってことだ。しかも、この広告戦略でうまくできているのは、子どもと競ってゲームをやった親の世代も取り込めることである。
自慢するわけじゃないが、『スーパーマリオワールド』をわが家で初めて“全クリ”したのは、当時すでに二児の父親だったワタシである。ピーチ姫を救い出し、花火が上がったときは、思わず立ち上がって快哉(かいさい)を叫んだ。子どもが見ていなかったら、泣いてた。その前のクッパ城でそうとう苦労したので。
そんなおじさんにも秋波を送るGLAは、Aクラスと車台を共有するコンパクトSUVである。パッと見のイメージはリフトアップしたAクラスだが、よく見るとボディー外板は新しい。
ふくらみの強いボンネットには2本のプレスラインが入り、リアにはディフューザーふうのアンダーガードが付き、フェンダーアーチも大きい。全高がAクラスより約8cm高いこともあって、ひとことで言うと“押し出し”に勝る。スタイリングのうたい文句は「クリボーも息をのむ究極のダイナミズム」である。
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ワインディングロードで生き生き
直噴2リッター4気筒ターボを搭載するGLA250には漏れなく4WDが付く。試乗車は「4MATICスポーツ」。オフロードコンフォートサスペンションを備える「4MATICオフロード」に対して、スポーツサスを組み込んだモデルで、いずれも499万円の価格は標準のGLA250 4MATICより40万円高い。
7段ATと組み合わされるパワーユニットは、「A250 シュポルト 4MATIC」と同じである。それと比べると、アイポイントの高さがまずはGLAの大きな特徴だ。140mmの最低地上高はAクラスの3cm増しだが、数値以上にハイトが上がった印象を受ける。
足まわりは、ハイドロ・ニューマチック・シトロエンの車高を上げたまま走っているような感じだ。高くて硬くて、低速だとバネ感があまりない。でも、もともとAクラスはリアサスペンションに落ち着きがなく、一番メルセデスらしくない乗り心地のメルセデスだったから、これくらい“脚色”してしまったほうがいいかもしれない。
フルタイム四駆システムは、100%前輪駆動から最大50対50まで、前後トルクをオートマチックに分配する。今回、オフロードでの実力は試せなかったが、ターマックのワインディングロードを走ると、なかなかのオンロード・スポーツ四駆であることが判明した。車高は高いが、重心の高さは感じない。ふだんは突っ張ったように硬いサスペンションも、コーナリングで大入力を与えると、人が変わったようにストロークして、フトコロの深さを見せつける。
2リッターターボは、「180」系の1.6リッターターボ(122ps)を大きくしのぐ211ps。「フォルクスワーゲン・ゴルフGTI」(220ps)にもそう見劣りしないパワーは、1610kgの四駆SUVにも軽快な動力性能を与えている。試乗した約280kmの平均燃費も、クラスを問わずいまや紳士のたしなみともいえるリッター10kmを超えた。
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こだわりを感じる作り
ボディー外板がAクラスとは別物であることはすでに書いた。リアウィンドウの傾斜もAクラスよりきつく、キャビンの側面観はGLAのほうがむしろスポーティーだ。
しかし、テールゲートへのリアランプの“蹴り”はAクラスより小さい。つまりGLAのほうがガバッと下まで大きく開いて、荷物の出し入れがしやすい。ひとくちに「AクラスベースのSUV」といっても、そうした細かいところまで意味のある差別化を図っているのが、なにごとも徹底してやる、ドイツ車のニクイところだ。
4MATICにはDSR(ダウンヒル・スピード・レギュレーション)が標準装備される。ヒル・ディセント・コントロールの名で四駆SUVにはすでにおなじみの自動低速降坂機構である。登坂角や車両傾斜角や操舵(そうだ)角をリアルタイムに表示する「オフロードスクリーン」も備わる。坂の傾斜は、道路標識にも使われている“%”(パーセンタイル)で教えてくれる。坂バカの自転車ヒルクライマーなら楽しめるし、重宝するはずだ。
“素”でも499万円。AMGパッケージやパノラミックスライディングルーフなどのオプションを備えた試乗車は570万円になる。クルマよりゲームのほうがおもしろいと刷り込まれているやもしれぬスーファミ世代が気軽に手を出せるクルマとは思えないが、同じエンジンで4MATICのAクラスとの価格差は40万円ちょっとである。
(文=下野康史<かばたやすし>/写真=田村 弥)
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テスト車のデータ
メルセデス・ベンツGLA250 4MATICスポーツ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4455×1805×1500mm
ホイールベース:2700mm
車重:1610kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:7段AT
最高出力:211ps(155kW)/5500rpm
最大トルク:35.7kgm(350Nm)/1200-4000rpm
タイヤ:(前)235/50R18 97V/(後)235/50R18 97V(ヨコハマ・シードライブ2 Z・P・S)
燃費:14.0km/リッター(JC08モード)
価格:499万円/テスト車=570万4400円
オプション装備:レーダーセーフティーパッケージ<緊急ブレーキ機能CPA+ブラインドスポットアシスト+ディストロニックプラス+レーンキーピングアシスト+PRE-SAFE>(19万5400円)/パノラミックスライディングルーフ(15万4200円)/AMGエクスクルーシブパッケージ<本革シート+助手席メモリー付きフルパワーシート+レザーARTICO レッドステッチ入りダッシュボード+レザーARTICO レッドステッチ入りドアパネル+コンビニエンスオープニングクロージング機能+harman/kardonロジック7サラウンドサウンドシステム>(30万円)/メタリックペイント<マウンテングレー>(6万4800円)
テスト車の年式:2014年型
テスト開始時の走行距離:1533km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(0)/高速道路(7)/山岳路(3)
テスト距離:280.7km
使用燃料:26.7リッター
参考燃費:10.5km/リッター(満タン法)/9.7km/リッター(車載燃費計計測値)

下野 康史
自動車ライター。「クルマが自動運転になったらいいなあ」なんて思ったことは一度もないのに、なんでこうなるの!? と思っている自動車ライター。近著に『峠狩り』(八重洲出版)、『ポルシェよりフェラーリよりロードバイクが好き』(講談社文庫)。
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